第20話 夜這い

夜も更け、シユはギヨウの寝室へ忍び込み、布団の中に潜った。


ギヨウが来るまで、起きているつもりだったが、うとうとし始める。


寝室へとやって来たギヨウは、布団が不自然に盛り上がっているのに気づいた。


手燭をそばの棚に置き、布団をめくると、シユが寝ている。


ギヨウは、寝台の端に体を横たえ、すぐ目を閉じた。ここ数日、ほとんど寝ていない。


しかし、隣でモゴモゴ動き出した生き物がいて、仕方なく、後ろから抱いて静止させる。


途端、シユは嫌がるように、体を捩らせた。まったく、何をしに来たのか。


ギヨウの腕から逃れると、シユは、仰向けのギヨウの体に馬乗りになる。


「自室に戻れ」

ギヨウは、シユを見上げて、言った。


シユは首を振った。伸びた前髪のせいで、表情は見えない。


シユはギヨウの腰紐を、するりと解いた。そして、夜着の前合わせに両手をかけ、開く。


ギヨウの着替えを手伝うのは、リゥユエだ。この男の肌を見たことは、ない。


裸に剥かれるのは、いつも自分のほうで、何もかもを見られているというのに。


「何がしたい?」


シユは、ギヨウの脇に手を入れ、ギヨウの重い体をひっくり返そうとする。


これは何か、兄上に吹き込まれたな。


ギヨウは、シユの両手首を掴み、動きを封じた。


「頼むから、寝させろ」

シユを自分の胸に引き寄せ、その細い腰を両腕で拘束する。


シユはしばらくジタバタしていたが、そのうち諦めて、眠りへと落ちていった。


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