第3話
ガチャ
「ただいま」
「おかえりなさいませ。ご主人様」
…
……
………
…………
バサッ
俺は思わずカバンを落とした。
会社から帰ったら、タマがメイド服を着ていた。
「あの、タマさん。これはどういう事でしょうか?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
「はい。私が以前怪我をしているところを幸人様に助けられて、その恩返しをしたくて人の姿に変化できるようになるまで成長を待ち、ようやく完全に変化できるようになり喜び勇んで下界に降りてきたものの、慣れない都会で幸人様を探し続け妖力を使い果たし倒れているところを再び幸人様に救われ、一度ならぬ二度も助けていただきどのように幸人様にご恩返したらいいか可憐様に訪ねたら『それはやっぱりメイド姿でご奉仕だね』とおっしゃられましたので」
はい、今までのストーリーの補完を兼ねた長いゼリフをありがとうタマよ。
「しかし、妖力も回復して完全な人間の姿になれるはずなのになぜ耳としっぽは出てるんだ?」
しかもさっきからやたらにしっぽを振って、そのたびにスカートがめくれて目のやり場に困るのだが。
「はい。これも可憐さまが『やっぱりメイドといえばネコミミメイドだよね~しかもしっぽでスカートがめくれてるのはポイント高いよ~』とおっしゃられたので」
流石に可憐はコスプレイヤー。萌えのポイントを確実に抑えるのである。
「それと可憐様からこれをやると幸人様が喜ぶとおっしゃられてました」
「何ですか?」
タマは腕をネコのように(いや、タマはネコなのだが)クイっと曲げてポーズを決め、
「幸人の未来にご奉仕するにゃん!」
「あ、それ辞めて!いろんな方面から怒られそうだからやめて!」
「それにソレ、悲しい出来事があったからちょっと勘弁して」
「にゃ?」
俺の言ったことにタマは首を傾げ「何それわかんない」的な表情をしてる。
そりゃそうだ。一部の人しかわかんねーもんな。
「あ、可憐様に言われたこともう一つありました」
もう何があっても驚かないぞみたいな気持ちになってきた。
「ごはんにする?お風呂にする?それともあ・た・し?」
「妹よ、やはりお前とはじっくり話し合う必要がありそうだ」
「では気を取り直して」
え?タマ?あなたが言うの?あなたが言うの?
「食事の用意が出来てますのでどうぞ」
テーブルの上にはおいしそうなハンバーグがお皿に乗っていた。
「おいしそうだな」
「はい、先ほど捕まえたばかりの新鮮なネズミの肉を使ってます」
「はっ?」
「冗談です」
タマは例えるなら某コミュ症マンガのヒロイン並みに切れ長の目の美人さんなんだけど、可憐影響を受けてコメディキャラになっているような気がする。
ジョジョに可憐の影響!
うん…まあ…多分外したね。
「それじゃせっかくだから頂こう」
「はい。準備します」
その日の夕食はとてもうまかった。
…
……
………
…………
その時、窓の外に人影がひとつ
「見つけた、リーリャン」
猫を拾った日 しのはら誠人 @makoto358
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