裁判とワールドイベント
裁判イベント前の確認
時刻は12時半。俺はログイン後、一度第一エリアに移動してから用事を済ませてから、第二の街に集結していたレン、リーサ、サザンカさん、ナサとリリーと合流して、イベントに記載されていた場所に向かうことにした。
因みに今回のイベントの説明文だが、
――――――――――――――――――
特別イベント『断罪裁判』
メリッサの父の裁判に出廷し、ハルトマンの不正を追求せよ。
・場所:第二の街・司法ギルド
・時間:本日13時(残り時間 21分)
※フルパーティー推奨。
※証拠の入手数でイベントが変化。
※進行度で他プレイヤーの介入が発生。
・成功条件:ハルトマンの不正を明らかにする
・失敗条件:裁判の敗訴
・成功報酬:なし
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という形になっている。イベントとクエストは同じような表記になっており、記載されるのも同じメニューの項目内となる。
特別イベントだからか、中々不穏な内容になっているし、進行度で他のプレイヤーの介入が発生するというのも気になる。
……そういえば、アップデート後に通常イベントの欄とは別に新設された『ワールドイベント』という項目に、再ログイン後から内容不明のカウントダウンが表示されるようになっており、それもだいたい13時くらいを示していた。
全く無関係のイベントがほぼ同じ時間を示すわけもなく、おそらくこれら2つのイベントは関連するもの、もしくは同じものである可能性が高い――と俺とレンは考えていた。
「このワールドイベントっていうのが分からないが、おそらくは世界規模の何かが起こるっていうイメージでいいだろうな。そもそもこのイベント、途中で他プレイヤーの介入が可能とか、もしかしたらレイド戦になりそうな雰囲気があるし」
レンはイベント内容に記載された注釈を見て、レイドバトルの可能性を指し示す。
基本的に個人で発生したイベントは、その発生させたプレイヤーと同じパーティーかチームでなければ、イベントが開始したとしても共有されることはない。
それが途中から他チームが介入可能ということは、途中で攻略の権利が移るかレイドバトルが発生するかのどちらかだろう。
もしレイドバトルとなると、最初に触れたっきりで今まで使ってこなかった(というか、使ったという情報も聞かなかった)『レイドコネクト』を使うことになるだろう。これは複数パーティーでレイドバトルに参加する為に必要な機能で、その最大パーティー数は10となる。
知り合いのチームであるフライ・ハイや暁の戦姫はまだ第二の街には辿り着いていない。一応、祝賀会のあとにエリアボスを倒して、メンテ前に開拓の村に到着したみたいだが、仮に朝一番でログインして進み始めても13時には間に合わないだろう。
オルカかナギサ経由で『クロノス』に頼むという手もあるが、彼らが来てくれるかどうかは分からない。
正直、野良パーティーと一緒にレイドバトルに参加してクリアできるかどうかは……難易度次第だろう。
「証拠の数で難易度変わるって言ってるから、そう難しくならなきゃいいんだけどな」
「あぁ。今、俺たちが入手している証拠品は、所持者がモンスター除けを封印してたお札と、ハルトマンになっているモンスター寄せのお香、それに壊れた虫寄せの片割れ……どれもメリッサのお父さんの不正関係の証拠にはならないってのが痛いところなんだよなぁ……」
俺がそう呟くと全員がうーんと悩みだす。正確にはナサとゼファーは違う。よく分かってなさそうだ。
俺たちはあくまでメリッサの父親の裁判に出廷するのであって、メリッサを襲ったことに関してはまた別の問題になる。まぁ、おそらくは参考人として出廷する予定のメリッサを狙ったとして追求はされるだろうから、その時に使えるだろうとは思う。
それ以外は……向こう側の頑張りに任せるしかない。こればっかりはどうしようもない。現地のことについては、俺たちのような
一応、カリュアが使役獣ギルドに戻らず、元気にしている事からメリッサが無事なのは確かなので、その点は心配しなくて良さそうだ。
「取り敢えず……私達にできることは見守る事よね?」
「そうそう。一応、参考人扱いはユークとレンの二人だからね」
「あの、ホントに大丈夫でしょうか?」
「……いざというときは飛び出せるから大丈夫」
今回、実際に裁判に参考人として出廷するのは俺とレンの二人で、サザンカさんたちは後ろの席で傍聴するだけとなっている。
ただ、ナサの言うとおり、いざという時には前に出て戦ってもらう必要があるだろう。その覚悟だけはしておいて欲しいと皆に告げ、四人とも静かに頷いていた。
一応、パーティーコネクト状態だとイベント中にそのコネクト状態が外れると厄介なので今回は連れ歩く従魔はゼファーとミュアとなった。
グレイたちには申し訳ないが、そもそも司法ギルドにモンスターを連れて行く事は出来ないらしいのでそういう流れになった。
だから今回はグレイたちはお留守番となる。今回は使役獣ギルドに預けず、第一エリアの孤児院に預けてきた。確か、ギルドに預けさえしなければ『再召喚』で呼び出せたと、メンテ中に従魔士スレで見かけた。
もしレイドバトルの前とかにパーティー編成が可能なら、その時は『再召喚』で呼び寄せて編成する形になるだろう。
因みにメリッサのもとにいるカリュアは、俺の従魔ではあるが、現在は連れ歩いていないので仮にイベントバトルになってもバトルには参加できない。
まぁ、どんな時でもメリッサを護るようお願いしたので、その時はメリッサを護るよう動いてくれるだろう。レイドバトルの際はグレイたちと同じ感じに編成できるといいな。
なお、レイドコネクトではパーティーに加入してないプレイヤーやNPCの参加も可能だが、その場合は一人でパーティー枠を一つ使うこととなるので、基本はパーティー毎の参加となる。
また、NPCの場合はその強さによって参加できるNPCの枠が減る仕様となっている。仮にアドミスが参入すれば、それだけでNPCの枠は埋まってしまうことだろう。
因みにパーティーに傭兵や助っ人などで参加しているNPCは、レイドコネクト使用時にパーティーから外れる仕様となっているので注意が必要だ。尤も、今回はミュアをNPCとしてパーティーに入れるつもりは無いので、その点は問題ないだろう。
「取り敢えず、まずは司法ギルドに向かって受付してしまおう。間に合わなくてイベント自体が無くなってしまっても、それはそれで問題だからな」
そう言うと俺たちはそのままの足で再び司法ギルドへと向かうのであった。
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