コルヌとノクターンの力
「くそっ……ゼファーとミュアは属性相性に気をつけながら増援に攻撃! コルヌとノクターンは俺について来い!」
「分かりました! 行きますよグレイ!」
「グオオオン!!〔無論だ!〕」
「行くぞぉー!」
「ホルォォォォ!!〔行きますぞぉ!〕」
「メェェェェェ!!〔でばんだぁぁ!〕」
ゼファーとミュア、グレイは俺から離れ、今し方現れた敵に向かって攻撃を開始する。この二人なら大丈夫だろう。グレイもいるしな。念の為、全員に『従魔激励』を使っておこう。
さて、バトルロイヤルに連れていけなかったノクターンとコルヌだが、かなりやる気のようで力強く叫んでいた。
因みにこの新しい2体の従魔の性格だが、ノクターンは「〜〜ですぞ」という語尾を使う少し老齢な印象な性格で。コルヌは逆にかなりのんびりとした話し方で幼い印象を受ける。コルヌはカリュアに近い印象だが、俺の印象としては更に幼い感じだ。
そういえば従魔士の習得するこの手の従魔たちの考えが分かるアビリティ、プレイヤーによって種類が異なるらしいが一番はっきり従魔たちの思考を理解出来るのはこの『テレパス』だということが従魔士スレで話題に出てたな。
同じタイミングで覚える『以心伝心』や『意思疎通』は大体どう考えているのかが分かるくらいで、前者と後者だと前者のほうがまだしっかり分かるらしい。
この手のアビリティの差異がどうして起きるのかはまだはっきりと分かってはいないがプレイヤーによっては途中で『意思疎通』から『以心伝心』に変化したという話だったので、今のところはテイムモンスターたちとの好感度や友好度によるものではないか、と考えられているらしい。
俺の場合は最初から『テレパス』だったのでそう考えると、ゼファーとの好感度はかなり高かったということになりそうだな。まぁ、テイムの経緯からしても普通じゃないからな、ゼファーの場合。
閑話休題。
俺とノクターン、コルヌはレンが受け持っているカラーラビットの群れの方に近づいていく。レンのやつは俺の存在に気付くと「スマン」と謝る。
「気にすんな。俺の【観察眼】で最初の奴を倒すから、レンは他の敵が邪魔してこないよう対処頼む!」
「おう、任せろ」
俺は
俺の精霊術だと一撃で仕留められないし、大薙ぎの強杖撃+のコンボは単体しか使えないから2体だと少し面倒だ。ここはコルヌとノクターンに任せてみるか。折角一緒に連れてきたからな。
「よし、コルヌ! あの2体に『スリーピングコール』だ」
「メェェェェェ!〔わかった!〕」
俺はコルヌを前に出すと、彼が覚えているスキルである『スリーピングコール』を使用させる。コルヌが俺には聞き取れない声を発すると、対象となったレッドホーンラビットとブルーホーンラビットは途端に眠りについてしまう。
このスキルは至近距離でないと効果はないが、高確率で対象にしたモンスターを眠らせることができる効果がある。対人線では、要抵抗値がかなり高く設定されているので、ほぼ確定で眠らせることができるスキルとなっている。
カリュアの『
コルヌの種族であるエスケープゴートは逃げに特化したモンスターであるためあまり攻撃スキルは習得しないのだが、自分が逃げやすくするために相手を動けなくする系統のスキルをよく覚える。これはそのうちの一つということだ。
「よし、ノクターン! 『ナイトメアスラッシュ』!」
「フォォォォ!!〔『ナイトメアスラッシュ』!〕」
そして次にノクターンには特殊攻撃系統のスキルである『ナイトメアスラッシュ』を使わせる。
この『ナイトメアスラッシュ』は通常時は大したダメージを与えられない範囲系の斬撃系統スキルなのだが、相手が睡眠状態だと残りの睡眠時間に応じた特効ダメージを与える効果がある。その代わり、敵の睡眠状態は確定で解けることになる。
睡眠状態は、気絶状態と同じで攻撃を受けることで解除されるのだが、気絶状態はどんな攻撃でも一度受けると回復するのに対し、睡眠状態は攻撃を受ける事で睡眠状態にしたスキルなどに設定されている睡眠時間が短縮されるという仕様になっている。
コルヌの『スリーピングコール』はの睡眠時間はカリュアの『
まぁ、結果としてノクターンが羽から飛ばした黒紫色の斬撃波が当たったことで満タンだったレッドホーンラビットとブルーホーンラビットのHPは一瞬で削れていき、その一撃で倒れることとなった。うーん、流石に強すぎる。
なお、プレイヤー相手だと相手の抵抗値によって睡眠時間が短くなるため、ここまでのダメージは期待できない。それに『ナイトメア』系のスキルは同じ相手に同じスキルを使っても特効ダメージは入らないので、連続で使うこともできない。使い所が難しいスキルとなる。
ノクターンの種族であるミッドナイトオウルは闇夜に紛れるという特性から、暗殺系のスキルやこの手の睡眠特効攻撃などを習得する。
この2体は、物理攻撃も魔術系統の攻撃も通りづらい敵への対抗策として一緒にテイムしたのだ。
「よし、良くやったぞコルヌ、ノクターン!」
「メェェェェン!」
『ホゥホォォウ!』
テレパスを使わなくても褒めて欲しそうだということが分かる態度で近付いてくるコルヌとノクターンの頭を撫でていると、群れの主を失ったことで残っていたモンスターたちは戦闘フィールドから離脱していく。
〈戦闘終了。魔核【小】×42、角兎の小角×25、赤角兎の色毛皮×4、青角兎の色毛皮×3、黄角兎の色毛皮×4、緑角兎の色毛皮×2、角兎の毛皮×12、鼠の尻尾×17、角兎の足を入手しました〉
〈経験値を獲得しました〉
〈ジョブレベルが上がりました。ジョブスキル『クイックチェンジ』を習得しました〉
〈ゼファーのレベルが上がりました。コルヌのレベルが上がりました。ノクターンのレベルが上がりました〉
そして戦闘が終了し、リザルトのアナウンスが流れると戦闘フィールドが消滅する。取り敢えず、メンテ後の試運転としてはまぁまぁだろう。
報酬は普通だと少し出にくい色毛皮が多めに出た以外には、レアドロップの角兎の足が手に入った。この角兎の足は『所有者の運気を上昇させる』という、アビリティの【幸運】とは別の運気上昇アイテムで、所持するだけで効果を発動するタイプのアイテムだ。しかも、複数所持することで効果が上がっていくタイプ。
極稀出現のラッキーラビットを倒せば確定で複数個ゲットできるのだが、普通のホーンラビットやカラーラビットだとそれこそこういった群れ現象で倒さないと中々手に入らない。
一個とはいえ、この手のアイテムは貴重なので手に入ってよかった。因みにイベント前のレベリングでは一個も手に入らなかった。流石に【幸運】持ち二人の効果は凄いな。
そのもう片方の【幸運】持ちのリーサが、若干息切れしかかっているのが気になったが、まぁ問題ないだろう。フィーネが支えているしな。
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