結果発表
『いやぁ〜。まさかの大激戦だったねぇ! ということで、結果発表〜!!』
バトルロイヤルイベントの戦いが終わり、俺も観客席の方に移動しようとしたら、突然頭上からアンビーの声が聞こえたと思ったら、気付いたら全く別の場所にいた。どこここ……?
「ここは……」
「アォン!!〔おめでとうございます、主殿!〕」
ゼファーとミュアも一緒に居たのだが、まさかのグレイもそこにいた。どうやらこのイベントでプレイヤーは死に戻っても噴水に戻る訳ではなく待機場みたいなところに転移していたようで、従魔の場合も同じだったようだ
結果として俺が第5フィールドの勝者となったことで、ここへの転移と同時に戻ってきたということらしい。
俺たちの勝利はしっかり理解していたようで、開口一番におめでとうと祝福してくれた。
「サンキューなグレイ! でも、お前のお陰でもあるからな。ホントありがとな」
そう言って俺がグレイの毛をワシャワシャと撫でていると、ふと周囲から視線を感じる。
なんだろうと見てみると、そこにはレンやシグねぇ、そしてクラウスとナギサの姿の他にルール説明等をしてくれていたあのAIキャラ達の姿があった。
アンナはキラキラした目でこちらを見ており、アンコもまたグレイの方を羨ましそうに見ている。
どうやら結果発表のための特設ステージということのようだ。
「さて、感動の再会はここまでにして、そろそろ結果発表をするけど……大丈夫かな、プレイヤー:ユーク?」
そんなアンナとアンコの間で苦笑いを浮かべているアンビーが結果発表の開始を行いたいと問いかけてきたので、俺は「どうぞどうぞ」と告げると、何かのツボにハマったのかアンビーが声を殺して笑い始めた。何だっていうんだよホントに。
その後、落ち着いたアンビーは何事もなかったかのように結果発表を開始していく。
まず、ここにいるメンバーがそれぞれのフィールドでの勝者だということをアンビーが観客に向けて発表していく。
「さぁ、それじゃあそれぞれの勝者からコメントを聞いていこうかな? それじゃあ、第1フィールドのプレイヤー:レン!」
「おぅ、俺か。……まぁ、中々手強いプレイヤーが多かったけど、なんとか勝てたって感じだな。うん、やっぱり速さこそ最強だぜ!」
「おー! 確かにプレイヤー:レンの回避テクニックは他の追随を許さなかったからね! おめでとう!」
レンの話が終わると、次はシグねぇにコメントを求め、そのままクラウス、ナギサと続いていく。まぁみんな当たり障りのないコメントをしていたな。
ナギサは流石にシグねぇに喧嘩を売りそうになってたから、アンビーによって強制終了させられていたけど。うん、オルカが頭を抱える様子が目に浮かぶ。
「さ、最後はまさかのダークホース、プレイヤー:ユークだね。コメントをどうぞ!」
「あー……。俺の勝利は、ここにいるゼファーやミュア、そしてグレイたちの協力のおかげだ。俺はただの従魔士だけど、みんなのお陰で勝てた勝利だから……え〜っと、取り敢えず従魔士は不遇職じゃないです!」
うーん、何か言おうと思ってたのが完全に直前で頭の中から消えてしまったので、うまくまとまらなかった。ちくしょう。
「アハハ! そうだね、どんなジョブでもやり方次第でいくらでも強くなれるからね。僕は君のような存在にこそ、先に行く存在になって欲しいと思うよ」
何故かアンビーにガン褒めされてしまったので、なんか恥ずかしくなってしまう。アンナとアンコはいつの間にかグレイにくっついてワシャワシャしていたんだが、こんな自由でいいのかシステムAIよ。
そして、そこでバトルロイヤル参加者以外の観覧するプレイヤー向けにそれぞれのフィールドでの勝者を予想する『チャンピオンチェック』という催し物があったという事が俺たちに明らかにされ、その的中率が発表された。
やはり俺とレンがネックだったようで、シグねぇやクラウス、ナギサのいたフィールドはほぼほぼ的中しているのに対し、第1フィールドでは半分近くが外し、第5フィールドに至っては的中者はたった数人だったらしい。まぁ、俺だけファーストロットプレイヤーだからな……当然か。
因みに『チャンピオンチェック』の参加者にはバトルロイヤル参加者が貰えるものと同じ効果のステータスオーブが一つ確定で貰え、更に当てたフィールドの数分のステータスオーブが貰えるというものだ。
もし、すべて当てていたらイベント参加者と同じ数のステータスオーブが貰えることになる。参加費も500FGと手頃だったことから、かなり多くのプレイヤーが参加したらしい。
「さて、ここで唯一全問正解したプレイヤーをここにスペシャルゲストとして呼び出そうかな? 大丈夫? ……うん、オッケーみたいだから呼び出しちゃおう。アンナ!」
「へ? あっ、はーい! 呼び出すねぇ〜!」
グレイをワシャワシャ撫で回していたアンナはアンビーに呼ばれて慌てて表に出てくると、そのプレイヤーをこの場に呼び出す。
するとそこに現れたのは俺の知る顔の一人だった。
「さぁ、唯一の全問正解者のプレイヤー:サトルだね! おめでとう! ある意味じゃあ、ここの勝利者以上の運の持ち主かもね!」
「あ、ど、どうもです! 皆さん強そうだったんで、投票しちゃいました」
サトルは知り合いからシグねぇやクラウス、ナギサが勝つだろうということは聞いていたらしいのだが、第1フィールドと第5フィールドにレンと俺がいた事で俺たちの事を選んだらしい。
一応、第1フィールドには彼の友達のジュンが居たはずなんだが……。まぁ、それは彼らの問題だろうから、俺の知るところではないな。
「さて! 勝利した君たちには特別称号『バトルロイヤルの覇者』を与えるよ! そして参加者のみんなには『バトルロイヤルの挑戦者』を与えるね。あと、チャンピオンチェック全的中のプレイヤー:サトルには特別に『勝者の予言者』の称号をプレゼントするよ! これは即時適応されるから、後で確認してみてね!』
称号関係は予想通りだったが、サトルはまさか自分も貰えることになるとは思っていなかったようで終始ドギマギしていた。
『参加報酬やチャンピオンチェックの商品に関しては、明日からのメンテナンスが終わったときに一括で配布するから、ちょっとだけ待っててね!」
そうして一通りの催事が終わり、本当に運営イベント『バトルロイヤル』は終わりを迎えることとなった。
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