第2話 天敵

株式会社STRAIGHTと言う名の

会社名が大きく掲げられて

そこのフロアーはすべて

その会社の関連企業で埋められ、

その入り口から一番奥にある

部屋はガラス張りで

庭園が目の前に見える

一角が社長室だった。


そこには白い椅子の応接セットが

ありその奥の大きなデスク上には

3台のパソコンのモニターあり

そこに座っていた男は背が高く、

ブルーのカラーシャツに紺のネクタイを

緩めモニターを鋭い目で見ていた。


その部屋のドアがノックされ、

黒いタイトスカートのスーツ女性が入って来て

聞いた。

「社長お呼びですか?」

「うん、あれ」

「はい」


その女は上着を下着が透き通る

脱ぎ白いブラウス姿になり

黒い革張りの椅子を倒してうっとりした

目で男の腕を揉み始め

女は時々男とキスをし男は空いた手で

タイトスカートの美しいヒップを

撫で回していた。


男はその気持ち良さにウトウトしていると

モニターからが声が聞こえた

「社長、日坂社長がお見えになりました」

「分かった」

男は起き上がり白い応接椅子に座った


~~~~~~~

亮と智子は汐留にあるジュディの

新しいオフィイスへ入った。

二人が応接室に案内されると

智子は周りを見渡した


「凄い事務所だね」

「美容室とエステで儲かっているから」

そこへ真っ白なスーツを着たジュディが入って来て、

いきなり亮にハグをした。


「久しぶり、亮」

そして、智子にもハグをした

「久しぶりジュディ」

「ごめんなさいマテリアの出店で地方周りをしていて

今日はアメリカから帰って来たばかりなの」


「凄い」

智子は小声で言った。

「ねえ亮、会社辞めて私の仕事手伝って」

「お断りします」

亮は笑った

「しょうがないわね。でも、

これからアドバイスは貰うわよ」

ジュディはニッコリ笑った

「もちろんです、わが社のお得意様ですから」

「早速だけど、亮に相談があるの」

「はい」


「マテリアとそっくりなお店が出来たの」

「それはしょうがないですよ、

成功しているんだから誰も真似しますよ」

「それが、全部うちの店から50m以内変だと思わない」

「はい?ちょっと変ね」

智子が真剣な顔でジュディを見つめると亮が聞いた


「それでお店の名前は?」

「プレステージ」

「そういえば、今銀座の工事中の店」

智子は手を叩いた


「そうよ、そのお店もうちの店の50m以内」

「経営者は?」

亮はプレステージに怪しさを感じた

「日坂武文。業界の人じゃないわ」

「どこかバックがあるんですね」

「はい、それだけじゃないの」

「はい?」


「大阪、名古屋もマテリアができてから

1ヶ月以内に

その店プレステージができているの」


「1ヶ月じゃ準備できませんね、

情報が漏れている可能性があります」

「まさか」

ジュディは顔色を失った


「それって出店計画が盗まれていること?」

智子が亮の顔を見た亮はうなずいた。

「ジュディ1ヶ月じゃほとんど同時

オープンと同じようなものです。

これから顧客獲得で苦戦しますよ」

「見抜かれちゃったね。その通りよ」

ジュディは苦笑いをした。


「そうか」

智子はジュディが上手く行っていない様子で

苦しんで亮に救いを求めたのを感じ取った。

「亮、あなたに手伝って貰いたいと言うのは嘘じゃないの」

「はい分かりました、ところで裕子さんは元気ですか?」


「もうすぐ来るわ、今日私と一緒にロスから帰ってきたから」

「久しぶりだなあ」

「あら?裕子さんと会っていなかったの?」

ジュディが不思議そうな顔をして聞いた

「はい」


「ねえ、亮あなた今まで誰とS○Xしていたの?」

ジュディは亮の耳元で囁いた

「いいえ誰とも」

「あはは」

ジュディは大きな声で笑った。

「失礼します」


裕子がお辞儀をして部屋に入って来たすると、

ジュディがニッコリ笑って目で合図を送ると

裕子は亮に気が付づき抱きついた

「亮久しぶり」

「元気でした?連絡が無かったから」

亮が聞いた。

「はい、ごめんね忙しかったから」

「はい」


亮が笑顔で裕子に答えると

ジュディの顔つきが真剣になった。

「亮、裕子さんには名古屋へ

行ってもらうことにしたの」

「えっ、ジュディちょっと待って」

亮はすぐに真剣な顔をして言った。

ジュディ、プレステージが銀座で

オープンしたら

どんなことになるか読めないですよ。

それならカリスマ美容師の裕子さんは

銀座にいてもらったほうがいい」


「でも、名古屋のお店はひどい状況で」

「じゃあなお更、裕子さんを

マスコミで取り上げもっと

名を売って月に何回か裕子さんが

名古屋へ行く形にしたほうが良いと思います」

「そ、そうね。それがいいわ」

ジュディはすっきりした顔をして言った。

「まず、名古屋と大阪のプレステージの

スタッフのレベルを調べなきゃいけません、

たぶん地元出身者を採用しているはずです」

「うちは東京のスタッフを向うに出向させているわ」

「ジュディ、全国展開する時は地元採用が原則なんです。

ですから現地採用して東京で研修を受けさせて

本人に自信を持ってもらうのが得策です」

「わかったわ」


ジュディはホッとしたような顔して

言うと亮は次の事を考えていた。

「誰かお客さんとしてプレステージに

行ってもらいましょう」

「はい」

ジュディが返事をするとそこへ

ドアがノックする音が

聞こえると長いストレートヘアで黒い

スーツ姿の女性が入って来た

「社長、書類が届きました」

「ありがとう」

その女性は笑顔で亮に挨拶をした


「松平さん、今度私の秘書に

なっていただいた。岡本さんです」

「はい、松平です」

亮は立ち上がって挨拶すると

岡本は会釈をして、隣の部屋に行った

「亮」

智子は笑って亮のわき腹を突っついた


「はい?」

「岡本さんは一葉学園出ていて、

5カ国語が話せて有能な人なのよ」

ジュディが書類を開きながら言った。

「5カ国語話せると有能なんだ・・・」

亮は腕を組んで独り言を言った。

「亮、何か言いたそうね」


「うん、どこまで有能か知りたい」

そしてジュディがその書類に

目を通すと亮の前に置いた

「一葉学園ですかお嬢さん学校ですね、

いいなあ私も憧れたわ」

智子が言うと亮が三島の事を思い出した


「三島さんも一葉ですね」

「そうね、一葉学園は美人が多いわね」

亮は智子に生返事をして目の前にあった

ページをパラパラとめくりジュディに聞いた

「ジュディこれが福岡店の計画書?」

「はい」


「今度は僕も仲間に入れて欲しい」

「本当?」

「はい」

ジュディは満面の笑みを浮かべて裕子を呼んだ。

「雨宮裕子さん銀座店にこのまま残ってください」

「はい」

裕子は嬉しそうに笑って亮の

顔を見ると亮はジュディを誘った


「続きは今夜食事でもいかがですか?」

亮は珍しく食事に誘った。

「はいと、大丈夫よ。8時過ぎなら」

ジュディは手帳を見ながら返事をした

亮は不安そうな顔をしてみている

智子と裕子に向かって微笑んだ。

「あはは、お二人も一緒です」

「わあ、やった!」


亮と智子は会社に戻る電車の中で聞いた。

「亮、仕事する気になったのね」

「ん?」

「だって、やる気無かったじゃない」

「うん、無かった」


「もう大丈夫ね」

「はい、今度の仕事面白そうだから」

「うふふ、みんなに連絡しなきゃ」

「みんなに?」

「そうよ、みんなに」

~~~~~~


その頃

六本木のSTRAIGHTでは

「どうだ名古屋の方は?」

「順調です、向うの戦略のミスで我々が

広告宣伝をしなくても

高級美容室の地位を高めてくれましたからね」

日坂が神妙な面持ちで一文字に報告をした


「学校の経営者同士だが向うには君のように

全国展開の運営ノウハウが無いからな」

「まさにその通りです」

「今度は博多だ。たのむぞ」

そう言ってマテリアの出店計画書を

ペラペラめくった


「はい、もうすでにマテリアの

近辺に物件を探させています」

「ああ」

日坂は頭を下げて席を立った

「では、失礼いたします。一文字社長」

入り口のドアが閉まると

一文字はインターフォンで秘書を呼んだ


「こっちへ来てくれ」

ノックと共にドアが開くと秘書に聞いた

「あいつはどうしている?」

「はい、今週から正式に」

「そうか、じゃあもうすぐだな」


「今夜8時にあそこへ呼んでおいてくれ」

「はい、私は?」

「お前も一緒だ。一恵」

「はい、ありがとうございます」

一恵は嬉しそうに笑った

~~~~~~

四人は亮の父親が経営する銀座にある

焼肉店銀遊亭に8時過ぎに揃った。

「ひさしぶりね、こんなに集まったの」

智子が手を叩いた

「そういえば葉子さんどうしているかな?」

亮は智子に聞くと智子は答えた。


「内村社長の秘書で鍛え上げられているわよ」

「凄い出世だよね、葉子ちゃん」

裕子が焼肉を美味しいそうにほうばった

「そういえば亮、内村社長と銀座にも行っていないの?」

ジュディが亮に聞くと亮は何か思いにふけったように言った。

「はい、なんか飲みたくなかったですね」

「うふふ、バーンアウト状態なんだね」


※バーンアウトはアスリートに多く見られる

燃え尽き症候群と言われる症状


「そう言うわけじゃないですよ」

「じゃあどうして、今まで仕事していなかったの?」

智子が聞いた。

「なんかわくわくする事が無かったからかな・・・」

「今度は?」

「なんか感じるんです、凄い事がありそうな気がする」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る