想定外のリザルトと掲示板

 はじまりの街の噴水に死に戻った俺は、レベル12のアッシュウルフを一体でも倒したことからかなりの経験値を獲得し、再び脳内にアナウンスが響き渡る。


 通常死に戻った場合は、その原因となった戦闘で得られる経験値は全て失われてしまう為、これはまぁレベル10未満の際のレアケースなのだろう。


〈獣骨【中】×1 、魔核【中】を入手しました〉

〈経験値を獲得しました。レベルが2、上がりました。アビリティポイントとステータスポイントが付与されました〉

〈習得可能アビリティに【起死回生】【不屈】【溜めの動作】が追加されました〉

〈称号【ジャイアントキリング】を獲得しました〉


 結果、レベルは9となる。経験値のゲージも残り半分と、たった一体しか倒せていないがかなりの経験値の量だったようだ。


「うう、まだテイム成功してないのにレベル9かぁ……しかし、結構新しいアビリティを覚えられるようになったな。それに称号って……?」


『【起死回生】:効果アビリティ。HPが3割未満の時、STRとINTの数値が1.5倍になる』

『【不屈】:効果アビリティ。HPが7割以上の状態でHPが0になる攻撃を受けた際にHP1で耐える場合がある』

『【溜めの動作】:行動アビリティ。スキルやアーツ使用時に溜めの動作が行えるようになる。溜め時間に応じて威力や効果が上昇。最大溜め時間はレベルによって変わる』


 中々の激戦だったからか、習得可能になったアビリティはいずれも強い効果を持っていた。


 自身の方向性的に必要なのは【起死回生】と【不屈】だろう。【溜めの動作】に関しては、ぶっちゃけ現状だと使う場所が見当たらない。


 現在のユークのアビリティポイントは7ポイント。【起死回生】も【不屈】も習得には5ポイント必要だったので、取り敢えず【起死回生】を先に習得することにした。


「称号【ジャイアントキリング】……か。普通に負けたんだけどなぁ」


『称号【ジャイアントキリング】:レベルが5以上上のエネミーモンスターを倒したプレイヤーに与えられる称号。レベルが5以上、上の相手に対して戦う際に、全てのパラメーターステータスに+10』


 称号とはこのゲーム中に成し得た業績を称えるシステムである。称号にはそれぞれ効果があり、基本的には所持しているだけでそれらの効果は発動するため、持っておいて損はないだろう。


 現状であれば、レベル14以上の相手であれば【ジャイアントキリング】の称号効果が発動することとなる。とはいえしばらくは適正レベルの敵と戦いたいのだが。


「さて、どうするかなぁ……」


 時間を見れば既に時刻は13時を過ぎていた。


 連続で8時間はログインできるとはいえ、初めてのフルダイブVRだから少しでも疲れたと思えば休むのが一番だ。


 取り敢えず、俺は休憩がてらログアウトすることにした。





 ――――――――――――――――――


【森の荒熊に】森林エリア情報交換スレ Part4【ご用心】

・ここは第一エリアの森林エリアについての情報を交換するスレッドになります。はじまりの街や草原エリアについてはスレチになるので、該当スレで質問してください。

※公式管理スレッドです。迷惑行為はお控えください。


361:名無しの弩級弓士

 うわー! また負けた! もう、なんなよ、あのクソ熊!!


362:名無しの重装戦士

 >>361 エリアボスってそんなに強いんです?


363:名無しの錬金術士

 >>362 強い。今のプレイヤーのパーソナルレベルの上限が30に対して、エリアボスのレベルは42……といえばわかるかな?


364:名無しの重装戦士

 >>363 えっ、なにそれ無理ゲーじゃないですか!


365:名無しの斥候

 今、森林エリアですげーやつ見た。


366:名無しの錬金術士

 >>364 おそらくフルパーティー前提なんだろう。まぁまだ足並み揃えてレベル30まで到達したパーティーがいるとは聞いてないから、しばらく後にはなりそうだな


367:名無しの弩級弓士

 >>364 まぁ、気合があれば何とかなるわ!


368:名無しの錬金術士

 >>367 いやお前が言うなw


 >>365 まだ居るか?その話、詳しく


369:名無しの斥候

 >>368 スルーされたかと思ったわ。サンクス。

 えっと……なんて言えばいいのかな?

 アッシュウルフ3体に苦戦してるプレイヤーが居てさ、悪いとは思ったんだけどスキルでレベルチェックしたのな。そしたらレベル7だったのよ。

 このゲーム、救援要請してくれないと助けられないからハラハラして見てたんだよ。


370:名無しの弩級弓士

 あー、ちょっと気になるわよね、要請システム。パニクってたら使うの忘れちゃうし


371:名無しの錬金術士

 続けて


372:名無しの斥候

 そのプレイヤー、杖使ってたから多分杖術のアーツなんだろうけど、構えを取ったまま黙って立ってたのな。

 そして、左右から2体のアッシュウルフが、ガブリッ!って脚とか腹に噛み付いたのな。


373:名無しの重装剣士

 ひっ


374:名無しの弩級弓士

 ひっ


373:名無しの錬金術士

 流石に痛覚が抑えめとはいえ、ショックで強制ログアウトになりそうな光景だな。

 それで、そのプレイヤーはそのまま死に戻りか?


374:名無しの斥候

 それがな、噛みつかれながらもそのプレイヤー、アーツを2個同時に使用して、目の前から飛んできていたアッシュウルフの頭をかち割って、一発で倒しちまった。

 まぁそのまま死に戻っちゃったけど。

 ありゃ、並の精神じゃやってられねーわ。


375:名無しの重装剣士

 かち割ってって、モンスターの頭ってそんな簡単に砕けるんですか?


376:名無しの錬金術士

 普通は無理だろうが、そのプレイヤーがアーツを2重に使ったっていうのが味噌かもしれないな

 おそらく初速を上げるアーツで速度を上げてから、重撃系のアーツで加速分も合わせてダメージを増やした……ってところだろう

 何にせよ、そのプレイヤーが【ジャイアントキリング】なのは間違いないな。


377:名無しの斥候

 まぁそのプレイヤー、その前にテイミングスキルめっちゃ使ってたから従魔士志望みたいだけど。


378:名無しの錬金術士

 >>377 よりによって従魔士か……


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