第36話 束の間の休息

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

まえがき

シュミレーションへの指摘がいくつか来ております。

(シミュレーションが正しい)

気になって仕方ない方がいるのも理解はしているのですが…


直したいのですが、量が多いため少し放置させてください。

いつか直します。

全置換させてくれたらいいのに……

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★






「はぁ?」


 思わず皇族に失礼な態度を取ってしまうジーク。


「嫌か? ジーク」


「い、いえ。失礼しました。少し驚いてしまいまして」


「ロ、ロード! どういうことか説明をしてくれ!」


「はぁ……。まったく。君はアースガルズ人としてこれから動いてもらうといっただろう? では出自はどうする?」


「そ、それは…」


「日本人なら、親はいないで済む。しかしアースガルズ人はそうはいかない。それにその強さの説明ができないだろう、その強さの理由は本音を言えば今すぐにでも聞きたいが。

説明を求められたとき、幼い頃からジークから特殊な訓練を受けていたといえば何も怪しまれない。それに軍神の血だ。これから色々便利だぞ」


「な、なるほど……」


「はぁ…本格的に眠くなってきた。私は8時間は寝ないと頭が働かないんだよ、君よりも脳のエネルギーをとても多く消費するから」


(ムカッ(怒))


 ロードの軽口にイラつく剣也。

それを見てさらに煽るロード。


「ただの事実だ、怒るなよ。はぁ、もうだめだ。これ以上は明日にしよう、ジーク帰るぞ。明日昼にジークの屋敷に集合してくれ、この機体は後日回収させよう。その車両でくるといい」


「お、おい!」


「おやすみーー盟友よー」


「くれぐれもばれないようにな、御剣」

「おやすみなさい、剣也君」


 そういってジークとレイナとロードは行ってしまった。

決まってしまってからはとてもあっさり迅速に。


「ロードってあんな感じなのか? あまりにキャラがぶれだしたぞ」


 孤高の支配者。

気高くプライドが高く、それでいて戦の天才。

そんな存在だと思っていたが、今日話した感覚でいえば完全に同年代の友達のような感覚だった。

友達がいないボッチだけど、そういえばあいつもボッチだったな。


「しかし、大変なことになったな」


「そうですね、かぐや達にもこの状況を伝えれたらいいんですが…」


 かぐや達への連絡手段が一切ない。

田中も一心との連絡先などは交換していたが、首都にいなければ電波が届かない。


 この世界では、国家間の通信を前の世界のようにインターネットでは繋がっていないようだ。

そもそもアジア連合とアースガルズ帝国は戦争中なので、連絡できるほうがおかしい。


 この時代にもし何かあったら代表団による対面による会議を開くそうだ。

前の世界でも、重要な国同士の会議は対面するのが当たり前だったので多分そうなのだろう。

実は代表達だけが使える通信方法とかあるんだろうけど。


「いつか伝えることはできるさ。同じ志をもっていれば。残念ながら私はアジア連合とのパイプは一切知らなくてね、すまない」


 田中さんはそういった外交部分は担当しておらず、一心が主にアジア連合の代表とやり取りしていたそうだ。


「……そうですね。かぐやに会いたいんですが……生きていると言ってはいけないのでしょうけど」


 かぐやに生きていると伝えたい。

しかし直接ならまだしも信用できる方法でないと先ほどのロードの話から剣也だとばれてしまう。


「そうだね、作戦の関係上公に知らせることは難しいだろう、かといって直接会うとなると……すぐには思いつかないな。とりあえず今日はもう寝て今後の課題だな」


 そしてその日はそのままそこで眠ることにする剣也と田中。

気温は心地よく、硝煙の匂いとともに眠りについた。


◇翌日早朝


 翌日朝日が二人を目覚めさせる。


「夢じゃないよな……昨日起きたことは本当だったんだな」


 いまだ現実を認めきれない剣也。

余りに多くのことがありすぎた、横の建御雷神を見て現実だったと理解する。


「おはよう、剣也君。ほら、コーヒーだ。目が覚める」


「あ、ありがとうございます」


 先に起きた田中にコーヒーをもらい、目を覚ます。

輸送車には色々設備が整っているようだ。


「とりあえず、ジークさんの家に向かうか?」


「その前に良いですか……」


 剣也は建御雷神とそして犠牲者達を見る。


「そうか……そうだな。それがいい」


 剣也は建御雷神に乗り込み穴を掘る。

そして犠牲者達を埋めていった、すべてを行うことはできないができる限りはしてあげたいと思ったから。


 もちろん、孤児院の子供達も。


 簡易的な墓の前で手を合わせる二人。

その目は固く閉ざされているが、隙間から漏れるのは涙。


「あずさ、みどり、たける……」


 次々と名前を呼び顔を思い出し、安らかな眠りを願っていく。


 いつか聞いたことがある。

葬式や墓は生きている者、残されている者のためにすることだと。

何を言っているんだ、そんなの面倒なだけじゃないかと昔のひねくれていた剣也は思っていた。


 でも今ならわかる、その意味が。


「区切りなんですね、お墓って。次へ向かうための」


「あぁ、そうだ。前へ進むために」


 そして剣也は立ち上がる。

悲しくないわけではない、でも今は目標が見つかった。

だから頭を切り替える、明確な目標へ向けて真っすぐに。


 ロードを皇帝にする。

そして世界から争いを無くす。

それがこの子達が犠牲になった意味にするために。

それが剣也がみんなにしてあげられる最大の恩返しだと思ったから。


「じゃあ、いってくる、みんな。あとは任せてくれ」


 剣也はもう振り返らない。

でもその心にしっかりと彼らを刻み思いを紡ぐ。


 繋いで次へ、心だけは永遠に。

それが人の最も強い武器だから。



 そして剣也達は田中運転のもと、ジークの家へと向かう。


「田中さんはこれからどうするんですか?」


「そうだね、剣也君次第だが、どこかで研究を続けようかと思っているよ。その機体もまだまだバージョンアップできるはずだしね」


 今後のことを話し合う剣也と田中。

しかし皇族が後ろ盾になってくれているのである程度の自由は聞くはず。

昨日は結局曖昧なところで話し合いが終わってしまったので今後のことは何も決まっていない。


「さぁ、ついた」


 車で1,2時間ほどでジークの家につく。

相変わらずの豪邸で、軍用車が止まっていても違和感がないほどに大きな家でまるでホテルのロータリーだ。


「ついたか、田中」


「ここに止めていていいですか?」


「いや、裏のほうがいいだろう。案内しよう」


 到着と同時にジークが出迎える。


「剣也君。私は田中とこれからのことを少し話すからお風呂に入ってきなさい」


「いいんですか!?」


「あぁ、それに色々必要だろうとレイナが今買い出しに行っている。もう戻ると思うから先に入っていなさい。家に入ってすぐ左に曲がって真っすぐだ」


(正直汗とか、血とか砂でギトギトだったからとても嬉しい)


 言われるがままジークの家に上がる剣也。

一度来ているので、なんとなくはわかる。

お風呂はいったことがないけど、入って左に進むと浴室があった。


「うわ、おっきい。それにゆ、湯舟だ~」


 銭湯というほどではないが、結構広いお風呂場だった。

どれぐらい一人かというと、億ションでジャグジーが出そうな丸い浴槽をイメージしてほしい。

あれぐらいだ、しかも温かそうなお湯が湯気と共に張られていて、さすが貴族という感じ。


「ジークさん、感謝します!」


 剣也は着ていた泥だらけの服を汚さないように脱いで一か所に。

お風呂へ突撃する。


 温かいシャワーだけでもうひと眠りしてしまいそうなほど気持ちよかった。


 そして目の前には、シャンプーが二種類。

一方はシンプルな量産、多分ジークさんのだろう、あんまりおしゃれとか気にしなさそう。

男なら水浴びで十分とか言いそうだし。


 そしてもう一方は、とても高そうでおしゃれなシャンプーとトリートメントが並んでいる。


 その時剣也は直観した。


「間違いなくレイナのだ、そうだ。レイナはいつもここでお風呂に入っているんだ」


 とたんに興奮してくる剣也。

想像するのは、あの肉感的で、セクシーなうなじのレイナ。

シャワーを浴びているシルエットが脳裏のうかぶ。


 あ、やべ。


 ムラムラしてきた剣也。

身体は高校1年生、性欲の権化、毎日がエブリディ。

基本的には、7打席7安打、たまに一打席で2安打ぐらいはお手の物の身体。


「さ、さすがにダメだ。こんなとこで、いや、むしろこんなところだからこそ」


 頭をぶんぶん回して否定する。

さすがに変態度が高すぎる、理性よ、仕事しろ。

あんなことがあったのに、我ながら身体は正直だと感じたがあんなことがあったからこそなのだろう。


 生命の危機に瀕した時人は性欲が上がるのだそうだ。

子孫を残すための本能的行動。


「で、でも少しだけこのシャンプーを……そうだよ。だってどれを使えなんて言われていないし。これは事故。あくまで事故」


 そしてレイナが使っているであろうシャンプーを使って髪を洗う。

心地よいシャボンの匂い、めちゃくちゃいい匂いがした。


「これがレイナの匂いか……どうせなら直接…」


 頭の中はレイナとのピンクの妄想でいっぱいだった。

体力の限界でテンションがおかしくなっている剣也の理性は壊れた。


「けんや…くん?」


「声まで聞こえてきたな、はは」


 あまりに強い妄想力でレイナの声を具現化することに成功。

シャワーの音の合間に聞こえたレイナの声にさらに興奮した。

どうせならもう裸体も想像したい、一緒にお風呂に入りたい。


トントンッ


「入りますね? 剣也君」


「どうぞー、そのまま背中なんか流しちゃって……って……!?」

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