ボスに挑もう

 採集し始めてから十数分。順調に陶芸土を入手することができていたが、入口付近だけではやはり450個なんて数が揃えきれる筈もなく、俺たちは少しずつ奥の方へと進んでいく。


 坑道自体は何本か道が分かれており、その先々に採集ポイントがあるため、そこを採掘していく形となる。


 他のプレイヤーとも会うタイミングがあったので、レンはそれらのプレイヤーが陶芸土を持っていないか、そして譲ってもらえないかを訪ねていた。陶芸土は売っても大したお金にならないため捨てる場合が多いのか、所持しているプレイヤーは少なかったが、何人かはストレージにいれっぱなしだった人もいる。


 通常、アイテムを交換するにはフレンド登録をする必要があるが、不要なアイテムをストレージから放棄するとその場にアイテムが置かれる仕様が存在するため、レンの場合はそれを利用して陶芸土を譲ってもらうことにしたようだ。


 因みにこのやり方は市街地エリアでは使えない。市街地エリアでは景観の為に放棄を選択できないからだった。


 中には100個以上入れっぱなしにしていたユーザーもいたので、それだけで予定の数にだいぶ近づくこととなった。


「さて、あと50個くらい集めれば目標なんだが、実はもうかなり奥の方に来ている」

「だろうな、さっきから出てくるモンスターが硬くなってるし」


 坑道内では坑道モグラやストーンゴーレムなどが出現する。


 流石にリーサを庇いながらだと、何でもかんでも避けるわけにはいかない。『緑風の弾丸』や『鎌鼬』の精霊術スキルや、初心者の杖に持ち換えてからの『横薙ぎ』で対処しているが、それでも被ダメージ量は増えてきた。


 まぁリーサが適時回復してくれるので、何とか持っているが。ゼファーも時折ヒールストームで回復してくれている。


 ストーンゴーレムに関してはドロップで陶芸土を落とすことがあるので、レンは喜々として狩っている。剣でゴーレム相手なんてすぐに歯こぼれしそうだが、そこは例の【簡易修復】を使って適時修復しているようだ。MPを使って瞬時に修復するスキルと時間をかけて修復するアーツのニ種類をタイミングに合わせて使い分けていた。


「因みにもうこの先はボスエネミーなんだが、この際ボスを倒すというのもありかと思ってるんだが、ユークはどう思う?」

「……どのみち、採集ポイントの復活には時間がかかるし、残り時間を考えるとまぁ挑戦するだけ挑戦するのははありかもしれないが、ボスの種類と適正レベルは?」

「ボスはセラミックゴーレム、適正レベルは25だな。まぁ完全に格上相手になるな」

「はっ、上等じゃねぇか。【ジャイアントキリング】なめんじゃねぇぞってな。それにセラミックなら陶芸土をかなり落としそうだな」

「あぁ、セラミックは磁器だからな。材料はいっぱい落としてもらおう」


 因みに現在は少しレベルが上がって、レンがレベル22、俺がレベル14、リーサがレベル3となっていた。


 リーサの場合、あまりレベルを上げすぎると人形製作の前にレベル10になってしまうので、途中から戦闘には参加しないようにしてもらっていた。


 パーティーでの経験値は戦闘での貢献度によって変わるため、全く貢献しなければ経験値はほとんど手に入らないようになっている。本来なら低レベルのうちは少しでも貢献してレベルを上げないといけないのだが、こればかりは仕方ない。


「二人とも頑張ってね!」

「おう、任せろ!」


 取り敢えず、リーサにはボスエネミー戦の際には離れた場所で待機してもらう。


 そうすれば同じパーティーでも戦闘フィールドには入らないため、ボスエネミーの攻撃にさらされることはない。


 ボスエネミーがいる場所は一種のセーフティーエリアになっているので、取りあえずは他のモンスターに攻撃されることはないだろう。


 そして、俺とレンは廃坑道のボスエネミーであるセラミックゴーレムと対峙する。

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