第13話 異界突入 根源 パート16
十和子
「まぁ、私の力を理解したところで……貴方に勝ち目はないわよ……」
鉄也
「能力者同士の戦いは……『探り合い』です……」
いかに相手に自身の能力を悟らせないか。
いかに相手の攻撃から能力について理解出来るか。
相手と自分の力量を見極められるか。
そういう事を探り合う。その事が重要だ。
そして僕は貴女の能力を理解した。そして僕と貴女との力量は多少なりとも知る事が出来た。
鉄也
「確かに『今の状態の僕の力』だけなら、貴女には届かないかもしれない……。けど、僕にはまだ『切り札』があります」
十和子
「へぇ……。まだ『切り札』があるのね……。『銀河』、『銀月』、『銀星』以外にもまるで『切り札』があるみたいな言い方じゃない……。そんな強がりを言えるなんて……貴方……なかなか面白いわ……。貴方のその『切り札』を見せてもらうかしら……」
鉄也
「……」
僕はポケットからドクロの指輪を取り出す。
十和子
「……そんな物が『切り札』なのかしら……?」
鉄也
「この指輪は『
十和子
「何が言いたいのかしら?」
鉄也
「まぁ、そう焦らなくても分かりますよ。それにしても『銀骨』を見てもピンとこない感じを見る感じ……。さすが『防御最強の能力』って他者から言われるだけはありますね……。咄嗟に『銀骨』やこっちの『切り札』などの事はバレないようにしたみたいだから……」
『ファントム・マジシャン』は『防御において最強の能力』と言われた能力だ。自身の身にまとっていなくとも攻撃の効果を多少は弱めてくれる。
最初に彼女に触れた時、彼女は僕を支配しようとしたのだろう。僕自身の力だけでも支配されなかったとしても彼女の力に抗って即死していた可能性はある。
死なずに済んだのは『ファントム・マジシャン』が咄嗟に彼女の力を多少なりとも弱めてくれたからだ。
そして『銀骨』のような力を封じ込める道具の事や他の『切り札』などの情報を彼女からバレないようにした。
出来る事なら僕の過去とかも彼女に知られないようにしてほしかったが、まぁ、そればかりは仕方ないか。
彼女は僕に『それなのにどうしてこんな世界の為に生きられるの? どうしてこの世界に絶望しても尚、この世界で生きていられるの? どうして誰かの為に戦えるの? 何が貴方をそこまでさせるの?』と質問した。
そんなの僕の過去に会った人達や僕の思い出を知っていれば最初から答えは分かっていたはずだ。
それなのに貴女は僕に質問した。
つまり『僕の情報を全ては見ていない』と思った。
それは『ファントム・マジシャン』が僕の身を護って『切り札』になるような技の情報は彼女に見せてはいないのではないかと思った。
案の定『銀骨』を見てもまるでシックリしていない様子だ。
これも意思がある能力の恩恵みたいなモノなのだろうなぁ…。
十和子
「何をする気なのかしら?」
鉄也
「僕の力って人より強いらしくていろいろと面倒なんですよ……。筋力も人より強いらしいし、エネルギー量も常人より遥かに多いらしい……。だから僕は基本的に誰かと戦う時には手を抜くようにしている。それは本気で戦ったら相手を殺してしまうからです……。けど、咄嗟の攻撃とか飛んできた時に力加減をミスって相手を殺しちゃっても嫌だから……僕はある程度の力を制限したり、咄嗟に力を使い過ぎないようにする道具を持ち歩いているですよ……。その役目を果たすのがこの『銀骨』という指輪。指にはめなくても持っているだけで効果を発揮するからいろいろと助かるんですよ……」
僕が組織を去る際、『国の盾』の最高責任者から『君の力は日常で暮らすにはお前の力は強過ぎる』と言われ、いくつか僕の力を制限したり、封じ込める呪いを秘めた道具を13個渡され、その全てを常に持ち歩くように言われている。
『銀骨』もその道具の1つだ。
僕はその『銀骨』を左手で握り締めて破壊する。
鉄也
「これで少しは力を解放出来る……」
十和子
「っ!? 驚いたわ……。指輪が壊れた瞬間に貴方から発する力の量が増えたわ……」
鉄也
「あと12個ほど僕の力を封じ込める呪いの道具はあるんですけど……。まぁ、あまり力を封じ込める道具を壊すと後々面倒だから……」
十和子
「……本当は貴方を無傷で捕らえて私の支配下したかったのだけど……。仕方ないわ……。諦めるわ……。この世界で殺した『人間』は、私は支配出来ない……。生きている内に支配するのだけど……貴方を殺す事にするわ……」
鉄也
「……こちらも貴女を殺す気で攻撃する……」
十和子
「『
彼女の持った刀から禍々しい黒い光が放たれる!!
これからこちらに撃ち込まれる攻撃は彼女が今、放てる最強の攻撃だろう……。
回避すれば、後ろにいる『株鳥』がその攻撃の餌食になってしまう。
ならば、真っ正面から受けて立つしかないだろう!!
鉄也
「『
僕は刀にさらに電気を、エネルギーを集めて威力高める。
そして刀を両手で握り、振り上げる。それと同時に全身にエネルギーを集めて身体の全ての筋力を強化する。
鉄也
「犬島流剣術!! 『
『迅雷の裁き』は、全身にエネルギーをまとわせ筋力を最大限に強化させ、刀身部分にもエネルギーをまとわせ刀の切れ味、耐久性を高める。そして切れ味と耐久性を高めた刃を振り下ろす技だ。
その一撃はまるで雷のように一瞬で、相手を切り伏せた時に周囲に振り落とした時の音が雷の如く轟く事からその名が付けられた。
『斬刀雷牙』をまとわせてさらに強化した『迅雷の裁き』。
受け切れるモノなら受け切ってみろ!!
十和子
「死になさい!!」
鉄也
「ウラアアアアアアァァァァ!! ぶった斬れろおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
彼女の刀から禍々しい黒い光の一閃が僕に放たれ、僕も彼女に目掛けて刀を振り下ろした!!
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