ゼファーの戦い方
それでは、次にゼファーの方のステータスを見てみよう。
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名前:ゼファー
レベル:1
種族:精霊
状態:特殊契約従魔
HP:50 / 50
MP:300 / 300
STR:24〈×1.2〉
VIT:24〈×1.2〉
INT:120〈×1.2〉
MIN:60〈×1.2〉
AGI:96〈×1.2〉
DEX:60〈×1.2〉
・アビリティ
【精霊術・風】【回復術】【木工術】【いたずら心】【飽き性】
・スキル
『
・アーツ
『突風』
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えっと……。ゼファーくん、レベル1なのにちょっと強くないですか?
普通にMPとかINTとか、従魔士の補正抜きでも俺の数値越えてるんですけど。まぁその分、物理性能やHPはその体格らしい数値をしていた。
精霊自体がかなりの高ランクモンスターな上に、あくまで自称だがゼファーは上位精霊と言っていたから、かなり強い方の精霊なのだろう。だからこそのこのステータスなのだろう。
これでレベルが上がればもっと強くなりそうだが、テイムモンスターは特定のレベルでしかステータス値が上がらないので、成長は緩やかだ。だからこそ高ランクモンスターをテイムする必要があるのだが。
モンスター自体も、アビリティやスキル、アーツを持っていることはβテスト時代には明らかになっていたが、流石は特殊契約従魔だけはあって、【突進】や【跳躍】くらいしか持たないホーンラビットと違って色々覚えている。
特に【回復術】で使える『ヒールストーム』なんかは咄嗟の回復に役に立つだろう。
【木工術】のスキルである『クラフト』は、ゼファーの気が向いたらやらせてみるのもありかもしれない。どんなものを作るのか、すごく気になる。
あと、【いたずら心】と【飽き性】に関しては、単純にデメリットとなるアビリティだった。【いたずら心】は低確率で使役者に対していたずらを働くことがあるという行動アビリティ、【飽き性】は戦闘中に極低確率で命令を聞かずに動かなくなるという効果アビリティだ。どちらも低確率とはいえ、戦闘中に起きると厄介なことになりそうだ。
自分のことを色々考察されていると思われていないのか、ゼファーはキョトンとした表情でこっちを見ていた。かわいい。
「おい、相棒! そろそろ外に出よーぜ!」
ゼファーが外に出るのを催促してくる。確かにクリア報酬は受け取ったので、もうこの隠しダンジョンに残っている必要はないな。
ここはこのあとどうなるのかとゼファーに聞くと、しばらくは無人だがしばらくしたら別の精霊が住まうようになって、そこで新しい精霊の隠しダンジョンになるのだという。住まうようになる精霊の属性はランダムで、その属性に対応する精霊石がやはり必要なのだそう。
なお、このはじまりの街周辺のフィールドで『精霊の隠しダンジョン』は少なくともここだけらしい。俺の場合、ホントに運が良かったのだと実感する。
そして、ゼファーと共に再びフィールドエリアへと転移する。三本の木が立ち並ぶ森林エリアの奥地だ。
推奨レベル外通知がけたたましいので、設定でレベル6以上の場合に通知するように変えてから、早急に退避する。普通に推奨レベル28とか、もう逃げるに限る。
そしてしばらく走った先でアラートが鳴らなくなったことを確認し、周囲を見回す。うむ、二時の方向にアッシュウルフが三体。
死に戻った時と同じシチュエーションだが、あの時は完全に不意打ちだったからな。
レベル14が一体とレベル12が二体か。
「さて、ゼファー。お前の力を試させてもらうが、いいか?」
眼前に現れるアッシュウルフを見ながら告げると、ゼファーはキョトンとした眼差しで俺を見つめるが、すぐにニヤリと笑う。
「ん? いいぜ! 相棒も新しい技、試したいだろ?」
ハハハ、よく分かってるな。
確かに俺もゼファーと契約したことで【精霊術】を覚えたからな。こいつの使い勝手も確かめたいところだ。
まぁまずは例の短剣ではなく初心者の杖を使おう。精霊術に対する補正がない状態でのダメージがきになるところだ。
「それじゃあ、行くぞ! 『
手に持った杖を眼の前にかざして、アッシュウルフに向けて精霊術スキルの一つ、『緑風の弾丸』を発動する。
戦闘フィールドに移行する最中、先手として放ったスキルは杖の先から丸い風の玉を作り出し、その風の玉は勢いよく前方に解き放たれる。
瞬間、レベル12のアッシュウルフの一体が避けきれずに命中すると、そのまま後方に吹き飛んでしまう。
「ガウッ!?」
その攻撃に呆気にとられる他のアッシュウルフ。物理耐性は高いが、どうやら魔術系の攻撃には弱いようで、命中したアッシュウルフはスキルの一撃で3割近くのHPが削れていた。
消費したMPは30程度か。連発するにはまだMPが物足りないが、攻撃手段としてはかなり優秀だ。
「じゃあ、おいらも行くぞー! 『
ゼファーが自身で精霊術スキルを発動する。先程とは別のレベル12のアッシュウルフに当たり、吹き飛ばす。俺とゼファーのINTの値は結構離れていたが、ダメージ量は変わらない。どうやら固定ダメージを与えるスキルのようだ。おまけにノックバックも一定確率で与えるらしい。
アッシュウルフたちはこちらから強襲してきたことも相まって、格下相手なのに『畏怖』の状態になっているようだ。……よし、今のうちに色々試してみよう。
「次はこいつを使ってみるか! 『鼓舞』!」
俺が従魔士のジョブアーツである『鼓舞』を使用すると、ゼファーの体がほのかに黄色に光りだす。この状態で次に使用するスキルの効果は高くなる筈だ。
もう一度『緑風の弾丸』を使えば、どう高くなるのかが分かるはずだ。
「ゼファー、もう一回『緑風の弾丸』を使ってくれ!」
「えー? おいらは別の技を使いたいぞ!」
おや? ゼファーが言うことを聞かないぞ?
ゼファーの状態を見てみれば、【飽き性】の効果が発動していた。成程、そういう感じなのねそれ……。
とはいえ、このままでは検証にならないので、俺は行動ゲージを気にしながら、『号令』のアーツを使用する。これでゼファーはよほどのことがない限り、俺の指揮に従ってくれる筈だ。
「頼むぞ、ゼファー! 『緑風の弾丸』を使ってくれ!」
「ちぇー、仕方ないなぁ……。『緑風の弾丸』っ!」
ゼファーは嫌々ながら、先程攻撃したアッシュウルフに対して風の玉を打ち込む。
ダメージ量は……先程の約1.2倍くらいか? 正確に数値が分からないので確証は得られなかったが、まぁ少し強くなるって感じだろう。アーツなのでMPの消費もないからどんどん使っていこう。まぁ連続で使うと行動ゲージが切れるから、程々にするが。
その後はゼファーが暴れたがっていたので、好きに戦わせることにした。ゼファーが指揮なしでどれだけ戦えるのかを確認するためだ。
結果、ところどころスキルの使用中に相手の攻撃を受けそうになった事以外はそこそこうまく立ち回れているようだった。
そもそも体格的に小さいゼファーは攻撃を受けづらい。AGIも十分に高いので、仮にスキルの使用中に攻撃されても避けるのは容易だったというのが不幸中の幸いか。
まぁ、とにかく俺の獣魔は強くてかわいいということが分かったので良しとしよう。
……そういえばこいつ、性別はないんだろうか?
聞いてみたが、分からないと言われた。
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