それゆけ、ダンジョン攻略
ゲーマー三姉妹の来訪
ログアウトした後、ふと携帯を見るとシグねぇから連絡が来ていた。どうやら今日の昼にゲームに明け暮れて不摂生をしていないか確認する為に来るらしい。流石に心配されていた。今まで半年近く一人暮らししてたんだから、もう少し信頼してほしいものだ。
その割には双子を連れて来るとのこと。うーむ、これはどういうことなのだろう。ゲーマー三姉妹勢ぞろいである。
と、そんな最中にチャイムが鳴り響く。流石に今回は集中したりしていなかったので気付く。
「はーい」
俺は取り敢えず身なりを整えてから、ゲーム大好き三姉妹を招き入れる。
「元気にしてたかしら、ユーくん?」
「やっほー! ゆーにぃ!」
「こんにちは、ゆー兄さん」
そこにはシグねぇの姿と、瓜二つの姿の双子の姉妹。服装と髪型が違うのが特徴だが、ぶっちゃけそれ以外は普通の人なら違いは分からないレベルでそっくりだ。何故か俺は髪型が入れ替わっても気付けるのだが。
右にサイドテールを流しているのが
左にサイドテールを流しているのが
3人とも何やら大きな荷物を持ってうちに来ていた。まさか泊まるつもりではあるまいか?
「シグねぇ、美晴、紗雪、いらっしゃい」
「おじゃましま~す!」
俺が招き入れるとそのままの勢いでトタタタと玄関を走りすぎていく美晴。履物が乱雑に飛ぶ。
「あっ、こら! 美晴! 待ちなさい! ……ごめんね、ユーくん」
「あー、いや気にしないで。いつものことだから」
「おじゃまします、ゆー兄さん」
この二人、というか美晴の場合はいつもこんな感じに招き入れたら勢いよく入っていくので、ホントにいつものことであった。
真逆に紗雪の方は履物を綺麗に整えてから入る。姉妹の差は結構わかりやすい。
「あ、そうだ。一応、おばさんから連絡。ゲームやるのはいいけど、空調つけて水分はちゃんと取ることって。最近熱中症とか危なから」
シグねぇが玄関の扉を閉めながら呟く。その点に関しては言われなくても守っている。マンションもずっといるなら冷房つけっぱなしの方が安心だし、少なくとも数時間に一度は休憩取ってるから問題はないだろう。
今年の夏はそこまで暑くない予報なので、それこそ空調無しで8時間ぶっ通しでもしない限りは大丈夫だとは思うのだが。
「……母さん、連絡するときっていつも俺に直接じゃなくてシグねぇ伝いだよな。そんだけ信用されてないってことかな?」
「伝えなくても分かってると思うけど、っては言ってたけどね」
そんな話をしている中、リビングでは双子が荷物を広げ始めていた。中身はなんとダイブコネクトの本体とコネクター一式である。
「ゆーにぃ! ゆーにぃのダイブコネクトの本体出して! リンクで繋げるから!」
「お前ら……うちに来てまでアルターテイルズかよ」
まぁ、そりゃそうだろうけども。この二人だって俺と同じでファーストロット組。少しでも進めたいっていうのはわかる。
因みにレベルとかを聞くと、シグねぇは余裕のレベル30。カンストだ。美晴と紗雪はお互いレベル26らしい。俺もサザンカさんのジョブ習得の際にレベルが上がったのでちょうど同じくらいだ。
シグねぇのジョブはβテストと同じらしい。確か
双子のジョブはログインしてからのお楽しみとのこと。はっ、何がお楽しみだ。
「取り敢えず、ゲームよりも先にお昼ごはんよ。二人とも!」
シグねぇがそう言うと渋々ゲーム開始の準備を止める双子。そういいつつ、シグねぇも荷物を広げるとダイブコネクトと料理が出てくる。三姉妹とも考えは同じか……。ゲーム、好きだもんな君たち……。因みに美晴は格闘ゲーム、紗雪はFPSゲームでそれぞれジュニアの部の大会で優勝経験がある程のゲーマーである。シグねぇに関しては……まぁアルターテイルズのβテストでお察しである。
料理だが今日はシグねぇの母親……つまり俺のおばに当たる人が、昨日焼きそばを大量に作ったのでそれのお裾分けということらしい。
親の海外出張以前からうちの食事担当は俺だったこともあって、基本的に料理は得意な方ではあるのだが、こうして作ってきてもらえるのはホント助かる。やる気が出ないときは出来合で済ませたりするからな。
シグねぇの料理も旨いが、おばさんの料理は更に旨い。一学期の最初の頃はほぼ毎日お世話になってたので頭が上がらない。その際に新しい料理を色々教えてもらったのでレパートリーが増えた。ホント感謝だ。
因みにおばさんもシグねぇも双子には包丁は触らせられないとのこと。それだけで料理の腕がどうなのかが分かってしまうな。
そんなこんなで、俺たちはおばさんお手製の焼きそばに舌鼓を打つ。美味しかった。
――――――――――
(8/3)ゲーマー三姉妹というタイトルなのにゲームに関してあまり説明してなかったので一部追記しました。
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