アルターテイルズ・フロンティア・オンライン〜普通の従魔士を目指していたら、いつの間にかNPCテイマーと呼ばれてました〜

人形の作り方とレンのステータス

「取り敢えずレンの言うとおり、生産者ギルドに登録してきて生産レシピを見させてもらってきたよ。人形のレシピは幾つかあるみたい」

　リーナが生産者ギルドから戻ってくる。レンの提言で外に出るためのギルド登録のついでに、ギルドで公開されている生産レシピを調べることになった。

　生産者ギルドの機能の一つで、基礎レシピと呼ばれる生産レシピを調べることができる。

　生産職の場合、特定のアイテムを生産することが条件になっていることが多いため、それらの作成の為にレシピが公開されていることがある。

　勿論、基礎レシピをそのまま作ったからといって必ずジョブを習得できるわけではないが、少なくとも条件の一つを達成か、それに近い状態に持っていくことができる。

　今回の場合は条件がわかっているので、それに倣って達成すればいい。

　人形製作士の習得条件は、【人形製作】を習得していること、ランク☆3以上の人形を製作することの2つである。

　アビリティの方はクリアしてるので、問題は作る人形の方。人形製作の仕様は知らないものの、☆3といえばそれなりにちゃんとしたものを作らないと達成することはできないはずだ。

「えっと、人形は取り敢えず部品ごとに作る必要があるらしいのね。それと、評価の基準は関節の精度と素材のレア度らしいわ」

　リーサが説明すると、どうやら【人形製作】で作る人形は複数種類あったらしいが、リーサが作りたいのは普通に人体の構造通りに作るタイプの人形で、陶磁器製のものらしい。いわゆる『ビスク・ドール』と呼ばれているものだ。

　各部位のパーツを作成しなくてはならないらしいが、その点は『クラフト』スキルで自動作成が出来るので、☆3程度までならよほどのことがなければその作り方で問題はないだろう。

　流石に評価基準となる関節の部分はアーツの方の『人形製作』であるマニュアルクラフトで大本となるものを作る必要があるようだが、マニュアルクラフトは一種のリズムゲームみたいなものらしいので、その点はリーサに頑張ってもらうしかない。

　なお、マニュアルクラフトで作った関節は『クラフト』スキルで複製しても問題ないらしい。中々便利だな、『クラフト』スキル。

　見慣れないパーツで言うと、『マギアハート』や『アニマハート』などを選択して取り付ける項目があるが、リーサ自身もそれらのパーツが何なのか分かっていないので、取り敢えずこのゲームでは必要となるものなのだろう。こちらもマニュアルクラフトでの作成が必要なようであった。

　素材のレア度で評価が変わるが、まずもってリーサが作りたいというビスク・ドールの素材となる陶芸土やその他素材を探す必要がある。

　特に陶芸土に関してはどういう場所で手に入るのか全くわからないので、レンに掲示板で素材関係の書き込みがないか探してもらっていた。そういうものに不慣れなリーサよりも、レンのほうが探し出すのはうまいので任せることにしていた。

　他の素材に関しては、草原エリアや森林エリアで見つけられたり、NPCの店で買えるようなものばかりだった。

「ん、あった。陶芸土は……あぁ成程、あそこにあるのか」

　レンは陶芸土の在処を探し出したが、その場所を知って苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

　何かというと、陶芸土が採取できる場所がさっき一騒動あったレンのβテスト時代の仲間たちと一緒に昼まで攻略していた廃坑道にあるという情報だったので、意図せず攻略していた場所の先にあるものの情報を見てしまったらしい。いわゆるネタバレというやつである。

「廃坑道か……まぁ、俺が前衛で戦えばユークがリーサを守りながらでも行けそうだな」

　まぁ確かにレベル21ならある程度のレベル帯のモンスターでも問題ないだろうな。

　テイムを試してみたいが、流石にレベル1のリーサを護衛しながら試す度胸はない。仕方ない、諦めよう。どうせ、レンがある程度斬り伏せるからテイムする暇もないだろう。

　そういえばレンのステータスを見せてもらってないな。一応、チームを結成する予定だから確認させてもらおう。俺のやつは後回しだ。

　――――――――――――――――――

　名前：レン

　P（パーソナル）レベル： 21

　種族：人間族

　得意武器：剣

　ジョブ：双剣士（デュアルソードマン） レベル8

　HP：290 / 290（+20）〈+30〉

　MP：180 / 180〔-20〕

　STR：226（+68）〈+35〉〔+20〕

　VIT：74（+25）

　INT：18

　MIN：40

　AGI：209（+28）〈+50〉〔+30〕

　DEX：61

　SP：0

・アビリティ（7ポイント）

【剣術 レベル7】【加速術 レベル4】【自動回復】【メタルボディ】【投擲 レベル1】

【不屈】【起死回生】【致命の一撃】【簡易修復】【火傷耐性】【軽量化】

・スキル

『クイック』『メタルボディ』『簡易修復（MP）』

・アーツ

『ファーストスラッシュ』『クロススラッシュ』『ブレードラッシュ』『スラッシュエッジ』『簡易修復（時間）』

〈ジョブ〉

・特性

　習得時、AGI +30、STR +20、MP -20

　ステータス補正：STR +3、AGI +1、DEX +1、INT -3、VIT -1

　メイン武器【剣】を２本装備可能。

・ジョブアビリティ

【双剣戦術 レベル2】【二刀流】【捨守の型】【瞬脚】

・ジョブスキル

『ブレードステップ』

・ジョブアーツ

『ダブルスラッシュ』『クロススラッシュ・デュアル』『ブレードラッシュ・デュアル』

〈装備〉

・武器

　メイン：ブロンズギルドソード、ブロンズギルドソード

　サブ：ブロンズギルドナイフ

・防具

　頭：紅石の耳飾り

　胴体：ブロンズギルドメイル

　腕：ブロンズギルドアーム

　手：剣士のグローブ

　腰：ブロンズギルドベルト

　脚：ブロンズギルドグリーブ◎

　靴：速駆の靴

　外套：なし

・アクセサリー

　素早さの護符

　筋力の護符

　耐久の護符

　ライトウェイト

　なし

　――――――――――――――――――

　うーむ、流石というかなんというか。

　桁が違うとかいうそういうレベルじゃなかった。STRとかAGIとか200を越えているんだけど、普通に一撃食らったら俺とか即死だな。……あ、【緑の息吹】があるから一発は耐えられるのか。

　化け物じみたステータスの要因はジョブの特性にある。まず、習得だけでAGIやSTRがかなり上がっている。

　次に武器だが、ブロンズギルドソードはSTR +20の冒険者ギルドで買える武器らしいが、それを双剣士のジョブ特性で２本装備できている。そこにサブ武器でSTR +10のブロンズギルドナイフを装備しているので武器だけでSTRが+50となる。

　これがまだブロンズギルド装備だからこの程度ですんでいるが、アイアンランクになれば購入できるレベル20で装備可能なアイアンギルド武器の場合はステータス追加がそれぞれ+30、+20となるらしいので、そうなると更に跳ね上がることとなる。

　因みにブロンズギルド防具は近接向けモデルで、それぞれHP +5、STR +2、VIT +2、AGI +2するというもの。レベルアップ時に増える基礎増加値と同じ値だが、それが4つだ。頭もあったが、完全にメットをかぶる形になったのでやめたのだという。

　耳飾りはステータス追加はないが【火傷耐性】を与え、剣士のグローブはVITを+7、速駆の靴はAGIを+10するというもの。いずれも装備可能レベルは10となっている。

　アクセサリーは一つのステータスを+10する護符シリーズを3箇所分装備しており、ライトウェイトは武器の重さを感覚的に軽くする【軽量化】の効果アビリティを付与する。

　スキルやアーツもかなりの数が揃っている。【不屈】や【起死回生】といった俺も獲得しているものもあれば、【簡易修復】みたいな見たことないアビリティもある。色々聞きたいが、さっきからリーサが睨みつけてきているので、後で暇な時に詳しく聞いてみよう。

　リーサの装備に関しては、俺とレンが護衛に回るので、今新調する必要はないと判断して後回しにする。どのみち人形を作るときに一部の材料は購入する必要があるため、お金はある程度残しておく必要がある。