第11話

柴と出会って数日が経った。

柴はできる限り避けている。

あの人とは合わないのだ、

それ以外に意味はない。

今日も柴と遭遇しないように

帰っていると、目の前で

転んでいる女の人がいた。

まさか、自分と同じように兎に躓いて派手に転んだ

のだろうか。

いや、そんな事はなかなかないだろう。

自分でも兎に躓いたことに少し驚いている。

足が止まる。

だって、その人は足から血を流しているのだ。

これを見て見ぬふりは出来ない。

人に声をかけるのは正直苦手だ、

他にはないくらい人と話すのは苦手だが、

勇気を振り絞って声をかけよう。

「あの、何かあったんですか?」

ここで『大丈夫ですか?』と声をかけるのは少し違う気がした。

自分のできる限りの配慮をして話しかけたつもりだ。

「急に、上から木の枝が落ちてきたんです」

女の人は今にも消えそうな声で話す。

女の人が言っている≪上から落ちてきた枝≫

はとんでもない大きさで、

この女の人の足の太さを軽々と超える太さだ。

この人はどのくらいこの状態だったのだろうか、

たとえ、ついさっき落ちてきたと考えても

いち早く手当てしないと危険だ。

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