新たな出会いと次への一歩

蓮司との電話

 その後、何度か戦闘を繰り返して森林エリアを抜けた俺たちは無事にはじまりの街へと帰還することができた。その間に俺のプレイヤーレベルは12まで上がり、ゼファーのレベルも3まで上がっていた。


 その間に精霊王の宝風剣を使って精霊術スキルを使ってみたが、どれも鼓舞を使ったゼファーの精霊術以上のダメージを叩き出していた。


 媒体としては最高ランクっていうのは本当にその通りだったようで、確実にステータス以上の威力を出している。本当にいい武器を手に入れたな。


 ゼファーははじまりの街につくやいなや、どこかへと飛び去ってしまう。飛び去る最中にその姿が半透明になったので、おそらくは精霊の特性みたいなもので姿を消して街の様子を見て回るのだろう。俺が見えるのは契約者だからだと思う。


 従魔に関しては、特定の施設を利用しないでログアウトした場合、そのままその場に残ってしまうため、こうして自由な行動を取ってもらったほうがありがたかったりする。まぁ自由すぎても連れ戻すのに手間取ったりして大変なのだが。


 そんなこんなで、時刻は17時を回っていた。


 そろそろ有沙との約束の時間に近いが、一度蓮司と合流したほうがいいだろう。


 蓮司やシグねぇとは、ダイブコネクト自体のフレンドリスト登録をしていたため、アルターテイルズ上でも既にフレンド状態だったりする。自動登録だったため、今の今まで完全に忘れてた。


 サザンカさんとフレンド登録したときは、既にこの二人とはフレンドだった訳だ。まぁ、フレンド登録自体は初めてだったので間違いではない。そう間違いではないのだ。


 フレンドリストを見ると、蓮司のプレイヤーネームであろう『レン』とシグねぇのプレイヤーネームであろう『シグ』の下にサザンカさんの名前がある。……シグねぇのプレイヤーネーム、この名前ならシグねぇはここでもシグねぇと呼んでも良さそうかな? 後で確認しておこう。


 で、レンとシグねぇの二人はどちらもログアウトの状態だった。まぁ9時からやっていれば、ダイブコネクトの連続ログイン可能時間である8時間はちょうど今になる。そこまでずっと遊んでいたら、このタイミングでログアウトになるのは当然であった。


 取り敢えず、俺もログアウトして蓮司に連絡してみることにしよう。ついでに有沙に連絡して、できるならダイブコネクトのフレンドリスト登録をさせよう。


 ……まぁ初期設定が終わってたらの話だけどな。




『そうかそうか、無事に従魔士になれたのか。良かったな悠人』

「ホントたいへんだったわ。色々ありすぎて説明するのも面倒だから省略するわ」

『いや、そこは説明しろよ』


 ログアウト後、有沙の方の確認をするとまだ初期設定に悪戦苦闘している様子だったので、ひとまず俺が参考にした初期設定のガイドサイトのアドレスを送っておいた。


 泣きながら感謝の気持ちを示しているようなイラストのスタンプが送られてきた。


 次に蓮司の方へ電話すると、普通に出たので取り敢えず現状の進行度を伝え合う。まぁ、装備のこととか精霊のこととかは伝えないが。


 蓮司の方は、βテスト時代に一緒にパーティーを組んでいたメンツと一緒に進め、ジョブも目標としていたもの――ぼかされたが、クラス3ジョブとのことらしい――を習得し、現在は草原エリアの西にあった廃坑道の探索中だったようだ。


 パーソナルレベルも既に21まで上げており、ログアウト時点でまだ12までしか上げれなかった俺とはかなりの差がついている。


 ステータスもAGI特化と言っていたが、STRとAGIの数値は100超えらしい。


 装備はまだギルド装備らしいが、それでも満遍なく数値が上がるのでしばらくは使えると蓮司は言っていた。多分、装備に関しては蓮司よりもいいものを使ってるかもしれない。


 まぁ教えてやる義理はないから、イアンの店のことは内緒にしておこう。


「そのパーティーと今後も一緒にプレイするのか?」

『いや、俺はお前たちと一緒にプレイするって言っただろう。その為にあいつらのチーム結成を蹴ったんだから』

「えっ、それ大丈夫か? ってか、チームって何?」


 蓮司は小さく『大丈夫』と呟く。


『んで、チームについてだが、チームってのは本サービスで追加されたシステムだな。固定パーティーを組む際にチームチャットとか使えるようになったり、冒険者ギルドとかにあるチームルームをレンタルできたりする』

「へー。そういうやつがあるんだな。なんか仲間内でワイワイする感じで楽しそう」

『だよな。今後はチームで対決する運営イベントとかが開催されるだろうから、チームは早めに作っておきたいところだ』

「チーム対抗かぁ……それなら、取り敢えず有沙は仲間に入れるかなぁ。あいつ仲間外れにしたら絶対泣くし」

『そうだな。だからこそ、俺はお前たちと一緒にチームを作りたいと思ってる。それだけは、忘れないでくれよ』


 何やら意味深な感じで話を締める蓮司。


 取り敢えず、有沙の方はまだ時間がかかりそうなので続きはアルターテイルズの中で直接話をすることになった。


 なんか問題を持ってきそうな気がするが、今のところはスルーすることにした。

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