日常
夏鈴果林
ずっと
終電に乗れた
あと少しで家に着く
そこの電柱を曲がればすぐ
私の足にヒールは合わない
どうしても靴擦れしてしまう
痛む足を動かしてあまり光のない道を
早足で進む
電柱を曲がった
足が痛いけどあと少し
その時後ろから足音が聞こえた
カツカツカツカツ
ヒールの音だから女性だと思った
気にせず家まで急ぐ
明日も仕事だ
あの電柱を曲がればすぐ
足が痛むけど早足で進む
電柱を曲がった
あと少し
カツカツカツカツ
まだ足音が聞こえる
同じ方向らしい
気になるが足が限界だ
歩みを止めず
あの電柱を曲がればすぐ
もうすぐで家が見えるはず
カツカツカツカツ
足音も曲がってきたようだ
なんだか気持ち悪くなり痛みを我慢し走った
あの電柱さえ曲がれば家
カツカツカツカツ
後ろの足音が速くなった
怖い
痛みなんか気にしていられない
血が滲んだけど
皮が剥けたけど
絆創膏なんか貼る暇がない
私は走った
あの電柱を曲がればすぐ...
あれ
私は何回電柱を曲がった?
家はどこ?
足音も着いてくる
ただこの状況にパニックになった
ふと足を止める
足音が近づいてくる
カツカツカツカツ
カツカツカツカツ
横を通り過ぎたのは私だった
日常 夏鈴果林 @izumo12
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