第9話 次女セレスティア
それはさておき、今日はティア姉さまとのお茶会です。ティア姉さまは来年王立学園に入学予定で、進路は迷っていらっしゃいます。
「ティア姉さま。ようこそ来てくださいました。今日は新人もいますので不手際などあると思いますが、ご容赦ください。」
「いいですわ。誰だって最初は新人ですから。フィーネ、今日はお招きありがとう。」
そう言って、テーブルに着くお姉さま。今のうちに【鑑定】しますか。
――――――
セレスティア・メリー・ヴァルクハイン
年齢:14歳 性別:女性 レベル:3
肩書き:ヴァルクハイン男爵子女
HP:30 MP:0
筋力:3 器用度:3 敏捷力:4 知力:6 精神力:6 体力:5 魔力:0
職業:商人Lv1
スキル:商売Lv1 仕入れLv1 目利きLv1 値切りLv1 真贋Lv1 礼儀作法Lv3 情報収集Lv2
信頼:40 忠誠:- 向上心:72 不満:18 諦め:11 邪心:0
生まれ:ヴァルクハイン男爵家(次女)
――――――
ティア姉さまは商人ですか。なんというか、渡りに舟ですね。お姉さまを生けに――――商会長にして、交易をするのもいいですね。
まあ、すでに上のお兄さまお姉さまを味方に付けてますし、ティア姉さまを説得する方策もないですから、正直にいきましょう。
「お姉さま、実は私、【鑑定】のスキルを――――。」
「私が何が得意かわかるの!?」
食い気味で食い付きましたね。
「ええ、わかりますよ、お姉さ――――。」
「早速調べて教えて!」
最後まで言わせてください、お姉さま。
「落ち着いてください、お姉さま。ちゃんと教えますから。まずは紅茶を飲んで一息つきましょう。」
そう言って紅茶を一口。ちょっと渋いかな。リンの入れたものね。口直しにマカロンを一つ。うん、美味しい。
お姉さまも紅茶を飲んで落ち着いてきたので、話を続けよう。
「では、お姉さま。私の能力と、お姉さまの【鑑定】結果、ガンフ兄さまの都合を兼ねたこの先の計画をお伝えしますね。」
「へ?どういう事?」
ポカンとした顔になるティア姉さま。
「実は、昨日までに上のお兄さまお姉さまとお話ができ、その結果とティア姉さまの【鑑定】結果を踏まえて、今、この男爵領のための戦略が整いました。」
そう言い、私はエリザに目配せをして、紙とペンを用意してもらいました。そして、その紙に領地発展の青写真を書き出す。
「まず、父上次第ではありますけど、私が領主、もしくは領主代行としてヴァルクハイン領を動かす権利を手に入れる。これは父上、ガンフ兄さま、私の誰かがトップになるわけですが、実権を私が握ることが重要です。理由は私が[領主]の職業と【領地経営】【領地開発】のスキルを持っているからです。ここは譲れません。次に、ティア姉さま。」
「あ、うん、なに?」
いきなりお茶会が領地経営の会議――――と言うか発表になったから戸惑っているティア姉さまも、自分の名前を呼ばれたら反応してくれました。
「お姉さまには商会を作ってもらいます。お姉さまの職業は[商人]です。次に、シア姉さまを中心に北の森の魔獣の間引きをしてもらいながら、街道を整備します。そして、ティア姉さまの商会にベルシアとの交易をしてもらいます。これで、領地経営の底上げになります。」
「え、ええ。」
すでに全くついていけないティア姉さま。お姉さまには商売をしてもらうだけなんで、深く考えなくても利益を追求してもらえばいいです。
「とりあえず、ここまでを半年で終わらせます。この先は私が実権を握ってからですね。」
そう言いつつ、ガンフ兄さまとシア姉さまに渡す書状を用意します。これはリンに持っていってもらいましょう。いい経験になります。
「あ、お姉さま。私の能力はですね――――。」
ティア姉さまに能力を伝えるとドン引きされた。ですよねー。
翌朝、ガンフ兄さまとシア姉さまから返事が来ました。父上次第ですが、私が実権を握ることに賛成だそうです。まあ、ガンフ兄さまとシア姉さまの親友の恋路がかかっていますから当然ですね。
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