第11話 式神(改訂版)
控室には、当然のように
「まんじゅうのお供えがあったから持って
きてやったぞ。」
「それは稲荷様の物じゃないんですか。」
「我がテレビに出演してからお供えが増え
ているからな、かまわんよ。」
「そんなものですか。」
「ところでどんなまんじゅうが好きだ。」
「きよめ餅です。」
「うむ、分かった、お供えにそれが来る
ようにしよう。」
たけるはまんじゅうを食べながら嫌な予感がする。
鈴鹿はまんじゅうと菓子を漁っている、甘いものが好きらしい。
オカルト相談コーナーは今回で3回目だ。
番組が始まる、たけるが出てきて椅子の座る、すると美鈴が後について来る。
「何で、出てきているんですか。」
「無粋な男だけじゃ花がなかろう、愛らし
い我も手伝ってやる。」
「美鈴様は稲荷様の使いでしょ、お役目は
どうするんですか。」
「問題ない、ところで我が座る所がない
ぞ。」
「当然です。」
アシスタントディレクターがパイプ椅子を臨時に持ってくる。
たけるのコーナーは出だしからつまづく。
「では、相談者にお話を伺いましょう。」
相談者はすりガラスの向こうで、ボイスチェンジャーを通した声で話す
「あなたの力を試しに来ました。」
「どういうことですか。」
「こういうことですよ。」
2匹の鬼が突然現れる。
「鬼」
「式神じゃ、あ奴は陰陽師じゃ。」
美鈴が説明する。
「普通の人間には見えないはずじゃ。」
たけるには、この世ならざるものを見る目がある
「見えているようですね、これはどうです
か」
陰陽師が言う。
たけるは心の中で刀の名を呼ぶ
来い、羽左衛門ノ贄ノ夜叉
虚空に護符に包まれた鞘に収まる刀が浮かび上がる。
彼は刀を手にするが抜く前に式神が腕を振るう。
たけるは避ける、たけるの居た机が砕ける。
式神が見えてない人には机が勝手に砕けたように見える。
彼は人技とは思えない速さで式神の懐に入り刀で真っ二つに切る。
すると式神は消える。
もう1匹の式神が向かって来る。
彼は式神が突き出した腕を切り落とし、飛び上がり首をはねる。
この式神も消える。
「あんた何なんだ。」
たけるは怒り、陰陽師に詰め寄ろうとするが、陰陽師は姿を消している。
スタジオの誰も、陰陽師が立ち去ったのに気づいていなかった。
オカルト相談コーナー終了後、えりなが来る
「ごめんなさい、これからよく調べるよう
にするわ。」
「無理じゃ、普通の人間にはどうにもなら
んよ。」
美鈴が言う。
「別に怒っていませんよ。」
たけるが答える。
鈴鹿が近寄って来て言う
「あの相談者、式神だったんじゃないの、
人の気配しなかったよ。」
たけるは番組がめちゃくちゃになったと思ったが、評判は良かった、特に美鈴の再登場が受けたらしい、世間は、さえない男より見かけ少女に優しかった。
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