第5話 幼少期

 僕は余り力がない。友達と力比べしても勝つことができない。たまたま記憶力はよくて昼間でこれはどうだった?と問われても他人より早く答えを出すことができて昼間の成績はいいとされてはいるけれど。同年の人がは捕まえたアーノルドの大きさ比べしてるなか自分はそもそもできなくて学び所の端で静かに眺めるだけ。友達はいない。

 夜、早くに食べ物にありついてどの子よりも早く寝付く。つまらないのもある。だって友達がいないから。


 ある日、いつも通りに寝付く。うとうと寂しく1人で家寝ると夢をみた。

"なにかしゃべってる。大勢の中。あれ、親に殴られている。なんで?ひどい仕打ちだ。父上はあり得ない。あれ次はみんな手をあげている。なんだこの空気感。気持ち悪い…。"

おい、大丈夫か?とハッスルした後の父と母がうなされていた僕に声をかけた。事情を話すと明日エルフ様に相談しようと母が言い出して父は納得した。


 小屋のなか、生活感漂う一間に通されて丸テーブルを指さされた。三脚の椅子に3人が座る。

「うむ、ふむふむ。なるほど。ようはその子の夢について調べるのじゃな。」

魔女のような鼻にハゲた頭にかぶる三角帽子の老人、エルフは頷いてこっちをみた。村の外にあるドラゴン泉という幻想的な人にとってのグリーンツーリングの観光地、ドラゴニストにとっては神聖な地である。まぁドラゴンと人が交わった地という…。その地で建物を建てて占いをやるエルフに診てもらうこととなった。

「あなたは前世いっぱいやらかしたですね〜。」

「この子の前世女にモテた?」

「何言ってんだあんた。」

手と手を合わせ妻に謝る夫に真面目な話じゃと目で圧をかけるエルフ。

「前世では多くの人の死を唆したそうじゃ。いまはその報いを受けている。鎖は取れない。それゆえにその子には呪いがかかり、力がないのじゃ。またその呪いは生き方にも左右するものじゃ。父親よ、しっかり導くことせねばならん。また、知らぬは波なき泉と呼ぶものの、知らねば呪いに囚われるだろう。」

重い口調で告げられその場の泉から出る水蒸気の密度が重くなった。暗い表情の父が、

どうすればと聞く。

「まず彼に前世の記憶を全て授ける。ワシ、エルフの命を30秒削ったうえでこの子の左腕全て母家の祭壇に捧げる。」

「なんだって‼️冗談じゃない。ふざけるのもいい加減にしろ。」

「ワシじゃて心苦しいがそうでもしなければこの子はもう植物人間と化するじゃろ。そうなれば魔の餌食と化して魔物になることはお前さんでもわかるはずじゃ。」

衝撃を受けた僕は口をぽかんと開けて左手を震えさせる。

母は泣いて僕を抱きしめる。

「わかった。ただ痛みはないように魔を使えよ。」

僕の方を見つめた父。うるむ目。

「許せよ。救うためだ。」

頷く僕。まだ震わしていても。

「ひとつだけ注意する。お主に死から守るために記憶を授ける。これに負けるな、流されるな。あってないものと考えてもよしじゃ。記憶は恐らく歪みがあるもの。お主に囁きをかけるじゃろうが負けてならぬ。お主はお主じゃ。父はそれを導いてほしい。」


 小屋から母家に通ずる廊下を歩く僕とエルフは祭壇をみた。立派なステンドグラスに月明かりが差し込む。木々が周りに生えていたとしても映えた。グラスはナルフたちを表現していた。

「あじゃらかもくくれん、てけれっつれー。セーラーダイスキオトコワイ」

セーラーダイスキオトコワイを唱えれば手に感覚が消えた。

「どうか神よ、この子に幸と福あれよ。」

エルフは。


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