第4話 飯田

「ん?」

「再開の儀式は誰とやるの?」

「う~ん」

亮が返事に困っていると亮のスマートフォンが鳴った

「私だ」

電話の向こうには聞きなれた声が聞こえた

「お久しぶりです、飯田さん」

「亮やっとやる気になったようだな」


「はあ」

「ちょっと相談したいことがあるから、

明日こっちへ来てくれ」

そう言って飯田は電話を切った

「誰?」

智子が怪訝そうな顔をして聞いた。


「飯田さんです」

「あらら、一発目は飯田さんかしら?」

「うふふ」

三人が笑うのを見て亮は困ったような顔をした。


~~~~~~

翌日11時に亮は東宝ビルの

5階の飯田を訪ねた。

入り口にはいつものボディガードが

立っており応接室へ通された。

そこの応接室の椅子には強面の

人相の悪い男が座っていた

「こんにちは」


「おお、亮かよく来たな、ちょっと待っていてくれ」

亮が入り口に立っていると

飯田はその男に向かって帰るように合図をした

「じゃあ、今日の4時に取りに来い」

「はい、お願いします」

男はそう言って頭を下げて部屋を出て行った


「亮、よく来たな。座れ」

「はい」

「何が良い。お茶か?コーヒーか?

そうかじゃあ飯でも食おうか」

「はい」

二人は新宿3丁目近くの「玄海」へ行った

亮と飯田はコラーゲンたっぷりの

水炊きを食べながら聞いた。


「それで用件は?」

「うん、お前さん歌舞伎町をどう思う?」

「はい、キャバクラ、ホストクラブ、風俗、やくざ、

ぼったくりとにかく怖いイメージがあります」


「うんうん、私もそう思う」

「それで?」

「うん、私も商売をやろうかと思ってな」

「歌舞伎町でですか?」

「いや、どこでもいい亮やってみないか?」

「えっ!?」


「お前がやればきっと上手く行くと思う」

亮はしばらく考えると答えた

「それで、どれくらい予算で?」

「いくらでもいい、まあとりあえず20億円くらい」

「20億円ですか?」

あまりにも多い金額に亮は戸惑った


「必要ならもっと出すぞ」

「わかりました、考えておきます」

「そうか、そうか。頼むぞ」

「はい」

「ところで亮、ホストまたやらんか?」

「はいっ?」

「どうしてですか?」


「さっきの男ホストクラブをやりたいらしいんだが。

オープニングスタッフを探しているらしい」

「それで、どうして僕が」

「いや、お金を貸すからには成功して貰わんとな」

「あはは、飯田さんらしいや。

ホストクラブは勘弁してください。

それよりキャバクラを経営したいですね」


「本当か?それなら考えても良いぞ」

「はい、本気ですよ」

「よし!」

飯田は顔をくしゃくしゃにして笑った

「それより、スナックのママの派遣システムの企画は?」

「ああ、歌舞伎町で40軒、銀座で20軒

くらいあるぞ。いつでもOKだ」

「わかりました、早速取り掛かります」

「おお、そっちの資金出しても良いぞ」


「本当ですか?明日にでも美也子さんと一緒に来ます」

「うんうん、待っている」

「はい」

飯田は突然真剣な顔をした

「ところで、私の養子になる件はどうだ?」

「あはは、息子にはなれませんが。

息子だと思ってこき使ってください」


「いいのか?」

「はい、老後は面倒見ますよ」

「本当か?」

孤独な飯田にとって亮にそう

言われる事がとても嬉しかった


亮は飯田と別れると美也子に電話をした

「亮です」

「ああ、亮。電話くれてうれしい、元気?」

「はい、今日会えませんか?」

「はい、どこで?」

「お店に行きます久しぶりに」

「はいっ本当?ママも喜ぶわ」

「はい」

~~~~~~~

亮が会社に戻ると三島が書類を持ってきた

「お疲れさまです。五島物産と石橋商事とヤマト美容の

コラーゲン風呂の納品書の控えです」

「あっ、ありがとうございます」

「係長ちょっとお聞ききしていいですか?」

三島が冷たい感じで亮に聞いた


「はい」

「この3社はどうして松平係長が担当しているんですか?」

「はい、父親のコネで取引を始めた責任上やっています

本当は面倒なんだけど、会社から給料を貰っているから」

「お父さまは立派な方なんですね」

三島は亮の返事を真に受け馬鹿にしたような口調で言った。


「そうですね、僕みたいな放蕩息子とは違います」

三島は返事をせず軽く頭を下げて戻っていった。

「ずいぶん嫌味な言い方ね、事情を知らないくせに」

智子が亮の席に来て言った


「そうかな?」

亮は三島の言う事が嫌味に聞こえなかった。

「そういえば今日彼女の歓迎会をやるそうよ」

「だれが?」

「男子社員の有志だそうよ」


「ん?僕には声がかかっていない」

「あはは、みんな亮に警戒しているのよ」

「正直に言ってください、嫌われているって」

亮は報告書を見ながら売上表を見ていた。


「海外や大手に販売している五島物産は

売り上げが伸びているけど

石橋商事は横ばいですね」


「ジュディのところは?」

智子が覗き込んで言った

「落ちています」

「そう、彼女大丈夫かしら?」

「大丈夫です、僕がアシストしますから」

「すごい、自信ね」

「あはは」


~~~~~~

亮は夕方に銀座の喫茶店で森と会った

「久しぶりですね森さん」

「ああ、おかげさまで探偵事務所は

社員も増えてうまく行っているよ。

もうすぐ投資してもらった分の

配当を出せるとおもう」

「それはよかった」

「それより、あっちの方ももうすぐだろう」

「はい、美咲さんが準備中なので

認可が下りたら動き出すと思います」


「ああ、楽しみだ。早苗も喜んでいる。

合法的に潜入捜査が出来るんだからな」

強面の森の顔が微笑んで亮とがっちりと握手をした。


「ところで調べてもらいたい事があるんですけど」

「なんだい」

「ジュディの店の出店計画が敵対している店に

情報が流れている可能性があるんです」

「それで敵対しているという店は?」

森はノートとペンを取り出した


「プレステージという店で、社長は日坂武文です」

亮は会社の謄本が入っているファイルを渡した

「わかった、早速調べてみる」

「お願いします」

しばらく沈黙が続くと森が時計を見て言った


「今から浮気調査の仕事があるんだ」

「そうですか」

「浮気は夜、行われるからな。あはは」

森が笑って雰囲気を変えようとしたが

亮は笑う事無く答えた。


「日本にはスパイ防止法と法律が無いので

これは僕たちの力で抑えなければなりません

調査結果待っています」

「うん」

森は忙しそうに立ち去った


森が出て行くと亮はジュディに電話をした

「情報が漏れていた件、森さんに頼みました」

「ありがとう。亮今どこにいるの?」

「銀座ですけど」


「ちょっと会えないかしら?」

「良いですけど」

「じゃあ汐留ロイヤルホテルの2010号室に来て」

「はい、20分で行きます」

「待っているわ」


亮が部屋の前で呼び鈴を押すと

あの時のようにジュディは白いガウン姿で

立っていた。

「亮」

ジュディはいきなり抱きついてきた

亮はジュディを受け止め涙を指でそっと拭いた


「大丈夫?」

「うん、つらくて」

「そうですか」


亮はジュディを抱いてベッドに運んだ、

そして激しくキスを続けると

ジュディはピクピクと体を反応させ

亮を受け入れた。その反応は

今までに増して激しかった


気を失っていたジュディが目を開けて

亮を見つめると

「お帰り」

そう言って少女のように笑った


「ただいま」

「やはりあなたのS0Xはすごいわ」

「そうかなあ、比べたことないから。あはは」

ジュディはクスクスと笑った

「お店の件、手伝ってね」

「もちろんです」

「ごめんね、私もまだまだだわ」


「うん、それで新しいスタッフを

採用したら良いと思います

チはいン店のプロを」


「そうね、探してくれる?」

「はい、それとちょっと面白いこと考えています」

「なに?」

「美容師の人材派遣」

「はい?面白い」

ジュディはすぐに反応した


「スキルアップにはヤマト美容専門学校を使って

一流の美容師を作り上げていくんです

年齢にかかわらず」

「うんうん」

「派遣会社はジュディの会社も出資して

卒業生の就職を安定させます」


「そうね、学生たち就職活動で大変だものね。

そうすれば入学生も増えるわね」

「それより、一度美容師を辞めた女性のための

職場復帰の為にやりたいいんです。

例えばカット専門や白髪専門、

毛染め専門など分担するのも面白いと思います。

極端に言えばシャンプー専門でもいいですよね」

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