第13話 名古屋へ

「忙しい?」

「うふふ、何か手伝えって言う事」

亮は言いにくそうに返事をした

「はい」

「なに?」

直子は優しく答えた

「薬の研究です」

「はいっ、媚薬?もっと強力な物作るの?

まさか世界中の女を虜に

するつもりじゃないでしょうね?」

直子は顔を近づけてきた


「美しくになる薬」

「本当に出来るの?」

「はい」

「やるやるー儲かりそう、あはは」

「ありがとう、じゃあ綺麗じゃない人探してください」

「えっ?ブスを探すの?」

「いいえ、疲れて肌がガサガサだったり

目のくまが出来ている女性です」


「あっ、そうか。結構いるわ」

「では、店内で美しくなる枕を

宣伝して無料レンタルしてください」

「了解。詳しい話聞きたいから今晩行くね」

「はい」

「うふふ」

直子はとてもうれしそうな顔をしていた


「そうだ、この前亮が治療した女性

毎日あなたを待っているわよ」

「あっ、そうだ」

「亮が来られる日決めよ」

「わかった、じゃあ毎週水曜日の6時から入ります」

「よかった、助かるわ」

「じゃあ今夜待っています」

「うん」


~~~~~~

亮は会社に出社すると会長秘書の中村に呼ばれ

会長室へ入った

「亮さん、今朝会長の指示で小村さんと話をして

五島商事関連株を買ってあります」

「はい」

「それが・・・・・」

中村が困ったような顔をした


「何でしょう?」

「小村さんの報告でうちの会社の

株の値動きがおかしいんです」

亮はPCに出ている株価を覗くと

右上がりのグラフが見えてた


「なるほど、誰かが買いあさっている感じですね」

「はい」

「ひょっとしたら・・・。真田社長はこの件を?」

「はい、IR担当の小村さんが伝えているはずです」

「分かりました、僕の方でも動いてみます」

「お願いします」


~~~~~~

亮が4時に美宝堂前で理恵を待っていると

友子から電話があった

「分かったよ、やはりGOTOが

名古屋化学にTOBをかけたわ」

「やっぱりM&Aか」

「はい、GOTOも五島物産の株も上がっているわよ」

「ありがとう、後はよろしくお願いします」


「任せてバッチリ儲けるわよ、近いうちに会いましょうね?」

「了解、それとうちの株価の変動の件聞きましたけど」

「はい、どこかが大量に買っているみたいです」

「わかりました、対応お願いします」

そこへ、理恵と母親の杏子がやって来た


「こんにちは」

亮が二人を美宝堂に向かいいれると

理恵が亮の腕に抱きついた。

「ありがとう」

「今、姉が参ります」

そこへ黒いスーツを着た美佐江と

明日香がやって来て

内村親子に挨拶をした


「いらっしゃいませ」

「あっ、明日香さん」

理恵が明日香に気が付いた

「こんにちは」

明日香が理恵に挨拶をすると美佐江が聞いた


「あっ、お知り合い?」

「はい亮の関係で、うふふ」

「ちょうどいい、理恵さん明日香さんに

選んでもらってください」

亮が言うと理恵は不機嫌そうに答えた

「あ、そう」


「亮、お父さんが来ているわよ」

亮は美佐江の言葉に一瞬驚いて上を見た。

「ああそう、じゃあ社長室へ行って来る」

「はい」

「そうそう、杏子さんは宝石を見たいそうです」

「分かったわ」


亮は5階の奥の部屋にある社長室へ入った

「おお、おつかれさん」

「はい」

「株の件ありがとうな」

「どうでした?」

「あはは、儲かったよ」


「それで、中村さんに聞いたんですけど」

「おお、DUN製薬の株か。誰かが買っているな」

「目的は?」

「M&Aか、悪くても業務提携まで持ち込むつもりだろう」

「相手はまだわかりませんね」


「ああ、外資かもな、相当な資金が動いている」

「調べましょうか?」

「出来るか?」

「はい、小村さんに頼んでありますけど」

「じゃあ頼む」


「はい」

「ところで・・・・。まあいいか」

「なんですか?気持ちが悪い」

「9月のファッションショー以来、美宝堂売り上げは倍増、

DUN製薬は浸透型インシュリンの売り上げ業績が上がった、

お前のお陰だ」


「ありがとうございます」

「どうも息子を褒めるのは、照れる」

「あはは」

「美佐江には内村さんにサービス

するように言ってあるからな」

「50%Off?」

秀樹は顔を横に振った。

「こっちも商売だからな程々だよ」

「じゃあプレゼントあげて良いですか?」

「おお、いいぞ。配当から引いておく」


「あれ?僕に配当なんかあったんですか?」

「ああ、お前も株主だから配当はあるし

DMSの特許使用料が戻ってくるだろう、

1つ8円」

「ああ、お前も株主だから当然配当はあるが 

 税金の事が有るから未払いにしておく」


「そうなんですか?」

「使いたい時言ってくれ」

「はい、何億円も有ったりして・・・」

亮はうれしそうに笑って

社長室を出ると

5階のスタジオⅮに行った


「お待たせしました」

亮は理恵のところへ向かうと

理恵はしゃいで言った

「いっぱい選んじゃった、ドレス買ったから

今度ダンスパーティへ行こう」

「了解です」

亮が理恵に言うと明日香は後ろから

微笑みながら亮に囁いた。

「理恵さん可愛くなったわね」

「明日香さんこそ綺麗になりましたね」

「えっ?ありがとう」

明日香はうれしそうに顔を赤くした


「理恵さん、お母さんは?」

「まだ戻ってこない」

「そうか、今日はありがとう」

「なに?」

「おじいさんの伝言」

「あっ、そうだった」

理恵は買い物の嬉しさですっかり忘れていた


「そうだ、僕たちも宝石売り場に行きましょう。

理恵さんに何かプレゼントします」

「本当、うれしい」

理恵は亮に抱きついた


買い物を終えた内村親子と亮は

8階のローラン・ギャロスで

食事をした。

「亮さん、私最近学校の男性から誘われる事が多くて

困っちゃって」

「良かったですね、もてて」

「ううん、亮さんと比べると、クソガキよ」

「こら、下品な言葉は止めなさい」

杏子は理恵の手を叩いた。


「はーい」

理恵は舌を出した。

「ところで杏子さんって以前

どんな仕事していたんですか?」

「私、管理栄養士の資格で父の子会社の

食品会社の商品開発やっていたわ」

「わあ、すごいですね」

亮は杏子の意外な経歴に驚いていた。


「それから・・・」

「その後はけっこうです・・・」

亮は夫の話を聞きたくなかった。

「すみません、仕事してみませんか?」

「何々」

杏子は興味津々だった。

「冷凍食品の開発と販売です」

「面白いわ、もっと聞かせて」

「今計画をしています。ちょっと持ってください」


「ありがとうございます、いつもでも

父の世話になるわけに

行かないので」

「ママ、頑張って!」

理恵は杏子の腕に抱き付いた。


~~~~~~

亮が渋谷の部屋に戻るとすぐに直子が来た

「ああ、久しぶりこの部屋」

「かなりドタバタしていましたからね」

「そうか、今日お泊りしようっと」

亮は笑った


亮は直子を後ろ向きに立たせ

外の渋谷の夜景を見せた。

「きれいね」

「うん」

亮は直子の首筋にキスをしながら

胸を鷲づかみすると

「ああ」

直子は声を漏らした


「気持ちいい」

亮の手は直子の黒いタイトスカート

のホックをはずしジッパーを

下げるとスーと柔らかな

太股伝い足元に落ちた


直子の上半身は黒いジャケット白いブラウス

スタイルになり

下半身は黒いパンティストッキング

に豊満なヒップをさらけ出した


亮はその緩やかラインの

手の甲で下からゆっくり

這わせると

直子は背中をのけぞらした

「あん、あっちでゆっくりしましょう」

「そうだね」

亮は直子をベッドの上に運んでいった。


「ねえ、お腹が空いた」

直子が亮の体をゆすった。

「あっ、そうだ。食事へ行きましょう」

そこに飯田から電話がかかって来た。

「明日名古屋に行くぞ!」

「はい、何時に?」

「朝8時発の新幹線が良いだろう」


「わかりました、きっぶ買っておきます」

「いや、回数券があるから明日渡す」

「了解です」

亮は電話を切ると直子に言った。

「明日、名古屋に行ってきます」

「どうしたの急に」

「マテリア名古屋のマーケティングです」

「そう、早起きだね」


~~~~~~

翌朝キッチンからの音で目を覚ました亮は

直子にキスをした

「おはよう、直子さん」

「おはよう、昨日良かったよ」

直子はうれしそうに笑った

「座って」

「ああ、はい」

亮の座ったテーブルの前に朝食が出来上がっていた


「久しぶり、ありがとう」

「いいえ」

「亮のことだから、誰か女を

連れ込んでいると思っていたわ」

「そんな」

「うふふ、そんなこと無いか、亮の性格じゃ」

「うん、ところで直子さん。誰かいい人できました?」

「できたよ」

「そうですよね、それで?」

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