第3話




姉「エアコンもやる?」


妹「このまえおとーさんがやってたよ」


姉「キッチンは?」


妹「ねーちゃにまかせる」


姉「ならささっとちょっと……いや、ちょーっとだけね」


妹「さぼりゆるすまじ」


姉「ちゃんとやるってー」


妹「そういえば、おかーさんからまほうのこなをもらいました」


姉「なにそれ」


妹「あとこの紙ももらった」


姉「なになに」ピラッ



「 妹、姉へ


  今日は家の大掃除をお願いします。お母さんは年末の仕事が忙しい上、掃除をするにしても四十肩が酷くてとてもとてもです。お父さんは知りません。

  早く終えて暇だったらでいいので、無駄に広い庭と普段あまり掃除をしていないベランダもお願いします。

  まあ妹はともかくとして、姉はいつも暇でしょうけど(笑)



姉「なんかうぜー」


妹「でもねーちゃはひまでしょ」


姉「そう言う妹だって暇だから家にいるんでしょ」


妹「たしかに」



  しかしそんな暇人の姉とはいえ、せっかくの休日を掃除に使わせるのは母の私としては心苦しく思います。



姉「思ってねーなぜってー」


妹「おかーさんジョークだよ」



  ということで、心ばかりですが少し早いクリスマスプレゼントとして報酬を差し上げます。労働には対価があって然るべきです。

  二人で、なななななんと! 一万円! 一万円です!



姉「おー」


妹「おかーさんてんしょんたかい」


姉「それね」


妹「でもいちまんえんはうれしい」


姉「わかる」



  それと、クリスマスケーキとチキンの予約が今日までなので、いつもの店で予約をお願いします。そのお金は別途払います。

  あ、フレーフレーヽ(^ω^\)( /^ω^)ノ姉! フレーフレーヽ(^ω^\)( /^ω^)ノ妹! お掃除頑張ってください((o(´∀`)o))ワクワク

 お母さんが無事帰還したらツルツルピカピカの光り輝く惑星最高の我が家になっていることを楽しみにしています(^^)



姉「これをママンが真顔で書いてると思うとゾッとする」


妹「そういうこといっちゃだめ」


姉「なんで?」


妹「かんがるー」


姉「?」


妹「うへへ」


姉「なによー」


妹「ねーちゃ、裏にもなにか書いてあるよ」


姉「ん、なになに?」



  P.S. 掃除の仕方については姉のスマートフォンにPDF形式で送信しました。道具や洗剤、トイレットペーパーなどが足りない場合は買いに行くように。今日はポイント5倍の日なのでお母さんの机の引き出しに入っているポイントカードを持って行くとなおよし。 」



姉「注文が多いなあ」


妹「いそがしーからね」


姉「……ああ、ほんとにメール来てた。めっちゃ詳しく書いてある」


妹「見せて」


姉「うん」スッ


妹「……」ヨミヨミ


姉「どうですか、掃除奉行」


妹「めちゃなが」


姉「だよなー」


妹「さきに買いものいこー」


姉「ん、おっけー」


妹「ついでにごはんもたべよ」


姉「あら、まだ食べてなかったの?」


妹「腹がへってはいくさはできぬ」


姉「お腹すいたのね」


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