精霊石に導かれ

「帰ってきたぞ、森林エリア!」


 ようやく森林エリアに戻ってきた俺は、誰もいないことを確認して思いっきり叫ぶ。


 サザンカさんと交換した『星森のペンダント』だが、俺の予想通り『精霊石【風】』を中に入れることができた。


 最初はサイズが違ったので無理じゃないかと思ったが、何とか入れることに成功した。


 というか、吸い込まれるように消えたときはちょっと焦った。まぁ取り出すことが出来たので問題はなかった。


 因みに精霊石【風】を入れた際の星森のペンダントの効果は、


『星森のペンダント(精霊石入り)(☆4):アクセサリー。飾りの中に精霊石を入れたペンダント。

 AGI+40、DEX+10』


 というふうになった。えっ、普通に強くない?


 これもレベル制限がないため、かなりの効果にも関わらずレベル1でも装備できる。まぁ中に入れる宝石か結晶アイテムが無ければただのAGIが10しか増えないアクセサリーなのだが。


 そんなこんなで今のステータスはこんな感じだ。


 ――――――――――――――――


 名前:ユーク

 Pパーソナルレベル: 9

 種族:人間族

 得意武器:杖

 ジョブ:来訪者


 HP:145 / 145

 MP:200 / 200(+50)

 STR:46(+10)

 VIT:56(+35)

 INT:36

 MIN:21

 AGI:61(+40)

 DEX:76(+10)〈+30〉


 SP:2


・アビリティ(2ポイント)

【杖術 レベル3】【テイミング レベル2】【友好化】【緑の息吹】【黒龍の印】【観察眼】【起死回生】【幸運】

・スキル

『テイミング』

・アーツ

『強力杖殴り』『横薙ぎ』


〈装備〉

・武器

 メイン:初心者の杖

 サブ:なし

・防具

 頭:なし

 胴体:森狼の革鎧(上)◎

 腕:森狼の革鎧(上)

 手:なし

 腰:森狼の革鎧(下)

 脚:森狼の革鎧(下)◎

 靴:森狼の革鎧(下)

 外套:なし

・アクセサリー

 幸運の眼鏡

 星森のペンダント

 なし

 なし

 なし


〈称号〉

【ジャイアントキリング】


 ――――――――――――――――――


 うむ、いつの間にかAGIが最弱から二番目に高いパラメーターステータスになっている。


 装備の恩恵がかなりのウェイトを占めているが、まぁよくここまで上がったものだ。


 とはいえ、βテスターたちは既にレベル20とか普通に超えているだろうから、まだまだなのだが。


「さて、そんじゃあ行きますか! ……って、何だこりゃ!?」


 意気揚々と森林エリアの中に入った俺は、突然胸のペンダントが光りだしたのを見て驚きの声を上げてしまう。


 え? なにこれ? ペンダントの効果……ってわけじゃなさそうだ。どうやら、中に入ってる精霊石の方が何かに反応している。


「えっ、これって光るもんなの?」


 慌ててBBSで調べてみようとするが、流石に同じような状態の話は見当たらないので、仕方なく自分で考えることにする。


 どうやら光は指向性を持っているようで、位置をずらしても光の向きは一定方向を向いていた。


 どうやらどこかを指し示しているようだ。


「そういえば精霊石って精霊が好むって書いてあったな……もしかすると、もしかするってやつか?」


 ――精霊石は精霊が好む。


 その精霊石が指し示すということは、その先にはもしかすると精霊がいるのかもしれない。だとすれば、善は急げというやつだ。


 つい先程までテイミングする気満々で森の中に入ったというのに、今はモンスターを無視して前へ前へと進んでいく。


 【観察眼】が働いてくれているので、モンスターの襲来を避けることができた。


 流石にさっき死に戻った辺りより先は【観察眼】が働かないので気をつけないといけないが、今はだいぶAGIが上がったから、逃げることも難しくはない。


 アッシュウルフが無視されて、呆気にとられている様子が見れないのが残念だ。まぁ、そんな余裕はないからな。


 既にさっき死に戻った場所からはかなり奥の方に進んでおり、今いる場所の推奨レベルは26を超えている。そもそも向かった所でテイムできる保証もないが、それでも気になるなら行くしかないでしょ!


「……っと、ここら辺か?」


 光の方向が定まらなくなったので、おそらく目的地だろう。何とか敵に鉢合わずに辿り着くことができた。サザンカさんには感謝だ。


 しかし、その周囲には特に何という目立ったものはない。あるとすれば、周りの木々よりも少し大きめの樹木が何本か立っている感じだろう。


 それらの木を重点的に調べることにしよう。


 一本目。特に何もなし。


 二本目。こちらも無反応。


 三本目。やや精霊石の光が動いた? しかしそれ以外の反応はない。


 一通り見てみたが、特に何もなさそうだ。ではさっきまでの光は何だったんだろうか。


 悩みつつも周りを見ると、三本目の木から一本目と二本目の木が等間隔にあることに気づいた。


 どうやらこの三本の木、互いに同じ距離だけ離れているようだ。


「だとすると、この三本の木でできる三角形の中心が怪しいな」


 狙いを絞って、それらの木々のちょうど中心に足を踏み入れる。




〈『精霊の隠しダンジョン』を発見しました。入りますか?〉




 ――ビンゴ! やはり、ここが精霊のいる場所のようだ!


 取り敢えず、アナウンスに従って隠しダンジョンの中に入ることを選択する。


 するとペンダントの中の精霊石が緑色に輝き、気付けば俺の体は見知らぬ洞窟のような場所の中にいた。

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