モンスター進化

 モンスター進化は、本サービスから導入されたシステムの一つで、従魔士からのあまりにも低ランクモンスターが弱いという不満から実装されたようだ。


 このシステムの良い点は、育成すれば低ランクのホーンラビットでも高ランクモンスターと同程度まで強化することができるという点だ。


 高ランクモンスターをテイムしようとすると、どうしても仲間からのアシストが重要になってくるため、テイムできないプレイヤーが多い。俺のように特殊な形でテイムしたプレイヤーもそうおおくはないだろう。


 そのため、手軽に(といっても超低確率であることには変わりないのだが)テイムできる低ランクモンスターを育成して、高ランクモンスターと同等にまで進化させられればそれでかなりの戦力となるだろう。


 欠点は、高ランクモンスターにも進化が実装されていれば更に差が広がるということと、その低ランクモンスターが実際に高ランクモンスターと同等になるまでどれくらい成長させて進化させなければならないのかが現状明らかになっていないということだった。まぁさほど問題ではないだろう。


 その点は従魔士自身が確かめていくしかない。従魔士は現状32人しかいないので、総当たりでもかなり時間がかかるだろう。セカンドロットで増えるといいのだが。


 さて、ゼファーの進化だが、ステータス画面で種族の項目を選択すると、ポップアップして進化ルートが出てきた。なので高ランクモンスターである精霊も進化対象のモンスターのようであった。


  因みにハーフエルフは今のところは対象外、というかどうやら進化とは別の表示になっているみたいなのだが、暗転していて詳細不明となっている。勿論だが、その場合は進化の選択自体ができない。


 進化ルートは、実際に進化可能になると次にどういうモンスターに進化するのかが明らかとなる仕様であり、今は進化条件を満たしていないので黒塗り表示だ。とはいえ、ゼファーの場合は進化ルートはひとつだけなので、さほど問題ではないだろう。


 その進化条件は『レベル20に到達』だけなので、レベリングさえちゃんとできればすぐに進化できる。果たしてゼファーがどのような姿になるか楽しみだ。




 そして俺たちは精霊の隠しダンジョンまで辿り着く。入口も相変わらずという感じなので、そのままケイルには突入してもらって精霊と仲良くなってもらおう。


 まぁ、その精霊がゼファーみたいなやつならいいが、好戦的なやつだと戦闘で力を示せみたいな場合もあるかもしれない。昨日の隠しクエストの時にリックに貰って結局使わなかった『身代わりうさぎ』を渡しておく。使わなかったら返してもらおう。


 ケイルはその身代わりうさぎを受け取って、隠しダンジョンの中へと入っていく。終わればアドレスで連絡してくれるだろう。その間はレベリングと、テイミングの挑戦だ。


「よし、それじゃあ取り敢えずゼファーのレベリングをしよう。目標はゼファーのレベルが20になるまでだな!」


 今がレベル10なのでそれなりに先は長いが、今までがミュアをメインで戦闘してたのでそれをゼファーメインで戦わせればもう少しは早くなるだろう。厳しいようであればミュアをサポートにすればいい。


 俺が直接手を出してしまうと、プレイヤーの方に戦闘貢献度の比率が偏ってしまうので、極力手を出さない。やっても『鼓舞』や『モンスターリンク』のような強化するサポート程度だ。


 昨日、ログアウトしてから確認したゲーム内掲示板でその手の情報は収集済みだ。なお、ゲーム内掲示板はプレイヤーであれば専用サイトにアカウントログインすることで、ゲーム外でも確認することができる。書き込みも可能だ。


 取り敢えず、従魔の育成には従魔だけの力で戦わせるのが一番手っ取り早いのである。まぁ、低ランクモンスターだと最初はそううまくいかないので、結果的にプレイヤーの手出しは必須なのだが。


 ゼファーなら、モンスターリンクで俺のMPと共有化しておけばそれなりに精霊術を使える筈なので、『緑精の大旋風』さえ使わなければレベル20超えのエネミーモンスター相手にもある程度は有利に立ち回れるだろう。


 とにかく強くなるには努力あるのみだぞ、ゼファー。まぁ、俺はそのお零れで少しずつレベルアップするのだが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る