防具選び
「リリーとミュアはどういう防具がいいか分かるか?」
「はい! 大丈夫です!」
「そうですね……。これなんていかがでしょう」
ミュアが一枚の丈の短めなドレスを取り出す。胴体防具のようだ。『スパンクドレス・白』という名前の通り色は真っ白で、全体がラメ色のスパンコールらしきもので装飾されていて派手だが、そこまで悪目立ちしない感じとはなっている。【魔術耐性】のアビリティ付きで、ステータス効果はMIN+20 INT+20となっている。
中々良さげな感じだが、ナサの反応はあまりよろしくはない。聞けば、もうちょっと落ち着いた感じの方がいいらしい。
「ダメですねぇ、ミュアさん。お嬢様の素材を引き立てる服を選ばないと」
「……なんでしょう、なんだかとても悔しいです」
「おいおい、煽るなよリリー」
しかし、性能で選ぶはずがファッションで選ぶ感じになってるぞ?
まぁ、相手はお嬢様なのでそうなってしまうのは仕方ないか。
そんなリリーが選んだ装備だが、確かにナサにはよく似合ってそうな格好にはなったのだが……。
「うーむ。全体的にSTR+20、MIN+60、AGI+20か……ものの見事に上げたいステータスがプラマイゼロで上がらなくなってるな」
彼女が選択した防具、一部はちゃんと上げたいステータスの部分があがるのだが、他の防具でそのステータスがマイナスになってしまい、結果として先程俺が告げたステータス効果しか発揮しない状態となっていた。それではあまり意味はない。
「よし分かった。とにかく俺が選ぶ。……イアン、参考に意見が聞きたいからサポートお願いできるか?」
「……そうだな、ステータス程度なら意見できるだろう」
そして俺はイアンと2人でナサの防具選びを行う。その間、3人には好きに装備を見てもらうことになった。
そして、話は白熱し、なんとかナサの防具を選ぶことができた。自分の時はただその時の良さげなものを選んでいっただけだったので、こうしてちゃんと選んで決めるというのは実は初めてだったりする。
他人の装備とはいえ、こうして色々考えて選ぶのはなかなか楽しいな。これがゲームを進めていくと生産プレイヤーに丸投げしたりしてしまうので味わえなくなってしまいかねない。最初だからこその楽しみなのかもしれないな。
「さて、これが俺とイアンで決めた防具だな」
そう言って俺はテーブルの上に選んだ防具を並べていく。
『雪白蝶の髪飾り(☆2):頭装備。ユキシロチョウを模した髪飾り。本物は使っていない。
DEX+20』
『メカニカルシャツ白(☆3):胴体防具(追加:腕)。機械的な装飾が散りばめられた白いドレスシャツ。
MP+20、INT+20』
『サンライトバングル(☆3):腕防具。太陽の光のように輝くバングル。
INT+20、DEX+20、STR-10』
『灰狼の革手袋(☆2):手防具。アッシュウルフの革を用いた手袋。
DEX+20 AGI+10』
『ケミカルホルダーベルト(☆3):腰防具。実験で用いる薬品を持ち歩くためのベルト。アクセサリーの装備数が増える。
MP+30、DEX+20 、STR-20、アビリティ【アクセサリー追加1】追加』
『メカニカルパンツ黒(☆3):脚防具(追加:腰)。機械的な装飾が散りばめられた黒いパンツ。
MP+20、INT+20』
『ラバーブーツ(☆3):靴防具。ゴムでできているブーツ。通気性は確保されている。
MP+20、AGI+10』
『見習い錬金のベストコート(☆3):外套防具。錬金を行う者の為に作られた革製のベストコート。
INT+30、DEX+10、効果アビリティ【錬金補助(初級)】追加』
これでMP+90、STR-30、INT+90、AGI+20、DEX+90となる。目的のステータスはだいぶ上げられたんじゃないだろうか。
オマケにアクセサリーを装備できる数を一つ増やせる【アクセサリー追加1】と、初級技能の錬金術スキルでの成功率を少しだけ上げてくれる【錬金補助(初級)】のアビリティをつけることができた。
早速ナサに身に着けてもらう。まぁ、普通ならば見た目は多少歪になったかもしれないが、メカノイド族にはとても似合っている。ベストコートを着るなら問題はないだろう。
しかし、まさかの錬金術士向けといわんばかりの防具が見つかったときは、少し笑ってしまった。なんでさっき見つからなかったんだろうな? イアンもこんな防具は記憶にないと言っていたが、どこから出てきたのだろうか? ……まぁ、いいか。
「……今回は姉のものだけでなく、俺の防具も納得できる出来のものが含まれているから、ちゃんと使えるはずだぞ」
「……うん。イアン……ありがとう」
ナサはイアンに向かって礼を言う。イアンも満更ではなさそうな感じだった。
問題のお値段だが、リーサの時とあまり大差はなかった。普通に俺がさっき買った上下の防具の方が高い。まぁ性能が違うからな。
リリーが「あぁ、私のお金がお嬢様の衣服に……」と小さく口ずさんでいたのが耳に入ったときは、少しヤベーなと思ってしまった。
さて、そろそろリーサとの時間になりそうだ。イアンに礼を言って、俺たちは約束の噴水前に向かうこととなった。
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