グッド・ジョブ媚薬 2部 天敵

渡夢太郎

第1話 秘書たち

9月15日のファッションショーから

2か月後の11月DUN製薬営業三課

窓際にある亮の机の所に黒のタイトの

ミニスカートの智子が来た。

それはちょっと頭を下げると股間が覗けるほどの

深いスリットが入っていた。


それを回りの男達が鋭い目で見ていた。

「今日から、三人の新人が入ってくるそうよ」

「知っています」

亮は三人の机の上に有った履歴書を見せた

それを見た智子はため息をついた。


「ああ、派遣から正社員になったのね。

うちの会社も、これじゃ人材育たないよね」

「そうですね、教育費用、時間を換算すると

女性は派遣のほうがメリットがあるから

会社としては仕方が無いですよ」

「派遣の品格のような女性はそんなにいないと思うけど」

「あはは、それがいるんだよね」


「ねね亮、三人とも超美人じゃない」

「外見で人を見るものでは無いですよ」

亮がきっぱりと言うと智子は亮の顔を見た。

「この前まで派遣の子だったけど真田社長に気に入られて

社員に昇格でその一人がうちの営業部にくる部長秘書です」

「へえ、部長がね」

そこへ元三課課長の今井部長が紺のスーツの女性と

一緒に入って来た。


「松平君」

「はい」

亮は立ち上がると今井部長の脇に女性が立っていた。

「今度営業部付き秘書になった三島君だ」

「三島玲奈ですよろしくお願いします」

そう言って三島は長い黒髪を前に垂らして

頭を45度に傾けゆっくり頭を上げると髪を整えた

「松平です」

側にいた智子も三島に頭を下げた

「大原です」

今井は初めて持った秘書に顔がとろけそうに笑っていた。


亮は他の島に移動した今井と三島の二人を見ると

智子に声を掛けた

「大原さん出かけますよ」

「どこ?」

「マテリア・エステの新店舗の打ち合わせです」

「ジュディのところ?」

「はい」

亮はスタンドにかけてあった上着を着ると

智子は化粧直しにトイレへ向かった

亮はホワイトボードに行き先を書くと

大橋が声をかけてきた。


「お出かけですか?」

「はい、マテリアで打ち合わせで今日は戻れません」

「はい、いってらっしゃい係長」

「行ってきます」

亮が課の連中に頭を下げた。

おそこへトイレから戻ってきた智子が

亮の肩を叩いた。

「ねえ、亮もっと係長らしくしなさいよ」

「だって元同僚ですよ。大橋君」

「しょうがないでしょ、あなたの方が仕事できるんだから

それにお父さん会長だし」


「まあ、それはみんな知らない事です。

それに父親は関係ないです」

「がんばってよ、私もアシストするからね」

「はいはい、お願いいたします」

二人は高田馬場駅まで歩き東西線に乗った。

「ところで空いている課長の席は誰が来るんだろう?」

「おそらく製薬販売の方から来るので

人事でもめていると思います」


「そうか、人事異動で忙しいんだね」

「本来、部長には秘書は付かないので

今井部長が課長兼務だから

秘書が必要なのかもしれない」

「そうね、亮が課長になればいいのに…」

「僕は人の管理より薬の研究が良いんだけど・・・」

「ところで、三島さん美人だったねモデルみたい」

智子は亮の顔を覗きこんだ


「興味ないです、整形美女かもしれない

 それより能力の方が大切ですよ」

「えっ、どこ?」

「3ヶ所、胸は形が良すぎ、鼻は高すぎ、目は大きすぎ」

「よく見ているわね亮、彼女がもし整形なら私の勝ち」

「いやいや、元々智子さんの方が勝っていましたよ」

「うふふ、うれしい」

東西線は大手町駅に止まった


「どこへ行くの?ジュディのところは2時でしょ」

「はい、直子さんのところへ行きます」

「あっ、それなら足マッサージしてもらおうかな?」

「そうですね、空いていたらね」

「うん」

亮は丸の内の高層ビルのエレベーターに乗り

5階のショッピングモールに出ると

すぐにマッサージの店があった。

亮と智子がそこに入るとスタッフが声を掛けた。


「いらっしゃいませ」

受付にいた白衣の女性が亮と智子を招き入れた

「こんにちは」

亮は待合室を覗くと

数人の女性が亮を見つめて目を離さなかった

「直子さんは?」

亮は受付の女性に聞くときつい言い方をした。


「先生は治療中です」

「そうか、忙しいの?」

「ただいま30分待ちです」

「そうか」

亮は奥の事務室へ歩き出すと

スタッフが亮を止めた。

「困ります、お客様」

「僕、團です」

「團様でも」

「亮、ちょっと待って」

智子が亮を止め

受付の女性に話し始めた


「新人さんね。誰かいないかしら」

すると奥の治療室から女性が出てきた

「あら、大原さん」

「ごめんなさい。この方亮の事知らないみたいで」

「あっ、ごめんなさい」

「こちらの方ここのオーナーよ」

「あっ、失礼しました」

受付の女性が頭を下げると

亮は事務室のロッカーを開け

上着を脱いでケーシーを着て

事務室を出ると受付に戻った。


「先ほどは失礼いたしました」

「いいですよ。それよりお客様は?」

亮は問診表を受け取り名前を呼んだ

「山際恭子さん」

亮が受付で名前を呼ぶと声が聞こえた。

「きゃ」

と言う声を出してOL風の女性が立ち上がり

周りの女性が羨望のまなざしで恭子を見ていた


その女性は痩せ型でメガネをかけていて

紺のストライプのパンツスーツだった


亮は手を消毒液で手を洗うと

「ベッドにうつぶせになってください」

恭子は顔を赤らめてうつぶせになった

「お時間は?」

「お昼休みなので30分くらいあります」

「わかりました。肩こりですね」

亮は恭子の肩を触りながら言った


「は、はい」

恭子は驚いたように言った。

亮は肩から肩甲骨へ向かって親指で押していった

「ひどいですね、歯も痛いでしょ」

「はい、そうです。それで夜も眠れなくて」

「はい、今日は時間が有りませんが

一度時間をかけてやりましょうね」

「はい」

亮の治療が終わると恭子は

トロンとした目で亮を見つめ

嬉しそうに帰って行った

カーテンで仕切ってある

ベッド仕切りから直子が出てきた


「直子さん、お昼食べましょう」

「亮、相変わらず突然ね」

「ごめん」


三人は同じフロアーにあるレストランに入った。

「仕事はうまくいっている?」

直子が智子に聞いた。

「うん、シャンプーがバカ売れ、イメージガールの

加藤瑞希ちゃんの人気にかぶって」


「良い人選んだよね、亮」

「そうですね」

「亮の好みでしょう彼女、とてもしとやかで」

智子が亮の横腹を突いた。

「でも、お母さんはもっと良い人ですよ」

亮は瑞希の母親とのLINEを見せた。

「えっ、彼女のお母さんと友達なの?」

「ついに亮は年上の女性と不倫か・・・」

直子が笑った。


「いいえ、彼女は独身です」

智子が横目で見た

「ところで亮、うちの店で治療しちゃ駄目よ」

「ごめん、忙しそうだったから」

「困ちゃうな」

「はい?どうして、亮は理学療法士(PT)

の日本とアメリカの資格を持っているんでしょう」


「PTの治療は医師の指導の

下にしなくてはならないので

治療は出来ませんけど、直子さんが

居るので施術は出来ます」

いわゆる治療院というのは柔道整復師、

鍼灸師以外は無資格者が行っている

直子は看護師資格を持っているので

セラピストマッサージとして行っている


「違うの、亮に治療されたら、普通の女性なら

夢中になってしまうわ、私達みたいに」

「そうか」

「今日の女性、毎日通うかも、亮に会いたくて」

「それなら、それで儲かっていいでしょう」

「それじゃ詐欺よ。もし今日の女性が

亮を指名してきたら責任とってね」

「はい」

亮は済まなそうな顔をした


「今日はこれからどうするの?」

「ああ、ジュディのところへ行きます」

「ジュディか忙しそうね。マテリアが当ったから」

「はい、新店舗を出店する予定なんだけど、

会うのは久しぶりなんです」

智子が答えた。


「懐かしいなあ、葉子ちゃんとか裕子ちゃんとか」

直子は窓の外を見た

「ねね、今度みんな集まって食事しようよ。

今、亮寂しいでしょ」

智子が亮の肩を叩いた

「いいえ、皆さんがそれぞれの

道を歩いてくれて嬉しいですよ」

「大丈夫よ、みんな亮が嫌いに

なったわけじゃないから」


「うん愛している」

直子は亮の頬にキスをした

「うん・・・・」

「そういえば今誰とエッチしているの?」

「いいえ、誰も」

「えっ?あの素敵なマンションに住んでいるのに

誰も連れ込まなかったの?」

直子と智子は驚いて顔を見合わせた。

「あはは」

「うふふ」

二人は大きな声で笑った。

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