第13話 異界突入 根源 パート19
株鳥さん達の家系などの話により、とある罪を犯した一族とその子孫の周囲にいる人物が狙われている可能性がある事が分かった。
あの着物を着た少女。彼女が『十和子』なのなら、おそらくその『罪』とは彼女と彼女の家族を殺した一族……。
牧男さんはおそらく巻き込まれただけの人だ……。
雫さんと親しい間柄だった為に巻き込まれてしまったのだろう……。
今、僕やゴスペルの力を使い彼等を外に逃す事は可能だ。だが、また狙われる可能性がある。
せめて、姉さんだけでも逃したいが、姉さんが彼女に目を付けられている可能性がある。
無闇に姉さんを外に出すのはまずいかもしれない。
コウ
「これからどうするよー? このまま行方不明になった奴等を探して、保護する。それまではいいとして。そんな大人数を護りながら奴と戦うのはキツいと俺は思うぞー?」
鉄也
「……けど、だからと言って彼等を今、外に逃したところでまた狙われないとも限らない……。……このまま進むしかないでしょう……」
コウ
「……まぁ、そうするしかないのは分かるがよー……。このまま進んで行って、奴と真っ正面から戦ったら不利だぞー……。一度外に出て態勢を立て直すべきだと思うが?」
鉄也
「また株鳥さん達が狙われるかもしれないのに無闇に外に出すのはまずくないかな? だったらこのまま進んで行くべきだと僕は思う」
コウ
「……うーん……確かにそうかもしれないが、この『異界』にいる以上……エネルギーの回復速度は遅いままだ……。俺も自分の傷を治すのにかなりエネルギーを使っちまったし、お前だってかなりのエネルギー量を消費しちまっただろー? このまま進んで敵と遭遇して戦い続けたらジリ貧だ。護るモノが多ければ多いほどこちらが不利だし、大人数を護るには能力を使うのは確実。このまま進めば敵のボスに辿り着く前にお前のエネルギーが保たないだろう……」
鉄也
「『火山華』みたいな強い迷い人でなければ素手でもなんとかなる。けど確かにこのまま護るモノが増え続け、そのままあの少女と戦う事になったら……。……大人数を護りながら戦うのはキツいな……。……それに『火山華』みたいな相手とも戦う事を考えたらな……」
『火山華』や『武彦』のような強い『迷い人』でなければ、素手でも充分倒せる。しかし、『火山華』や『武彦』のような強い『迷い人』と戦うとなると話は別だ。能力を使わなくてはキツい。
僕の封印をある程度の数を壊さないと素手での戦闘はキツいだろう。
けど、直人に怒られるんだろうなぁ……。
まぁ、もう直人からもらった刀と『銀骨』を壊しちゃったし、今更か……。
鉄也
「仕方ない。壊すか」
コウ
「ん?」
僕はズボンのポケットに入れている呪いの道具を全て出す。
赤い宝石が特徴的なペンダントは『
漆黒の腕時計は『
青い宝石の指輪は『
黒い藁人形の形の物は、『
黒真珠の数珠は『
深紅の鎖のような見た目の腕輪は『
銀色の逆さ十字架のペンダントの形をした物は『
翼が無い鷹の紋様が刻まれた赤い腕輪は『
白いドクロのキーホルダーは『
20cmくらいのカタツムリの形をした置物『ノロマなカタツムリ』という物で、これを持ち歩いている人物の歩行速度を低下させる呪いと足技による攻撃力を弱める呪いがかけられている。
鼻の折れた天狗のお面は『
腕の無い30cmくらいの大きさの鬼の置物。これは『戦えない鬼』と呼ばれる代物。腕力を低下させる呪いがかけられている呪いの道具。
コウ
「……随分とヤバい呪いを秘めた道具を出したなー……。これ全部お前の力を抑え込んでいる呪いの道具かー?」
鉄也
「そうだよ」
コウ
「これどうするんだ?」
鉄也
「全部壊す」
コウ
「……おいおい……。呪いの込められている道具はいかなる物理的な攻撃を防ぐぞ……。そんなの俺でも知っている常識だぞ……。それに壊そうとすれば呪いの反動で……」
僕は呪いの道具を全て踏み付けて破壊した後、ジッポライターを取り出して火を付けて燃やす。
『『『『『『『『『『『ギィヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?!? こ、こいつ!? 呪いで殺せないぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!? ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!?!?』』』』』』』』』』』
鉄也
「うぉっ!? 思っていた以上の叫び声!? え? コウ、何か言った?」
コウ
「……いや……な、なんでもないです……」
呪いの道具を全て破壊した事により、僕の力は100%で使えるようになった。
長い期間、力を抑え込んでいた所為か力が溢れてくる。体がとても軽い。
直人の奴、随分と僕の力を抑え込んでいたみたいだな。
想像以上に力が出せる。
コウ
「おぉ……。想像以上にパワーアップしたなぁ……。見ただけで分かるよ。エネルギーがさっきより溢れ出ている……」
鉄也
「僕も驚いているよ……。まさかこんなに力が溢れ出るような感覚があるとは思っていなかった」
コウ
「お前……組織にいた時より数百倍強くなっているんじゃないか?」
鉄也
「どうなろう?」
コウ
「それで? これからどうするんだよ?」
鉄也
「ん? どうするって決まっているじゃん。ぶっ壊すんだよ」
コウ
「え? 何を?」
鉄也
「この『異界』を」
コウ
「は?」
鉄也
「今までは力を抑え込んでいたから出来なかったけど、100%の力を出せるならこんな『異界』くらいなら拳で壊せるよ」
コウ
「は? ちょっと何言っているかわからないんだけど? そんな事出来るなら最初からなんでしなかったんだよ?」
鉄也
「さっきも言ったけど力を抑え込んでいたから出来なかった。だって呪いの道具を壊したら直人が怒るじゃん。けど、力を抑え込んでいる状態だと勝てないし、何より面倒臭い。ならさっさと『異界』をぶっ壊した方がいいじゃん」
コウ
「え? は?」
鉄也
「僕はただ壊すだけだ。この面倒な異界をね」
コウ
「何、決め台詞みたいな事を言っているの?」
僕は大きく拳を振り上げる。
コウ
「ちょっ!? ちょっと待て!?」
そして振り上げた拳を床に叩き付けた!!
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