第24話 合流地点

目を覚ましたシユは、自分が揺れていることに気づいた。馬が引く輿の中にいる。


小窓から覗くと、斜め前に、馬に跨り前進するハクインが見えた。


シユは安堵して、再び目を瞑る。次に目を覚ました時、シユはハクインの腕の中にいた。


「起きたか?」

ハクインの顔を身近で見て、シユは驚愕する。


「地下牢の看守にやられたんだ。今度会ったら、タダじゃおかない」


その頃、合流地点に到着したシエヤン一行は、シユが部隊におらず、焦っていた。


王都を出た部隊の最後列は、数台の輿が連なり、医師や薬師を運んでいる。


その中に、シユがいると聞いていたのだが。探さねばならない。まさかの足止めだ。


一方、ギヨウは先行部隊を離れ、少数の精鋭を連れて、森の民の住む地を訪れていた。


湖西の少数部族について情報を得るため、また、兵力を一部借りるためだ。


予定通り事は進み、あとは西域へ到着後、守備主体の陣容で、持久戦の予定だ。


そこへ、ハクインとシユが行方不明、との報告が入る。


ギヨウはそれを聞いても、顔色ひとつ変えず、淡々と戦の準備を進めていた。


だが、内心穏やかではなく、そのとばっちりを受けたのは、数日後、侵攻して来た敵だ。


国境を超えて来た数万の軍は、三日持たず壊滅状態に陥った。


ギヨウ自ら先陣を切り、一点突破の力攻めで、初日から敵に大打撃を与えたのだ。


勝利の知らせは、すぐ王都まで届いたが、シユがそれを知るのは、半月後のこととなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る