先に進もう
「お疲れ様ー! 二人とも凄かったわね! あっ、勿論ゼファーも凄かったわよ!」
戦闘終了後、離れた場所で見ていたリーサが俺たちの方に走ってくる。あっちも特に何もなかったようで何よりだ。
仮に戦闘フィールドでもない場所で何かしらあれば、それは他のプレイヤーからのちょっかいくらいしかないのだが、今のところはそういうプレイヤーは見かけていない。
随分治安がいいものだが、それも運営側の頑張りがあってこそだろう。これからも頑張ってもらいたいものだ。
「えっと、これ進んで大丈夫なのよね? 私だけまたあのおっきなゴーレムが出てくるなんてないわよね?」
「ないない。パーティーメンバーなら問題なく通れるぜ」
これでボスモンスターを倒した俺とレンはこの先のエリアへ進行可能となったが、同一パーティーなので挑戦していないリーサも、ボスがリスポーンするまではここを通って先に行くことができる。
ただし、リスポーン後に再度通る時は流石に戦わないといけないが、それは一度戦った俺たちも変わらない。
因みにパーティー外のプレイヤーがボスが倒されているのを確認してちゃっかり通ろうとしても、普通に即リスポーンして戦闘になるので意味はない。漁夫の利は得られないのだ。
因みにこの先は市街地エリアなので、転移ゲートが使用できる。
「転移ゲートか。でも利用料はお高いんでしょう?」
「いや、それがそうでもないんだぜ?」
俺のボケにクスクス笑いながら答えるレン。
どうやら転移ゲートを使用する場合、はじまりの街のようなエリアの中心となる市街地エリアから鉱山の村のような小規模の市街地エリアに移動する場合は有料なのだが、小規模の市街地エリアから中心となる市街地エリアに戻る際には料金が発生しないのだと、説明するレン。
「つまり、この先のエリアからならタダではじまりの街に戻れるってわけか」
「そういうこと。ただ、今回は戻ってくる時にお金がかかるから使わないけどな。明日色々と見て回りたいし、ダンジョンもあるらしいからな」
「なるほどねぇ。了解」
それならばこのまま先に進んで、鉱山の村の転移ゲートを開放してから、今日は一度解散したほうが良さそうだ。
「取り敢えず、今日はこれくらいになるかなぁ……。流石に初日だし、朝からずっとダイブしてるから俺はそろそろ怒られそう」
「私も〜。まぁ、明日以降はもっと長めに時間伝えるからガンガンやれると思うけどね! 二人に追いつかなきゃいけないし、人形も作らないといけないしね!」
「実家暮らしは大変だなぁ」
「全く、一人暮しは気楽で羨ましいぜ」
時刻も既に20時を越えているので実質一人暮らしな俺はともかく、実家暮らしの二人はそろそろログアウトしないと面倒なことになりそうだ。
まぁ蓮司の家の場合、割と放任主義なのかいくらゲームをしてても特に何も言われないらしい。とはいえあまりにも長引くとご飯は没収されるらしいが。
有沙の家は、割とこういうものの時間には厳しいらしいので、今日はちゃんと終わる時間を伝えておいたらしい。何時なのかと聞けば、割とギリギリだった。
「よし、じゃあ先に進むか」
レンの先導の下、先に進む。実はβテストの時とはエリアの構成が結構変わっているらしく、廃坑道はβの時にはなかったらしい。
なので、レン自体もこの先のエリアに何があるのかは知らないということだった。
だからだろうか、心なしかレンの足が勇み足になっている。……いや、追いつけないからもうちょっとゆっくり歩いてくれる?
そして、俺たちは坑道の出口に横並びになる。エリア移動を伴うためその先には白い光しか見えない。外の様子は分からない。
俺たちは期待に胸を膨らませて、新たなエリアの一歩を踏み出す。まぁ、まだ第一エリアの中なんだけどね。
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