第12話

「えっと、どうしよう」

冷静になれ、私。

まず、何か使えそうな物はないだろうか。

絆創膏は持ち歩かないから、今日ももちろん持っていない。

ハンカチで止血か?

もうひとしきり血は出たみたいだ。

ティッシュで傷口を抑えると少しは変わるだろう。

それから、近くのベンチに座らせてあげよう。

でも、私にできることはこれ以上ないように見える。

ここは、助けを呼ぶのが正しいだろう。

「ちょっと、助けを呼んできます」

対して早くならないくせに小走りで人を探す。

運悪く、ここら辺の通りは人通りが悪いことで

有名だ。人っ子一人探すだけでも一苦労だ。

人とあまり会わない場所は落ち着くから好きだが、

助けが必要な時には不便らしい。

始めてそう感じた。

「そうだ、柴はここからそう遠くない場所に居るかも」

柴が上手く手を貸してくれる保証はない。

でも、今は猫の手も借りたい、

もしくは、犬の手でもいい。

「急がないと」

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