第11話 似顔絵

リゥユエは筆を置き、描き終わった絵を、シエヤンに見せた。


「凄い。本物そっくりだ」

シエヤンは、絵の出来栄えに感心している。


先程から、リゥユエ、シユ、シャオウは、裏庭を望む外廊下に座り、絵を描いていた。


ハクエイからまた、ギヨウの似顔絵を描いてくれ、と依頼があったのだ。


目の前では、ギヨウとテイカが、激しく木刀を交えている。


二人の額には汗が光り、荒い息づかいが聞こえて来る。


「アハハハ。これギヨウか。ひどい。ブサイク過ぎる。誰だよ」


描いた絵をシエヤンに大笑いされ、シユはムッとする。


「シャオウのは、シユよりはマシだけど、だいぶ老けてる感じだな」


「そんなことない。二人ともよく描けてるよ。段々上手くなってる」


リゥユエは、二人の絵を褒めた。

最初は、人ですらなかったからね。


1時辰と言っていたが、ギヨウは体力の限界まで、テイカに付き合うつもりのようだ。


「描けたか?」

ハクエイがやって来た。時間に正確な男だ。リゥユエは、三枚の絵をハクエイに渡す。


「この絵にする」

ハクエイは絵を見比べ、一枚を選んだ。


「いやいや、こっちの絵の方が似てる」

シエヤンが、リゥユエの絵を指差した。


ハクエイは、それを無視し、さっさと行ってしまう。多忙極める男だ。


「どういうことよ?」

シエヤンが、リゥユエに説明を求める。


「ハクエイには、ギヨウがあの絵のように見えてるのかな」


リゥユエは、にこやかな顔で応えた。

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