第21話 新旧用心棒

話は遡り。ハクインは金を得るため、鏢局の仕事を引き受けた。


遠方の州からやって来た荷馬車を、ある商家の蔵まで、送り届ける。


だが、運悪く、途中で急に馬が動かなくなった。


馬を診てくれる医者か、替えの馬が必要だ。

ただ、金はない。そう言えば。


荷馬車は、もう一人の鏢局に見張らせ、王都の中心にある、古い施薬院の扉を叩く。


中から出て来たのは、テイカだ。

何でまた、コイツなんだ。


足を踏み入れようとすると、テイカが戸を引いて、ハクインを締め出そうとした。


「何するんだ」

「出て行け」

「お前こそ、なんでここに居る」

「護衛だ」


現場に着くと、シユは馬を台車から外し、近くの木に繋いだ。


この馬は、もうかなりの年だ。荷が重く、体がしんどいのだろう。


そんなシユの背後に人影が忍び寄ったのを、ハクイン、テイカ、二人は同時に気づいた。


だが、二人の取る行動は違った。ハクインは剣を抜き、その人影に向けた。


しかし、テイカは割って入って、なぜかハクインに剣を向ける。


「何をするっ」

「ヤツは捕吏だ」

「何で分かる?」

「勘だ」


荷がヤバいものと悟り、ハクインとテイカは、瞬時に逃げようとするも。


一人だけ状況を飲み込めていないシユが、何が起きているの?と、ハクインを見返した。


早速、縄で体をぐるぐる巻きにされている。

ハクインは、渋い顔をした。


テイカは舌打ちし、二人を残して、その場から消え去った。



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