レイドメンバー集め

「これで俺たちのパーティーを含めて16人……いや、メルカは非戦闘員扱いみたいだから、15人になるのか? ……まぁ、その点は到着したときにみんなで検討する必要があるか」


 フライ・ハイはサイモンさんを含めて5人のパーティーとなる。サイモンさんは生産職とはいえ、ドワーフ族の種族専用ジョブなので、それなりの戦闘能力は持っているらしい。


 ただ、暁の戦姫の場合は5人中2人が生産職となっている。


 そのうちの一人であるマイマイさんは先日、シザークロス・スコーピオンでボロボロになったという事は聞いたものの、それでもまだそれなりには戦えるという話は聞いた。


 しかし、メルカは純粋な生産職でそのシザークロス・スコーピオンとの戦いも見学していたと聞く。


 そうなるとレイドバトルに参加するのは少し厳しいのかもしれない。


「後は俺たちの知り合いに連絡するくらいなんだけど……誰かツテを持ってる人ー?」


 俺が集まったチームメンバーに対してそう問いかけるが、反応は案の定イマイチだった。


「俺はほとんどフライ・ハイの連中としかつるんでなかったからな。他に知り合いは居ないぞ」

「私も、こことその2つのチーム以外には特に知り合いは居ないわね!」

「……右に同じくよ。私も、同じ生産プレイヤーでもサイモンさん以外とはまともに喋ったこともないわ……」

「えっと、私の知り合いは基本的に生産職メインでしたし、前に野良で組んでた人たちはまだ第一エリアにいるらしいので……すいません」

「……私は、ユークたちしか知り合いいない」


 そう、ご覧の有様である。意外と交友関係の広そうなレンも、蓋を開ければ前から仲のいいフライ・ハイとしか組んで遊んでなかったので、そこまで知り合いはいなかった。


「となると、ここは俺の知り合いに頼るしかないか。取り敢えず俺が連絡取れる人は……まずはキャンティとヨハネスかな」


 キャンティとヨハネスは、以前シグねぇやハルとユキと一緒に鉱山ダンジョンに向かった際に出会った従魔士のプレイヤーだ。


 キャンティはβテストで一番の有名人であろうガタゴロウさんの本サービスでの名前だ。最近はレア個体のモンスターを次々テイムしているらしいから、それなりに戦力はあるだろう。


「次はクラウスか。……でもあんまり呼びたくはないんだよなぁ」

「それって、あのバトルロイヤルで暴れてた人よね……大丈夫なの?」

「流石に大丈夫……だと思う」


 クラウスは前回のバトルロイヤルの勝利者の一人だが、その戦闘スタイル的にレイドバトルが合っているのかどうかは分からない。


 まぁ、それこそ怒り状態になってフレンドリーファイアが解禁されたりしなければ問題はないと思うが……。


「あ、そうだユーク! 前に会ったシャインバードを連れた従魔士のパーティーなんてどうだ? リーダーだって言ってたジュンっていう軽装戦士もバトルロイヤルで戦ったけど中々強そうだったぞ」

「あぁ、サトルたちのパーティーか! 確かにシャインバードなら、うってつけかもしれないな。それにリーダーがレンのお墨付きなら、他のメンバーもそれなりに実力もありそうだし、声をかけてみよう」


 次に出てきたのがサトルたちのパーティーだ。前に開拓の村で出会ったが、うち数名はバトルロイヤルにも出場するだけの力はある。


 中でもリーダーであるジュンは、うちのレンとそのバトルロイヤルでそこそこいいとこまでいったらしい。……サトルのいるパーティーで覚えていたけど、そういえばあのパーティーのリーダーってサトルじゃなかったな。まぁ、どうでもいいが。


 そしてサトルがテイムしているシャインバードは、光属性のモンスターなのできっと悪魔には効果がある筈だろう。これは是が非でも参加してもらわないとな……!


 取り敢えず、俺は今挙げたプレイヤーに連絡を取ってみると、まずキャンティとヨハネスに関しては二つ返事でオッケーと貰った。というか、数分で俺たちのいる司法ギルドに辿り着いていた。


 まぁ、あれだけ激しい爆発音が鳴って、ワールドイベントの舞台が司法ギルドだと書かれていれば誰だって分かるだろう。


 今は騎士団のNPCがプレイヤーに対しては許可なく立ち入れないように封じているらしい。二人は俺が許可することでようやく入ってこれた。


「よう、ユーク! 相変わらずお前! 約束通り、助太刀にきてやったぞ!」

「君がワールドイベントの発生者なんてまさかとは思ってたけど、本当にそのまさかとはね……連絡が来て納得したよ」


 出会い頭、二人とも言いたい放題言ってくる。なんか含みがあるのが気になるな。


「しかし、レイドイベントか。そうなると相応の戦力を用意しないといけないな。まぁ、アタシに任せれば問題ないがな」

「頼りにしてるぜ、キャンティ。それにヨハネスも」

「ハハハ……。姉さんはともかく、私は足手まといにならないよう頑張るよ」


 キャンティとヨハネスの二人だが、それぞれソロでパーティーを組んでもらう。そのほうが連れ歩けるモンスター数の制限が無くなるので、自由に従魔を展開することが可能となっている。


 俺の場合でもゼファーにミュア、グレイにカリュアの最低4体は絶対に連れ歩きたかったから、ソロパーティーにしたわけだし、この二人なら尚更だろう。


 ヨハネスもキャンティに連れられてレア個体を幾つかテイムしているようだし、十分戦力になるだろう。


 どの道、人数的に10チームは埋まらないだろうから問題はないはずだ。最終的にチーム数が多くなりそうなときは二人で組むと了承してくれた。手数は減るがその時は仕方がないだろう。


 次にサトルから連絡が入った。一応、全員夕方からなら参加可能という話だったので、この四人は頭数に入れることになった。


 クラウスに関しては問題ないとの連絡を貰ったが、知り合いと現在パーティーを組んでいるので、そのメンバーも参加可能なら助かるという話だった。


 レイドイベントだから参加したいという気持ちも分からなくない。俺は取り敢えず会ってから考えると答えた。もし、実力的にダメそうならそのときに考えよう。


 ちょうどクラウスとの連絡が済んだ時、ふと別のフレンドから連絡が入った。はて、誰だろう?




 ――――――――――――

※大変お待たせしました。お察しかとは思いますが、今後は不定期更新になります。ご了承ください。

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