依頼を探してみた

 まずは討伐系を見てみよう。


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『マッドプラントを殲滅せよ』


・依頼主:開拓の村警備隊

・内容:マッドプラント10体の討伐(最低数)

・場所:指定なし

・受注条件:Pパーソナルレベル25以上、Eランク以上

・期限:なし


「ここ最近、マッドプラントが開拓の村周辺に出没するようになった。我々の手には余る相手なので、冒険者に協力を求める。最低でも10体は倒してくれないと報酬は出せないが、より多く倒せばそれだけ報酬を追加するので、できれば根こそぎ殲滅してほしい」


・報酬:10000FG(追加あり)


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『気高き統制狼を捕まえよ』


・依頼主:金持ちのコインナー

・内容:コマンドウルフの捕獲

・場所:コインナーの庭園

・条件:Pパーソナルレベル25以上、Eランク以上

・期限:3日後まで


「私はあの気高きコマンドウルフを我がコレクションの一部に加えたいと思っている。なので、冒険者に是非とも協力をしてもらいたい。無論、報酬はかなり多く用意している。さしあたっては捕獲用のアイテムを渡すので、まずは我が庭園の方へ来るように!」


・報酬:1000000FG(状態に応じて増減あり)


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 討伐系は『マッドプラントを10体討伐』と『コマンドウルフを1体捕獲』とある。片方は捕獲となっているが一応分類上は討伐系に分類されるらしい。細かく分けてもキリがないからな。


 どちらも聞いたことがないので第二エリアに出現するのだろう。探してみて見つからないとあれなので掲示板などで調べてみたが、どうやらマッドプラントは第二エリアの大部分を占める平原エリア(俺たちが第二エリアに入ってすぐの『導きの草原』も平原エリアの一部らしい)に普遍的に出現する植物型のモンスターらしい。


 群れで出現するため、一気に討伐数はこなせるだろうが、それだけ手数が多いため厄介な敵になる。おまけに打撃耐性持ちなので杖をよく使う俺とは相性が悪そうだ。弱点属性の火属性攻撃ができれば楽らしいのだが、残念ながら俺や俺の従魔には使えるやつは居ないし、チームメンバーだとサザンカさんやナサ辺りがそれに準ずるスキルが使える程度だ。


 コマンドウルフの方はどうやら平原エリアで極低確率で出現する、アッシュウルフの上位進化種らしい。アッシュウルフはレベル25でレッドウルフやブルーウルフなどの、属性別のカラーウルフに進化するらしいのだが、それ以外に特殊条件を満たしたことで進化する個体がいるらしい。その個体の更にもう一つ先の進化がこのコマンドウルフということらしい。


 既に遭遇しているプレイヤーは何人かいるようだが、その戦果は乏しい。何故なら、コマンドウルフは他のウルフ系モンスターを多数従えてから戦闘する他、戦闘中にもどんどん配下を呼び出していくため、対処が遅れると大多数のウルフにより蹂躙されるという結末が待っているらしい。


 同じくウルフ種の強敵としてレア個体のシルバーアッシュウルフは【孤高の狼】の効果で単独でしか出現しないのでまだ対処しようがあるが、数の暴力は流石に厳しいものがある。


 この依頼は、そもそものコマンドウルフの出現自体が低確率な上に、それを捕獲しなくてはならないというものなので、報酬はかなり高額ではあるが割には合わないだろう。


 依頼主は金持ちのコインナーというらしいが、自分で金持ちと言ってるのか通り名なのかは不明ではあるものの、流石に金持ちの道楽に付き合う余裕はない。


 そもそもコレクションという扱いがあまり俺は好きじゃない。従魔士にとって、テイムしたモンスターは仲間だからな。


 ……さて、話がズレてしまったが次は採集系だな。


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『万回草を集めてください』


・依頼主:『調薬士ケミカルブレンダー』リィル(プレイヤー)

・内容:万回草(☆3以上)100本を納品(最低数)

・場所:指定なし

・条件:Eランク以上

・納期:2日後まで


「万回草の在庫が足りなくなったので、100本ほど集めてくださると助かります」


・報酬:10000FG、MP高回復薬(☆5)×10


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『泥喰樹の荒蔦の納品』


・依頼主:メゼルリエ

・内容:泥喰樹の荒蔦5本の納品

・場所:指定なし

・条件:Pパーソナルレベル25以上、Eランク以上

・納期:本日中


「呪術に用いる荒蔦が足りなくなったので、集めてくださると助かります。状態は問いませんので、なるべく早く集めてください」


・報酬:6000FG


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 採集系は『万回草100本の納品』と『泥喰樹の荒蔦5本の納品』の2つとなる。片方は生産職のプレイヤーによる依頼だ。当然ながらプレイヤーも依頼を出すことができる。


 しかし、万回草100本とか村で出す依頼で要求する量じゃないだろと思ったが、どうやらプレイヤーの依頼は募集範囲を指定しないとエリア全体での共通依頼となるらしい。まぁ、どの場所でもギルドを通じて納品されるので、問題はないのだろう。


 因みにその万回草はHP回復薬の素材となる回復草の上位個体で、HP高回復薬の基礎レシピやHPポーションに用いたりするらしい。一応、第一エリアにも生えているらしいが、平原エリアの『魔草の群生地』が一番多く取れるらしい。まぁ普通に第二の街に近い場所らしいので、わざわざここで依頼を受けるのは割に合わない。数もかなり多いし。


 もう一つの泥喰樹の荒蔦はマッドプラントから得られるドロップアイテムのようだ。レアドロップではないので倒したら普通に手に入るだろう。なので先程のマッドプラントの討伐依頼と一緒にやるといい。


 こういう感じに同じモンスターが対象だったり、場所が近いところなどは一緒にやっておくと、一気に進めることができるので便利だ。まぁこれは他のゲームでも同じなので大丈夫だろう。ただ、流石に討伐系2つで同じ対象を倒すもの同士だと、それぞれの目標討伐数を合わせた数を倒さないといけないが。


 最後は護衛系だな。


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『私をバトルスまで連れて行って』


・依頼主:メリッサ

・内容:依頼主をバトルス(第二の街)まで護衛する

・場所:開拓の村の噴水前

・条件:チームリーダーがPパーソナルレベル28以上、Eランク以上。チーム内に女性が3人以上在籍し、依頼主と合流時にそのチームメンバーでパーティーを組むこと(パーティーコネクト使用可)。

・期限:今日の夜9時に集合、その後明日の正午までにバトルスに到着。


「冒険者の皆様、どうか私を安全にバトルスまで連れて行ってください。どうかお願いします」


・報酬:10000FG、???(状況によって変化)


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 依頼は第二の街までの護衛となっており、ちょうど集合時間も俺たちの進行と同じタイミングだ。依頼主はメリッサという名前らしい。依頼文が簡潔だが、何か訳ありなのだろうか?


 条件もチームに3人以上の女性がいること、そしてそのチームでパーティーを組んでいることとあるので、俺たちの場合は余裕でクリアできている。パーティーコネクトも大丈夫らしいので、いつもの隊形で問題ないだろう。


 本来なら周りに相談してから受けるべきなんだろうが、ちょうどこなせそうな依頼なので受けてしまっても良さそうな気がする。


 それに報酬の『???』にはなんだか見覚えがある。


 取り敢えず、ログインしてるやつが居たら聞いて見るか。


「誰が居るかな……? って、普通に来れないって言ってた二人以外全員いるな。まぁ、レンも携帯で確認できるかもしれないし、一応チームチャットで送っておくか」


 リーサ、ナサ、リリーは普通にログインしていたので、まとめて送れるチームチャットの方にこの件を送っておく。ゲーム内掲示板同様、チャットも外部から確認することも可能なので、携帯に通知が行けばレンもサザンカさんも気づくかもしれない。


 そして案の定、いの一番に返事が来たのはレンで『大丈夫。ていうか絶対受けろ。普通にイベントフラグじゃん』と書き込んでいた。そうか、これイベントフラグなのか……。


 サザンカさんからは返事はなかったものの、他の3人も同様に賛成の意見だったので、この護衛依頼は受けることにしよう。


 取り敢えず、他にはマッドプラントの討伐依頼とマッドプラントのドロップ素材の採集依頼を受ける事にした。まぁ、杖との相性は悪いが、風属性の精霊術は有利でも不利でもないので普通に立ち回ることができるだろう。


 俺はこの3枚の依頼を剥ぎ取ってからアダレッタの元に向かう。


「この3つの依頼を頼む」

「はいよ。…………この護衛依頼はチームメンバーに3人女性が居る必要があるけど、チームメンバーの情報は向こうに知らせて大丈夫かい?」

「あぁ、問題ない」

「そうかい。依頼主と合うときにそのメンバーでパーティーを組んでなかったら依頼は破棄されるから気をつけな。……あと、この依頼は向こうのギルドで達成報告する形になるから、わざわざこっちまで転移しなくていいからね?」

「分かったよ」

「他のやつは問題ないね。時間と数さえ守れば大丈夫だろう。それじゃあ、依頼受注だ。……せいぜい気張りな」


 アダレッタはそう言って依頼書の控えを取ってから、再び依頼書を俺に渡す。この依頼書には達成条件を満たしたかどうかの情報が自動的に記載される魔術がかけられているという設定で、報告時にはこの依頼書と納品系ならそのアイテムを渡せば依頼達成となる。


「よし、それじゃあ早速討伐と採集に向かうか!」

「はい、行きましょうユークさん!」


 そうしてミュアと共に依頼をこなすために平原エリアに向かおうとギルド支所を後にしよう――としたその時。


「す、すいませんそこの方! 少し待っては貰えないでしょうか?」


 急に誰かに呼び止められてしまった。……誰だ?

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