第12話 鬼母子1(改訂版)
若い夫婦がいる、2人には何年も子供ができない。
夫はそれほど気にはしていなかったが、妻には大問題である。
同居する夫の両親にそれとなく
ある夜、妻は鬼女の夢を見る
「子は欲しくないか。」
「欲しいです。」
「鬼子じゃが良いか。」
「はい、大切にします。」
「よし、大切に育てるのだぞ。」
鬼女は去っていく。
妻は目が覚めるとつわりが起きる。
妊娠検査薬で調べると反応が出る。
産婦人科に行くと妊娠7週目と分かる。
妻の妊娠に夫と夫の両親は喜ぶ。
それから妻は食欲旺盛になる、腹が減ると食べ物を要求するように
「がるるる」
と音を立てて鳴る。
妻は男の赤ん坊を出産する、名前をりくと名付けられる。
その赤ん坊には1点変わったことがある、生まれながらに犬歯が生えていたのだ。
赤ん坊は夫や夫の両親にはなつかず、いつも妻に抱かれている。
幼稚園に入る年頃になると幼稚園に入るが幼稚園の中で大暴れして園児の助けに入った先生に怪我をさせる。
幼稚園の連絡に両親揃ってりくを迎えに行く。
両親は謝り、次に暴れたら退園する約束をする。
帰りの車の中で妻はりくに言い聞かせる
「いい、人目のある所で暴力を振るっては
ダメ。」
「はい、お母さん。」
夫が文句を言う
「人に暴力を振るってはダメだろ。」
「あなたは黙っていて。」
夫は最近、いやりくが生まれてから妻が変わっていくのを感じる。
翌日、前日りくとトラブルになった園児が幼稚園から姿を消す。
幼稚園の建物の陰には血だまりができている。
幼稚園には警察が駆けつけ騒ぎになる。
失踪した園児の両親はりくがやったのだと言い張るが何も証拠がない。
幼稚園は休園になる。
妻の部屋でりくは話す
「お母さん、ちゃんとできたよ、誰も見て
いないところでやったよ。」
「えらいね、ちゃんと言うことを聞いて
くれたんだね。」
夕日が妻の部屋を照らす、二人の影が壁に写る、りくの影は大きく角が生えている。
幼稚園をりくは無事卒園する、りくが卒園するまでにもう1人園児が失踪した。
りくは小学校に入学すると人並外れた運動神経と利発さで注目される。
小学3年の時、彼は通信簿オール◎であり、校内一の有名人になっている
それを快く思っていない6年生がいる。
りくは6年生5人に絡まれる、この時、りくは抵抗しなかった。
りくの部屋に妻が入って来る
「りく、今日はどうしたの。」
「大丈夫、1人ずつ、誰がやったか分から
ないように食べるから。」
「りくは、えらいね、見つからないように
するんだよ。」
はい、お母さん。
りくの部屋には妻しか入らなかったが、夫が妻とりくの会話を立ち聞きしてしまう。
りくが言う
「その前にやることができたね。」
「しょうがない人ね、知らなければよかっ
たのに。」
この日、夫が失踪する。
この夜、5人組の6年生の1人の所に鬼が来る。
鬼は子供を寝室からさらうと人気のない公園に連れてくる。
鬼は言う
「今日はよくもやってくれたね。」
子供は恐ろしさのあまり声が出ない。
鬼は子供の右腕を引きちぎり、うまそうに食べる。
「うああぁぁ」
子供は痛みに叫び声をあげるが聞くものはいない。
次に左腕を引きちぎり、鬼は食べる。
子供は出血のため動けなくなる。
鬼は子供の腹を裂き臓物をびちゃびちゃ音を立てながら食べる。
「うぅぅ~」
子供は小さなうめき声を出すだけになる、生きながら食われ意識が途切れる。
子供が死ぬと鬼は頭から齧りはじめる、公園には鬼の咀嚼音だけが鳴り響く。
2人目は、次の夜、塾の帰り突然、大きな腕にビルの陰に引っ張り込まれる。
子供は叫ぶ
「うわあぁぁ」
その声は街の喧騒に打ち消される。
鬼は子供に頭から齧りつく、ガリガリ骨をかみ砕く音が鳴り響き、ビルの下には血だまりができ、血は歩道まで流れる。
血に気づいた通行人が騒ぎ出すが、その時には鬼はいない。
こうして、毎日1人づつ6年生が失踪していく。
失踪は5人になるまで続いた、警察は児童連続失踪事件として取り扱う。
しかしあるのは発見された6つの血だまりだけである。
りくの父親は行方不明として警察に届けられている。
警察は前科のある変質者を捜査するが進展はない。
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