第7話 妖しい花

旦那が帰ってくると、血の付いたハンカチを貰う。

これはとても大事なものだ。

「今日は女だったよ」

大きな剣を鞘から抜くと、研ぎ始めた。


この当時は公開処刑が行われていた。罪人を群衆に見せながら

首を切り落とす。罪に対して罰を見せる事で、犯罪を抑止する。

血が処刑台から流れると女達は、ハンカチで拭う

魔力が宿ると信じられていた。

高く売れる場合もある。


私は台所に行くと、ハンカチを肌に当てる。

ハンカチの血は私の胸から吸収された。

「これでしばらくは持つわ」

私は人間ではない。


私は彼に拾われたのだ、あの日は彼は朝から仕事をしていた。

処刑台の横に赤く小さな花を見つけた彼は、気まぐれだろう

花を摘むと胸ポケットにさした。

そして犯罪者の首をはねる

血は彼にも飛び散り、私にも血を与えてくれた

そのまま忘れて捨ててしまえば終わり

でも彼は、部屋に持ってくるとコップに水をいれて花をさした


その日の内に女性になると、私は彼と生活をしている。

旦那が私を後ろから抱きしめる

「悪い知らせだ、死刑が無くなる」

死刑は残酷という思う人達もいる

潮時だろう


「大丈夫だ、お前は守るから」

私の頭を抱きながら愛撫する


処刑人としては解雇されるが、犯罪者の取り締まりのために

働いている、たまに彼は血のついたハンカチを持ってくる。

どこから持ってきたのかは教えない。

そして彼は逮捕された。


「この男は、独断で罪人を殺した、よって特別に極刑とする」

法を守る側が法を犯せば示しが付かない。

私は旦那が首を切られる所を見せられる。

「最後に言い残す言葉は?」

「俺の血をハンカチにつけて、妻に渡してくれ」

にっこりと笑いながら、首を落とされた

群衆が喝采をする、正義は保たれたと、みなが喜ぶ中で

私は群衆の前に立つと両手を広げた。


「残酷な死刑は廃止を」あっけにとられた群衆は私を罵倒する

私は微笑みながら、体が崩れた。花びらが舞い散る。

大好きな彼の体にも降り注ぐ。


終わり

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