冒険者ギルドへ行こう(早急)
その後、俺とサザンカさんとユーリカはシグねぇとメルカに別れを告げ、エリアボス対策の為にメンバーで集まる為に噴水広場に向かおうとしていたが、そこでユーリカがふと何かを思い出したのか、声を上げる。
「そういえばエリアボスに挑むって言ってたけど、あんたギルドランクは大丈夫なの? 一応リーダーなんでしょう?」
「へ? ギルドランク? なんか関係あるの?」
俺がそう言うと、ユーリカは「あー……」と呟いて額に手を当てていた。……あれ? もしかして、なんかやらかしてしまったパターンか?
「あのね? 一応忘れてるかもだけど、ギルドランクによって、行けるようになるエリアが制限されるのよ。分不相応なエリアに行けないようにするためにね。……で、登録した時のFランクなら第一エリア内ならレベル制限がある場所以外どこにでも行けるのだけど、第二エリア以降はまずもってギルドランクがEランク以上である必要があるのよ」
あ、そういえば確かにギルドランクで行けるようになるエリアが制限されてるって言ってたな……。
普通ならギルドで色々依頼とか受注しながら素材集めしたりモンスターと戦ったりしてたのだろうが、俺の場合はそれとは関係なく色々走り回っていたので、全く顔を出していない。
因みにサザンカさんは既に生産者ギルドと商人ギルドでEランクになっているし、フライ・ハイのメンバーも二日目の朝には全員Eランクは突破していたらしい。その時にレンも条件を満たしているらしい。リリーは分からないが、こまめにギルドには顔を出していそうだから普通に達成していそうだ。
最初以外顔を出していないであろうリーサとナサはFランク確定だが、サザンカさん曰く生産者ギルドのEランク昇格は☆5以上の生産アイテムの報告だけなので、実は既に条件を満たしている。後は顔を出して手続きすれば問題ないらしい。
なんだ? じゃあ俺だけ条件満たせてないってことなのか?
「マジかー。俺、ギルドに全然顔出してないけど大丈夫なのかな……?」
「そんなの私が知るわけないじゃない。依頼受けないまま遊んでるのが悪いんじゃないの? 普通、報酬狙いとかで依頼を見たりするものよ?」
「うっ……それ言われると完全に痛い……。マジで存在忘れてたからなぁ……」
冒険者ギルドのEランクへの昇格は幾らか依頼を受けていれば自動で昇格するのだが、全くギルドに顔を出していなかったり依頼を受けてなければ、当然のことながらギルドランクは上がることはない。ギルドランクとはギルドから登録者たるプレイヤーに対する貢献度や信頼度というものなので、利用してなければ上がるわけがないのだ。
「まぁ、最悪エリアボスまでレンにパーティーリーダーになってもらうって形でもいいんじゃないかしら? ……まぁ、それだとあんたパーティー解散したら開拓の村とかから出られなくなるけど」
クスクス笑いながら呟くユーリカ。エリア移動の際のギルドランクの条件は、チームリーダーあるいはパーティーリーダーが達成していれば良く、仮に条件を満たしていないメンバーが居てもリーダーさえ達成していれば問題ないらしい。仲間がちゃんとしてれば大丈夫だろうというシステム的な判断なんだろう。
ただし、第二エリア以降でそのパーティーを解散したりチームから脱退した時、条件となるギルドランクに達していない場合は、ギルドないしギルド支所でランク昇格しない限り、市街地エリアから出られなくなる。また、その状態でうっかりはじまりの街にでも戻ってしまえば、ランクが上がるまでは第二エリアの市街地エリアに戻れなくなるらしい。
二日目の夜から『クロノス』主体で行われたキャリーは実行するメンバーが基本的に全員条件を満たしていたため、参加するプレイヤーがギルドランクに達していなくても、問題なく多くのプレイヤーが第二エリアに移動できたものの、そのランクを上げ忘れていたプレイヤーが開拓の村から動けなくなるということが多発し、更にうっかりはじまりの街に戻ってしまうということが昨日結構起きていたらしい。
キャリーで次のエリアに移動したプレイヤーは当然ながらエリアボスは未討伐扱いになるため、再び第二エリアに行くには再度キャリーしてもらうか、自力でエリアボスを突破するか、諦めてはじまりの街に残るかの選択となる。中にはキャリーで実際にボスと戦ってくれたプレイヤーたちに、キャリーを行う際の代金を返せと言ってきたプレイヤーが居たらしく、運営側が出てくるまでの問題となったらしい。
結果としてこういったトラブルを防ぐため、キャリーを実行するプレイヤーたちは参加者たちにギルドランクの昇格を条件とすることを決定した。キャリーの参加者はギルドカードを実行するプレイヤーに見せて、Eランクであることを確認されてからようやくチームやパーティーを組んでもらい移動できるようになる。
なお、キャリー実行者は意外と多いらしい。その理由としてはやはり本来一度しか戦えないエリアボスと再戦できるという点にあるだろう。パーティーないしチーム内に未討伐者がいると、そのパーティー全体がエリアボスと戦闘する必要がある。彼らはそれを利用してエリアボスからのドロップや経験値を集めているということらしい。因みに昨日の時点で『クロノス』のメンバーは全員第二エリアに移動したらしいので、現時点ではキャリー実行者は別のチームやパーティーが主導となっている。
こうして、キャリーを希望するプレイヤーは生産職は頑張って生産をしてランクを上げ、戦闘職は依頼をこなしてランクを上げるということを余儀なくされているらしい。まぁ、それが条件なのだから仕方ない。
しかし成程、昨日クラフトハウスがやけに人が多いと思っていたが、出戻り組や新たに移動を希望するプレイヤーがランク昇格が必要になった為に部屋を借りまくっていたからなのか。
リーサとナサの件で忘れがちだが、低レベルの初級生産技能では☆5アイテムでも生産は難しい方なのだ。おまけにランクが高い素材も市街地エリアから離れたフィールドエリアじゃないと手に入らないので、素材集めも大変となる。
因みにこれらの情報は、ギルド登録ではあっさり説明される程度であったが、チュートリアルを進めていればNPCから詳しく説明されているらしい。やはりチュートリアルは大事なのだと実感させられるな。メンテナンス後は、チュートリアルで説明された内容が図鑑メニューに記載されるらしいので、しっかりと読むことにしよう。
しかし、もし開拓の村から出られなくなると戦闘職だと依頼もこなせなくなるから、俺の場合はまたはじまりの街へと戻ることになりそうだ。
第二エリアから第一エリアへの転移は第二エリアのどの市街地エリアからでもはじまりの街へ移動できるが、第一エリアから第二エリアへの転移ははじまりの街から第二の街という形になるので、そもそも第二の街に辿り着いていないと使えないようになっている。
なので、俺は俺と従魔たちだけで再度第二エリアへと向かわないといけなくなる。それだと移動時間がかなりかかるし、諸々面倒だ。まぁその場合、再度エリアボスと戦闘しなくてもいいので楽ではあるが。
「まぁ、取り敢えず一度ギルドに行ってみたらどうかしら? 受付の子に話をしてみたら、案外いい解決策を出してくれるかもしれないわよ?」
「成程な……分かった。ものは試しだし、取り敢えず聞いてみることにするよ。ダメならレンにリーダーを任せるかな。サンキューな、ユーリカ。危うくとんぼ返りになるところだったよ」
「アハハ! 別に構わないわよ。そうねもしギルドで面白い情報でも出たら、後でフレンドチャットで教えてよね」
俺はユーリカに礼を言ってから、冒険者ギルドへと向かうこととなった。サザンカさんはユーリカと一緒にいると思ったが、なんか付いてくるようだ。取り敢えず他のメンバーには遅れるかもとだけ連絡しておこう。
くそー! ギルドにもう少し顔を出しておけばよかった!
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