第38話 どれぐらい好き?

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まえがき

コメント書いていただけている皆様!

全部読ませていただいてます。

面白いコメントもたくさんありがとうございます!

返信ができていないこと、申し訳ありません……。

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「レイナが好きなのか? 本気で」


「え? いきなりなんですか?」


 冗談かと思ったがジークの目を見て本気で聞いていると理解した。

だから剣也も改まって座りなおしジークに返す。


「はい、好きです。本気で」


 しばらく静寂が二人を包む。

真剣な空気、なぜジークがそんなことを切り出したのかはわからない。


「どれぐらい好きだ」


 まるで、私のことどれぐらい好き? と聞いてくる重い女だなと思ったが、これも親心なのか。

真剣に答える剣也、そんなものあの日から少しも変わってない、いやむしろ毎日膨れ上がるばかり。


「命に代えても守りたいぐらいです」


 かぐやと同じぐらい好き。

不純? でも本気で二人を好きなんだ。

二人を本気で好きになることはないなんて誰が決めた?

等しく平等に愛を注ぐことができないわけがない、そんなこと誰が決めた?


 人が決めた枠では、そういったことはご法度だ。

でもこの気持ちを嘘だと証明することなど誰にもできない。


 だって二人に剣也はガチ恋しているのだから。

この気持ちを嘘だとは否定させない。


「本気なんだな。わかった……認めよう」


「え? じゃあこれからパパって呼んだ方がいいですか?」


「ば、ばかもの! 結婚をではないわ!」


 てっきり結婚を認めるという意味だと思ったのだがそうではないようだ。

勘違いさせよって。


「これ以上はロード様が来られてから話す。それで剣也よ。お前の名前だがな」


 話を突然替えられた剣也は釈然としない思いながらも言葉を返す。


「剣也じゃだめなんですか?」


「あまり足がつきかねない名前はよくないだろう。そうだな、偽名はソードというのはどうだ? ソード・シルフィードだ」


「ソード……確かに剣也からならその名前もいいな……はい! わかりました!」


 アースガルズ人として活動する剣也の名前はソードとなった。

安直だが、偽名だしなんでもいいと思う。


「それから私のことは……パパと呼べ。ジークさんでは怪しまれる」


「結局パパなんですね」


「誠に遺憾であるが、この場合のパパはレイナの旦那という意味ではないぞ、一応息子という形だからだ。勘違いするなよ」


「りょ、了解です。パパ」


 パパと呼ばれてとても苦い顔をするジーク。

何か葛藤があるのだろうが、これからよろしくな、パパ! 

俺のパパとして活動してくれるそうだ、パパ活だな。


「そういえば、どっちが兄で姉なんですか?」


「む? それはどっちでも構わんな、好きにしろ」


「!?」


 その言葉に剣也に稲妻走る。


「好きに……」


 その意味を剣也は考えた。

頭をフル回転、思考が加速し世界の色が薄くなる。


 どちらがいいか、兄か弟か、姉か妹か

自分の性癖を満たす最高の選択をするために、後悔しない選択をするために。


(お兄ちゃんと呼んでもらう、もしくはお姉ちゃんと呼べる。な、なんて難しい二択! どっちも捨てがたい!)


 想像するのはレイナにお兄ちゃんと呼ばれる剣也。


「もう! お兄ちゃん! 朝だよ!」

「うーん、もう少し…あと5分」

「もう…えい! 起きて! お兄ちゃん!」

「こ、こらレイナ! お腹に乗るなー!」


 なぜか妹といえば寝ている兄を起こしに来るのをイメージするのは俺だけじゃないだろう。

なんて幸せなんだ、妹にしたい。


 そしてお姉ちゃん。

想像するだけで背徳的だ、綺麗なお姉ちゃんが嫌いな弟などいない。

実際に姉がいる人に言わせれば、ありえないというのだろうが。

でも妄想の中のお姉ちゃんはいつも弟に優しくちょっとエッチなんだ、そうだろ、みんな!


「うー、うー、あちらを立てればこちらがたたずー。いやどっちでもあそこは立つんだけども」


「お前は何を言っているんだ?」


 剣也が唸っているとレイナがエプロン姿で部屋に入る。

今日は和食のようで、みそ汁、だし巻き、白米と剣也にとっては最高の朝食が運ばれる。


「朝食です、剣也君、パパ」


「レイナ、俺にお兄ちゃんといってくれないか?」


「?……よくわかりませんが、お兄ちゃん?」


 首をかしげて剣也をまっすぐと見つめお兄ちゃんと呼ぶレイナ。


「ぐふっ! ごちそうさまでした」


 心臓を抑えてもだえる剣也。


「まだ食事前ですけど……」

「お前は何を遊んでいるんだ」


 剣也は尊死した。

それと同時にお兄ちゃんと呼んでもらうことに決定する。



 朝食を食べ少し休憩していたらロードが屋敷に訪れた。


「おはよう、みんな。よかったよ、また会えて」


「それでロード、これからどうするんだ? 計画を話してくれよ」


「あぁ、そうだね」


 そしてニチア同盟の面々が席に着く。

田中、ロード、ジーク、レイナ、そして剣也改めソード。


「ソードか……うん、いいんじゃないか?」


「剣也君が、お兄ちゃんですか…。わかりました。よろしくお願いします、お兄ちゃん」


「うぐっ!」


 先ほど決まったことをロード含め田中とレイナにも話す。

剣也は今だ慣れずに胸を抑える、キュンキュンする。


「それでだね、これからの行動だが剣也…いや失礼。ソードにはアースガルズ帝国にいってもらう」


「そうか、そんな気はしていたが一応理由は?」


「まず軍人として成り上がってくれ。最低でも聖騎士としての地位を得てほしい」


「必要なのか? そんなことが」


「あぁ、騎士にできるのは聖騎士長のみ。姉上の騎士が聖騎士長のジリアンだったように。聖騎士なら私の権力で聖騎士長にはしてやれるはずだ」


「なら最初から…」


「いや、昨日もいったがこれは結局のところ伝統の戦いを制したという感情の問題だ、無名の騎士がいきなり私の陣営として活躍してもそれは私の力としての効果が薄い。まずは君はジークの子供として本国のアースガルズKOG養成学校に入学してもらう。そして私と友好関係をアピールし、私の陣営であることを知ら締める必要がある。ジーク、レイナ、ソードの3人は私の陣営だとね」


「それは構わないが……そんなすぐに聖騎士になれるのか?」


「君なら大丈夫さ。あとレイナ君も同じように頼む」


「私もでしょうか」


「あぁ、ソード一人では不安だし、アースガルズ国を知っている人が隣にいたほうがいいだろう。それにKOGに乗っているとき君は無敵だが、それ以外はちょっと…いや、あえて言おう。弱い、不安だ」


「不安って……これでも一応男だぞ? 守ってもらうなんて」


「レイナ君は強いぞ、白兵戦でも白銀の氷姫の名は健在だ。君なんか素手で首を折られるぞ。大の大人でも勝てるものはそうはいないだろう」


(なにそれ、怖い)


 確かにレイナに昔肩を掴まれたときめちゃくちゃ痛かったな。

鍛えられた肉体のレイナは剣也よりも圧倒的に力が強い、さすがターミネーターに育てられただけはある。

そういえばかぐやも相当に強いと聞いたけど、あれ? もしかして俺最弱?


 確かにKOG以外は武術なんかやったことはないので一般人にも負ける。

その辺のDQNのパンチ一発で伸びてしまうだろう、この世界にDQNがいるか知らないけど。


 するとターミネーターもとい、ジークが口を開く。


「やはりそうなりますか……ということは」


「あぁ」


 ジークとロードが目を合わせて頷いた。

そして剣也とレイナを交互に見る。


「ソード、レイナ。君達はアースガルズ帝国の首都ヴァルハラで、一緒に暮らせ」


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あとがき

話進まないんでもう一話更新します。

夕方ぐらいかな

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