第55話 聖騎士試験開始
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まえがき(今日更新分の1/2です)
GW記念でしばらく二話ずつ更新します。
読み飛ばさないようにしてください。
前回二話更新したとき、読み飛ばされている方が
5000名ほどいらっしゃいますので……
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「お、おはよう……レイナ」
今朝もいつも通り起きる剣也。
「お、おはようございます!!」
上ずった声でレイナが剣也におはようと返してくれる。
いつもの日常、しかし完全に昨日の出来事を引きずっていた。
ぎこちない二人が朝食をとる。
しかしレイナの方が、はっきりとおかしくなっていた。
「レイナ……今日は」
「は、はい! な、な、なんでしょう!」
ちょっとしたことで声が大きくなるレイナ。
完全に意識してぎこちなく、ほんのり頬を赤く染める。
「い、いや。今日は頑張ろうねって……」
「そ、そうですね!」
(わ、私なんでこんなに…動悸が…顔が……)
必死にいつものクールな顔を保とうとするレイナ。
しかし剣也と話すだけでどんどん口角が上がっていく。
「はは……」
(やっぱり昨日のこと引きずっているよ……き、気まずい…)
しかしそんなことに剣也は気づかず、そっぽを向かれて傷ついた。
それに会話がどことなく気まずくなる。
これは、そう。
中学生が初めて付き合ったとき一緒に変える放課後のような時間。
そんなふわふわとした時間が過ぎていく。
少し心地よさも感じるような。
…
「おはよう、ソード。今日は午後から聖騎士試験だってな。君なら何も問題はないと思うが……」
「毎年試験内容が変わるらしいから対策もできないけど……。頑張ってね、ソード君」
「ふん、認めたくないがお前達は私よりも強いんだ、合格は間違いないだろう」
ジン、リールベルト、ゾイド。
全員が、剣也達の合格を信じて疑わない。
そして午後、試験が始まる。
試験場には、1000人を超える受験者が集まっている。
とはいえ、各会場に100名ほどでブロックは分けられているようだ。
「レイナは……別のブロックみたいだね…」
「そうですね、頑張りましょう!」
両手でガッツポーズを作るレイナ。
何その仕草、めっちゃ可愛いな。
そして剣也は一人会場へ向かう。
「おい、あれって……」
「まじ? 同じブロックかよ……」
「あぁ、今年も合格できないのか……これで9浪目だ…」
「なんで皇族の騎士が聖騎士試験受けるんだよ……」
会場に来る剣也を全員が見る。
ソード・シルフィードの名はアースガルズ中に広まっている。
ロードの広報活動もあり、完全にロードの騎士として内定していた。
また剣也と仲がいいレイナ・シルフィードこと白銀の氷姫も同様にロードの陣営として広まる。
そういう意味では、完全にロードの思惑通りだと言える。
「えーテステス。時間になったので本年度の聖騎士試験を始めるぞ!」
すると会場の壇上に立つのは、スター大佐。
このブロックの試験官はスター大佐のようだ、正直何か思惑すら感じるのだが。
「本年度から国際情勢の変化をかんがみ、聖騎士試験が年々簡単になっているとの声をもとに試験内容を大幅に変更することにした!」
(アジア連合と戦争がはじまりそうだしな……)
剣也が思い出すのはアジア連合との戦争を宣言したオーディン・アースガルズの演説。
既に戦争は秒読み、皇帝の体調も日に日に悪化していると言うのできっともう時間はない。
「だからこそ、俺が今日聖騎士になる必要があるわけだが…」
だからこそ今日聖騎士となって、聖騎士長となってロードの騎士になる。
そして帝国剣武祭でオーディンに勝利し、ロードを皇帝にする。
それが剣也の目的、そしてロードの目的。
「えーでは、試験内容だが従来の筆記や、戦略など正直戦場で役に立たん。というより付け焼刃では効果がないと言った方がいいか。諸君らが目指すのは帝国の剣。聖騎士だ、ならば必要なのははただ一つ!」
付け焼刃の戦略など意味がない。
それこそロードのように命を削って学んだものでなければ戦場では効果がないだろう。
下手な作戦が身を亡ぼすのは剣也にも理解できる。
だからこそ、今日見るのはきっと。
「強さのみ!」
スター大佐の宣言のもと、今日の試験内容が発表される。
試験はシミュレーションを用いるようだ。
「今この会場には100名集まっている。そこでその100名全員でシミュレーターに同時に同じエリアにいってもらう」
(うわ、それって……)
剣也が思い出すのは、前の世界での人気モード。
100人でのバトルロイヤル。
KOGの基本モードとしてとても人気のあるモードで、剣也もたまに気晴らしにやっていた。
チーム戦ではないが、友人と一緒に参加して楽しんだりもすることができる。
女の子のプレイヤーと高レートの男がいわゆるブースティング行動などをするとも聞いたことがある。
実に羨ましい、いや、けしからん。
神聖なKOGのランク戦を何だと思っている。
俺? もちろん一人でしたが? なんならそういうプレイヤーはボコボコにしてましたが?
せめてコミュニケーション能力が高ければ俺だって腕がいいんだから彼女の一人ぐらいできたんだろう。
巷には、ゲームがうまいと彼女ができると聞いたのに、日本一になってもできなかったぞ。
日本大会で優勝した後、野良で潜っていたら一度誘われてパーティで一緒にやったことがある。
その時一緒にやった女性に、気持ち悪いと言われてから二度と女性と一緒にはプレイしていない。
操作が難しいと言っていたから懇切丁寧にあらゆるテクニックを教えてやったというのに何が悪かったんだろうな。
今でもわからない、三時間ぐらい滅茶苦茶手取り足取り教えてやったのに。
遠慮ぎみに「そ、そんな悪いですよー」と言っていた彼女に、遠慮するなと丁寧に教えてやったのに。
一体なにが……。
「そこでやってもらうのは、疑似戦争! チームは黒と白で50VS50のチーム戦とする!」
(なるほど戦争を模して二つの陣営で戦うということか、でもそこでどうやって聖騎士を選ぶんだ?)
「そこで最も敵を撃墜して、活躍したものを聖騎士とする! 活躍によっては、二人以上の合格もありうるが、基本は一人だ!」
(あーなるほどな)
「実際の戦場でも武功を上げられるかどうか、そして組織として動くことができるかどうか、そういった点を見させてもらう!」
スター大佐の話をまとめると、聖騎士になるための条件は二つ。
一つは、勝利すること。
どれだけ敵を倒そうとも、勝利がなければ意味がない。
そして二つ目は最も活躍すること。
実際の戦場でも武功の奪い合いにはなる、その中で活躍しそして勝利するというのは大事なことなのだろう。
しかしこれでは、協力などできない。
チームとして動くのに、武功は足枷でしかないのだから。
現実なら死というペナルティがあるため敗北するぐらいなら協力もできるが…。
ここではそうはいかないだろう。
しかしそれは杞憂はだった。
「そして敗北したチームには、ペナルティとして」
スター大佐がにやっと笑って言い放つ。
「二度と聖騎士試験の受験を認めない!」
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