第3話 秘密組織

「そうね。うちの会社の情報が

 漏れているのは事実だわ。

 それは事件だけど」

智子は笑った。

「ジュディ、各店舗から名古屋出身の

 技術者さん探してください」

「はい、昼間言われてそう思ったわ。

 いてくれると良いのだけど」

「プレステージは現地採用、こっちはあくまで

出向を押し通して高級感を持たせましょう」

「はい」

ジュディは亮のたくましさに

今まで以上に惹かれて行った


~~~~~~~~

六本木MタウンにあるホテルRの

45階のレストランに一文字大介が

東京の夜景を見ながらグラスにワインを

注ぎ飲んでいた。

そこへ三島玲奈と新村一恵の二人が入って来た

「失礼します」

「おお、お疲れさま」

二人は一文字が座っている

テーブル席に座り足を組んだ

そのすらっとした足から見える

ガーターベルトはどんな男でもそそりそうな

光景だった


「玲奈、DUN製薬の方はどうだ?」

「はい、順調に」

「誰か良い男いたか?」


玲奈はちょっと考えていた。

「いいはいません、でも・・・」

「なんだ?」

「何も仕事をしない男が係長なんです。しかも若くて」

「あはは、どうせお偉いさんの親戚か何かだろう」

「うふふ、そうですね」

玲奈は緊張が解けたように笑った


「さて好きなもの頼んでくれ、今日は玲奈の就職祝いだ」

そう言って大介は好きなものを注文するように進めた

注文された料理が運ばれてくると

「それで、上司の方はどうだ?」

「能力も無いのに部長になった今井は舞い上がっていて

はっきり言って役立たずです」


「あはは、じゃあ情報は取り放題と言う訳か」

「はい」

玲奈はそう言って1枚の紙を一文字に渡した

それを見た一文字はニヤニヤと笑った。

「ほう、これが糖尿病治療薬の売り上げか?」

「はい、3ヶ月で250億円を販売しています」


「それでこれが発売予定の薬だな」

「はい、すい臓を丈夫にする漢方薬だそうです」

「なるほど、糖尿病治療プログラムを計画しているわけだな」

「はい、DUN製薬は世界マーケットを考えているようです」

「だが、この前のDUN製薬販売を吸収して

社内はゴタゴタしているだろう」


「はい、そのようです。まだ課長が選任されていません」

「経営者はボンクラばかりなので乗っ取りは簡単だな」

一文字はニヤリと笑った

「はい」

玲奈が返事をすると一文字は玲奈の太股を撫でた

「うっ」

玲奈は思わず出そうになった声を抑え

眉間にしわを寄せた


三人はしばらくお酒を飲むと一文字は玲奈に言った

「さて行くぞ」

「では私はそろそろ」

一恵がレストランの出口で一文字に深々と礼をすると

一文字は玲奈の肩を抱いてエレベーターに乗った


六本木Mタウンのマンション棟の一文字の部屋に入った

一文字はいきなり玲奈にキスをしてスカートを

捲り上げると玲奈はそれを止めた。

「社長、シャワーを浴びさせてください」

「うん」

一文字はその間に寝室に行って

ベッドの回りあるスイッチを入れ

天井にあるカメラの映像をモニターに映して

チェックし右手の薬指にシルバーのリングをはめた


玲奈はバスルームから出てくると目の前にあった

白い飲み物を一気に飲み干し立ち上がり寝室に入っていた

玲奈はキングサイズのベッドに横になり

一文字を待つと一文字は大きなモニターの側にある

スイッチを入れるとビデオカメラで

写された二人の姿がそれに映った。

天井に着いた妖しげな赤いライトが点滅し

流れてきた音楽は低音のベース音が体に

振動するものだった


そして、側にあった黒いボックスのスイッチを入れ

隣にあるつまみを回すと玲奈はもだえ始めた。

「ふふふ」

一文字は不敵な笑みを浮かべ

玲奈の白いタオル地ガウンを脱がせると

乳首が上を向いた豊満な乳房が現れた。


一文字は玲奈の胸を鷲づかみにすると

そのピンク色の乳首を強く吸って

それを軽く噛んだ

「ああ」

玲奈はうっとりした顔で一文字を誘った

「スケベな女だ」

一文字は録画のスイッチを押して

玲奈の上に覆いかぶさった


~~~~~~~

「ジュディ、これから僕が書くプランはマル秘です」

亮はジュディに小声で囁いた

「いいわよ、企画が盗まれるのが怖いから」

「情報が流れた事は森さんに頼みます」

「あはは、あの森さんね。

葉子ちゃんと仲が良かったわね」


「はい」

ジュディは森の事を思い出していた。

「それで岡本さんに内緒で彼女の

履歴書をもらえますか?」

「ああ、それは大丈夫、代々木の

学校の方にもデータがあるから、

ところで亮は彼女を疑っているの?」

「いや、上手の手から水が漏れる

という事がありますから」

「そうね」

「エスティックサロンの方はどうですか?」

「はい、名古屋店の方がどうにか

持ちこたえているのは

ヒアルロン酸風呂のお陰よ」

「うちの会社が近いうちに高品質の

ヒアルロン酸を発表します」

「えっ?私知らなかった」

智子が初めて聞いた話に首を傾げた。

「ああ、すみませんマル秘で

進めていた研究だったから」

「あら?亮仕事していたの?」

「そりゃ、給料分くらいは」


~~~~~~

田中代議士が逮捕された後、

亮は警察庁警備局へ呼ばれた。

そこには、美咲の父原警備局局長と

美咲と仙台で会った、

検察庁の田中実と公安一課の今村がいた

「團さん今回は本当にご苦労様でした」

「いいえ」


亮はいきなり警察幹部に礼を言われて

なんて返事をして良いか分からなかった

「美咲から團さんの話を聞いております。

おかげさまで、若輩の警視が国会議員逮捕と

言う前代未聞の功績がありました」

原は美咲の方を見た


「私のこと?」

美咲が自分を指差して言った

「これもすべて團さんのおかげです」

今村が頭を下げた。

「警察は内偵と言いましてもあくまで外から

監視をするだけで、盗聴と言っても電話の

盗聴という方法しかありません」

「はい」


警察はコンクリートマイクで隣の部屋の音を

盗聴する事は出来ないのが不思議だった。

「そこで、今後とも特殊内偵部隊として

協力をお願いしたい」

原が亮に言った

「はあ」


「もちろん、金銭的、身分の保証、

安全保障はいたします」

「急にそう言われても」

亮は今まで自由にしていた自分が

束縛されるようで悩んでいた。

「組織犯罪が増えている中、

現在の法律では潜入捜査ができません。

既存の捜査を行っていると、半年かかってしまって、

逮捕状がでた頃にはみんな逃亡した後なんです。

特に、賭博、麻薬、贈収賄、詐欺

なんかはスピードが必要なんです」

田中が熱を込めて言った


「正式に團さんが捜査員になっていただければ今後、

調査で得た情報は証拠として扱う事が出きるのです。

團さんには、公安1課の非常勤捜査員

として所属してもらいます」

美咲の父親は半ば強制的な言い方をしていた。

「いかがですか?」

田中が後押しをした。


美咲が亮の方を見てウインクしていた。

「わかりました、質問が有ります」

「なんでしょう?」

「逮捕権は有りますか?もし女性が連れ込まれて

助けを求めたら突入していいですか?」

「えっ?」

田中が不思議そうな顔をした


「あはは、大丈夫だ悪い奴は逮捕してくれ」

原巌が笑って答えた。

「一つお願いが・・・」

「何でしょう?」

「元警視庁勤務の森さんと

伊藤さんは元々警察官でしたから、

彼らの身分の保証もして頂けないでしょうか?

その他の人たちに関しては、私が責任を持ちます」


「承知いたしました」

今村は原の方を見て確認して亮と約束をした

「直属の上司は、私です」

美咲が嬉しそうに言うと亮が首を傾げた

「あれICPOは?」

美咲はおどけて返事をした。


「ICPOは来年ならないと空きがないの」

「はい、わかりました」

亮は美咲に父親のほうを見てうなずいた

「では、私原美咲が室長として

1ヶ月後正式に開始します」

「こちらこそよろしくお願いします」

そして、亮は警察官の基礎教育として

柔道、剣道、逮捕術、射撃訓練を受けた。

~~~~~~~

「亮どうしたの?ボーとして」

裕子が聞くと

亮は嬉しそうに笑いながら言った

「いや、また忙しくなりそうだから」

「元気出てきたわね」

「じゃあ、早速だけど」

亮はポケットからカプセルを取り出した。


「亮それって」

三人が声をそろえて言った

「はい媚薬です」

「やった!」

智子が言うとジュディが聞いた

「でも、亮今まで飲んでいなかったの?」

「はい全然」


「はいっ?嘘」

「みんなの分もありますよ」

「私はまだあるけど」

智子が首をかしげた

「バージョンアップしたやつです」

「バージョンアップ?」

「うん、今度は男女関係無くもてる

オキシトシンを配合しました」

「うふふ、じゃあ亮はゲイに追いかけられそう」

「あはは」

~~~~~~~

亮はカプセルを水で飲むと立ち上がった。

「さて帰ろうかな」

「まだ帰さないわよ」

座っていた智子は亮のズボンの

裾を待って言った。

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