第13話

柴の姿を見えて、ほんの少し安心している自分がいた。

「柴くん」

「あれ、橘音?なんか久しぶり」

「あ、あの、あっちにけがしてるひとがいて」

呑気な柴の表情が一気に引き締まった。

「どこにいるの、案内して」

「うん」

私より先を歩くんじゃないかというほど

焦って走る姿が頼もしい。

もしかして、ちょっとした人助けが

初めてではないのかもしれない。

「ごめんなさい、お待たせしました」

「大丈夫ですか?」

遠く感じた目的地にようやくついて、

私があんなにてこずっていたのが嘘のように

スムーズに進み、無事、女の人の応急処置が終わった。

「応急処置は終わったので、できる限り早く病院に行ってください」

「本当にありがとうございます」

柴は確かに私と正反対だ、

だが、いい人かもしれない。

苦手な気持ちが少し薄らいだ。

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