第3話

「あなた、残念でした」

「ここはどこだ。」

「地獄ですよ。」

そうちょび髭が質問した相手はすっと目の前に名刺を差し出された。名刺に閻魔小王と書かれていた。差し出し人は日本人で日本の閻魔大王のイメージ通りの風貌といった感じ。

「バカみてますね。仏教が最終的に正しかったですね、あなたが毛嫌いしていたその人種が。南無阿弥陀仏と唱えればお仕置きだけで済んだのに。」

彼が指で指し示した方を見たちょび髭は汗を垂らした。あれより俺はひどい仕打ちを受けるのかと。ドイツのためと俺は。おののくちょび髭。そんなちょび髭に構わず言葉を紡ぐ小王。

「じつはまだユダヤが正しかったですね。あなた意外にも熱心なキリスト教でしたね。

バカ見てますね。まぁそのまえに人をやるよう仕向けていたですけどねぇ〜」

 地獄の至るところから阿鼻叫喚。その中からフランス人とドイツ人の揉めてる声が微かに耳澄ませば聞こえなくはない。多くの鬼たちは多くの婚前に性交渉したものたちをしばいていたり、まだ善人とする人々の舌を抜いたりしていた。

「まぁー、そのー。ぼーとし表情しないで。ととっと判決しないとあなた方のせいで未だたくさん群がるから。もうなんでソ連戦したのよ。めちゃくちゃだったからさ、ただでさえしんどいのに日本人はまだ諦めず群がらせる!クソッタレ。ムカムカする!」

勝手にキレた彼の言葉に圧倒されたちょび髭はなんとか病弱な気力を絞ってソ連戦の釈明をしようとするが、

「自身は異世界転生で、ドッペルゲンガーは地獄ではなく現世で痛みを知れクソナチフス。」

言いきられた。久しぶりに痛みがない体は地獄から消え、

意識は絶えた。

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