第四話 山道

とりあえず、俺はすでに後悔していた。

出発の時間を間違えた、からだ。

じいちゃんと柴刈りに山の上に登って

だらだらして、家に戻ってから出発。。。

遅い、よな、出発。

まだ、道の途中なのに暗い。

怖い。

そして、やっぱり寒い。


一旦引き返すか?

いや、もう下の村までの方が近いか。

でも、着いても、みんな寝てるかな。

朝まで、村をうろつく?

布一枚、竹槍姿で?

ないない、それはない。

鬼じゃなくて俺が退治されるわ。


「でも、それにしたって、どうしよ。」


そう思案していると、山道に灯りが見えた。


「ん、寺子屋?」

前に俺の行った寺子屋は下の村のほど近くにある。

だが、この時間に誰がいるのだろう。

先生もあそこに住んでるわけじゃないしな。

いや、考えても仕方がない、お願いして泊めてもらおう。


背に腹は代えられない、俺は灯りのついている家の戸を叩いた。


「すみませーん!」

「はい、こんな夜分にどなた?」

低く、落ち着いた声で返事があった。

「山の上に住んでる者なんですけど、村に下りる途中で暗くなってしまい、難儀しています。」

「それは、さぞお困りでしょうね。」

「もし、出来ましたら、一晩泊めていただけないでしょうか?」

「私もここに越してきたばかりで、一人暮らし。なんのおもてなしも出来ませんが。」

「土間の隅でも結構ですので、なんとかお願いします。」

「わかりました。お待ちください。」


家の戸を閉めている棒をハズす音がして、ギギっと戸が開いた。


「いや、ホント助かります!」

俺は、お辞儀をした状態から頭をあげ、相手を見上げた。

そこには、身長3mくらいの青鬼がいた。

「いや、これ全然助かってねぇ!」

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