第11話日坂
「わかったわ。任せるわ」
「はい」
「ところで亮、絵里子ママと出来ているでしょ」
「は、はい」
「うふふ」
「どうしてわかるのかな?」
亮は首をかしげた
「女の勘よ」
「すごい!!霊能者みたいだ」
「うふふ、そうかもね」
ジュディが笑うと亮は絵里子の
コネクションを話した。
「それで、大阪のセレブは絵里子ママの知人を
名古屋も別なルートを当たっていますから。
それに向けてキャンペーンの企画も
立てようと思っています」
「あ、もう」
ジュディは亮の仕事の速さにキョトンとしていた
「それと渋谷にマテリアを作りましょう」
「はい」
ジュディは気の無い返事をした
渋谷の周りは再開発が進んで高級マンションが
建ち並び、東急沿線も富裕層が住んでいます
「大丈夫、採算は取れそうですよ」
「ほんと?」
「はい」
亮が返事をするとジュディは安心して言った
「今まで美容院の出店計画って勘の部分があって
キャンペーンや詳しいマーケティングをしていないから、
亮のように詳しい出店計画を考えていないの」
「やはり」
「このマテリアもお金持ちが来る銀座に出店すれば
成功すると言う考えで作ったようなものだから」
「それは正しいですよ。だから世界中の
ブランドが銀座に集まっている」
「そうよね」
「でも、基本的にはショッピングと美容室は違います」
「はい」
「夕方銀座の女性が毎日美容室へ行く、
本当は普通の人もパーマやカットだけじゃなくて
セットだけでも来てくれれば良いのに」
「はい、そうなると価格の問題よね」
「そうなんです」
「難しいわ、価格を一度落としたら」
「はい、技術の安売りは業界を苦しめます」
「そうよ」
「男性の場合は美しくなくても清潔なら良いから
1000円床屋が成り立つけど、
女性は流行も考えなくてはいけない」
「はい」
「いま、うちが作っているのが、
パーマをかけている間に
サービスで使うフはいシャルヒアルロン酸パック、
ハンドヒアルロン酸パックです」
「すごい、でも価格が・・・・」
「量産できれば下げられます、
サービスで提供できるレベルに」
「でも、うちの独占って訳には行かないでしょ」
「はい」
「サービス内容は真似られるわよね」
「そうです」
亮は頭を抱え、初めての挫折を感じていた
「ごめんなさい、悩ませちゃって」
「あはは、大丈夫です。
もうしばらく考えさせてください」
「ありがとう」
「あっ」
亮が小さな声で囁いた
「どうしたの?」
「いいえ」
ジュディの目には一瞬
亮が微笑んだように見えた
亮とジュディが店に戻ると
ちょうど絵里子が会計をしていた時だった
「亮、お待たせ」
「いいえ、こちらもちょうど
打ち合わせが終ったところです」
「じゃあ、お食事でもしましょう」
「は、はい」
絵里子はうれしそうに腕を組むと
ジュディは笑って二人を見送った
「まったく」
亮と絵里子の二人が入った店は亮と
絵里子が始めて食事をした場所だった
「あの時は驚きました、いきなりネクタイを
10本もいただいて」
「そうね、就職祝いだったわね」
「はい、さっきジュディと話をしていたんですが、
大阪のネットワークの紹介お願いします」
亮は深々と頭を下げた。
「もちろんよ。その代わり一緒に大阪へ行きましょう」
「はい、この前何か言いたそうだったんですけど・・・」
「実は・・・絢香に兄弟がいるのよ」
「えっ?」
亮は驚きで声を出した。
「私、20歳の時に黒崎の子供を産んだの」
「そうなんですか」
「・・・・」
「それで、お子さんと会っているんですか?」
「はい、2ヶ月に1回会っていました。黒崎と一緒に
でも黒崎が亡くなってアメリカに
留学してから全然会っていません」
絵里子は寂しそうな顔をした。
「なんか生き別れって寂しいですね?」
「そうね。でも毎日のように電話をしているわ
絢香も話をしているわ」
「良かった」
二人の間に和やかな雰囲気が流れた。
~~~~~~~
その頃、一文字と日坂は六本木
ヒルズの和食店で食事をしていた。
「銀座店の方はどうだ」
「はい、予定通り来月の
23日水曜日にオープンです」
「集客できそうか?」
「はい、ヤマトのマテリアのような
オープンイベントが
出来ませんが、高級美容室が定着した
お陰で心配要りません、
業界各所に案内状を配る予定です」
「うん、頼むぞ」
「はい、お任せください」
「名古屋の方は?」
「はい、問題ありません、マテリアは
普通の店より客が少ないくらいです」
「ふんふん」
「いくら、美容学校を経営していても赤字では
撤退せざるおえないでしょう」
「もう少しだな」
「はい」
そこへ、二人の男がやってきた
「遅くなりました」
男の一人が言うと
「うん、初めてだったな」
「はい」
「プレステージの日坂社長だ」
一文字は二人を日坂に紹介した
「はじめまして、西です」
「島崎です」
「二人には株のトレーディングを頼んである」
「あ、そうですか」
日坂は毎日数億のお金を動かしている
二人に一目をおいた
「二人のお陰でずいぶん
儲けさせてもらっているよ」
一文字は嬉しそうに笑った
「いいえ、社長の的確な判断には脱帽です」
西は一文字の情報の確かさに
尊敬の念を抱いていた
「はい、社長のおっしゃった
銘柄は必ず上がりますからね」
日坂が一文字を褒めると
「日坂さん」
「はい」
「プレステージ計画進めますよ」
「いよいよですか」
「ああ、今週資金を投入して、
勝負をかけようと思っている。
西君、島崎君頼むよ」
「はい」
そこへ一文字のスマートフォンが鳴ると
電話を受けて話をした
「うんうん分かった」
電話を切った後、西の顔を見た。
「西君、島崎君明日N社の株を買うぞ」
「どれくらい」
「出来るだけ多くだ」
「いつ売れば」
「あさっての夕方だ」
「分かりました」
二人はあさって何かがあるのを察した
「N社ですか?」
日坂が聞くと、面倒くさそうに一文字が答えた。
「ああ、それは我々の暗号だよ」
「そうですか」
日坂はもし情報があれば自分も乗るつもりでいが
一文字の口は予想以上に堅かった
そこへ年齢は20代前半で黄色の薄い
ミニのワンピースを
着た美しい女性が入ってきた
「日坂さん」
一文字がそう言うと女性は日坂の前に立ち
お辞儀をした。
「はじめまして、九麻ゆかりです」
「日坂です」
ゆかりは日坂の脇に座ると一文字が指示をした。
「明日から日坂さんの秘書についてもらう」
「えっ」
日坂はこんな美人の秘書が付くのかと驚いていた
「プレステージ計画で色々忙しくなるから
色々身の回りの面倒を見てもらってください」
「ありがとうございます」
「では早速二人で打ち合わせをしてください」
「う、打ち合わせ」
日坂は一文字と西たちが打ち合わせを
する事を察して立ち上がった
「ではお先に失礼いたします」
「うん」
日坂とゆかりの二人が席を立つと
一文字が小さな声で話し始めた
「あさって精密部品会社のGOTOが
名古屋科学のTOBを発表する」
「すごいですね、やはり以前から社長の指示通り
名古屋科学の株を買っていて正解でしたね」
「ああ、それにGOTOの株も上がってついでに
親会社の五島商事の株も上がる」
「まさに」
「こらからは二人の腕の見せ所だ、
1円でも多く儲けてくれ」
「はい、お任せください」
「うまく行ったら君たちの好きな女子高生紹介するぞ」
「はい、本当ですか?」
「ああ、本当だ」
「ありがとうございます」
~~~~~
外に出た日坂はゆかりを誘った。
「軽く飲んで行きますか?」
「はい、それよりホテルの部屋方で飲みませんか?」
「ホテル?」
「社長の身の回りすべての面倒を見させていただきます」
ゆかりは淡々と答え日坂は頭が熱くなり
心臓がドキドキして舞い上がった
「いいんですか?」
「はい」
日坂は九麻ゆかりを連れて
ヒルズの隣のホテルに入った
ゆかりは部屋に入ると
日坂の上着を脱がせハンガーにかけると
はずしたネクタイを受け取った
日坂はズボンを脱ぐのを一瞬躊躇すると
ゆかりは慣れた手つきでズボンを持った。
「社長大丈夫です。先にお風呂にどうぞ」
「は、はい」
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