第13話 異界突入 根源 パート14

十和子

「『剣劇遊び・燕斬りけんげきあそび・つばめぎり』」


鉄也

「犬島流剣術!! 『乱舞戯れ猫らんぶじゃれねこ』!!」


 彼女の禍々しい刀から繰り出す素早い斬撃が上、斜め右上、右、斜め右下、下、左斜め下、左、左斜め上、様々なところから僕に襲い掛かる!! 


 僕は『乱舞戯れ猫』を繰り出しありとあらゆる箇所から襲い掛かる斬撃を防ぐ!!


 彼女の見た目は幼く、弱々しい外見なのに一撃一撃が重い!!


 僕の刀は異常な程に硬い特殊な金属で作り出されたとても丈夫な刀だ。


 そしてエネルギーと電撃をまとわせて攻撃力と耐久性を上げているはずなのに力で押し負けそうだ!! 


 こちらの刀がへし折られそうだ!!


 『斬刀雷牙』をまとわせていなかったら今頃は容易く折られていただろうな。


鉄也

「くっ!! 犬島流剣術!! 『阿修羅あしゅら』!!」


十和子

「『剣劇遊び・烏狩りけんげきあそび・からすがり』」


 僕の6つの斬撃を彼女は刀を高速回転させて防いだ!!


 クソッ!! これでも彼女には届かないのか!?


 こちらが攻撃をしても彼女は最も容易く防いで見せた!!


鉄也

「犬島流剣術!! 『月詠の舞・流星群つくよみのまい・りゅうせいぐん』!!」


十和子

「『剣劇遊びけんげきあそび・雀刺し・殺戮すずめさし・さつりく』」


 僕は彼女の頭、胸、腹、両肩、両足、両腕など様々な箇所に突きを繰り出す!! 


 だが彼女も突きを連続で繰り出して僕の攻撃を相殺する!!


鉄也

「チッ!! これでも届かないのか!? 『八岐大蛇やまたのおろち』!!」


 僕は左手にエネルギーを集め8つの頭の蛇の形にして彼女に放つ!!

 

十和子

「あら……。変わった攻撃ね……。剣術以外にもいろいろな技があるのね……。『剣劇遊び・鳩炙りけんげきあそび・はとあぶり』」


 彼女の切っ先から炎を出現させて『八岐大蛇』を打ち破った!!


十和子

「……次はこっちから行くわよ……」


 彼女はそう言うと後ろに飛び、僕から距離を取った。


 そして刀の切っ先をこちらに向けるともの凄いでこちらに突っ込んで来た!!


十和子

「『剣劇遊び・隼突きけんげきあそび・はやぶさつき』」


 は、速いっ!? 


鉄也

「『翼竜・雷牙よくりゅう・らいが』!!」


 僕は刀に帯びさせた電撃を操作して彼女に向けて雷撃を放つ!!


 だが!! 彼女には効かない!! 彼女は止まらない!! 彼女はそのまま突っ込んで来る!!


鉄也

「チッ!! ダメージにもならないか!! なら!! 真っ正面から叩っ斬る!!」


 僕は刀を鞘に納め、居合いの構えをする。


鉄也

「犬島流剣術!! 居合い!! 『白虎爪牙一閃びゃっこそうがいっせん』!!」


 僕は素速く抜刀して彼女に斬り付けた!!


 僕の居合い『白虎爪牙一閃』でなんとか彼女の強烈な一撃を防ぐ!!


十和子

「あらあら……。私の取って置きの刀を使って攻撃をしているのにそれを容易く防げる耐久性があるなんて素晴らしい刀ね……。そして私の攻撃に対抗する貴方の剣術も素晴らしいわ……。こっちの刀が折れてしまいそうだわ……」


鉄也

「だったら早くその禍々しい刀が折れてほしいですね!!」


 彼女は後ろに飛んで再び僕から距離を取る。


十和子

「……それにしても……貴方の技術には惚れ惚れするわ……。貴方の力ではないはずの雷を扱うその技術……。それに素速く鋭い一撃を放てるその剣術……。本当に素晴らしいわ……。私が見てきた人間の中で貴方ほど強い存在はいないわ……。まぁ、貴方はいろいろと混じっている存在だからそれほど強いのかもしれないけれど……」


鉄也

「……貴女こそ……見かけによらず……強いじゃないですか……。それほど幼く、弱々しい外見をしているのにも関わらず、強力な剣術を扱うその力。僕の嗅覚にも確認出来ないほどの隠密技術。僕が本気で戦ってきた相手の中で貴女ほど強い者は出会った事がない……。先程戦った『武彦』や『火山華』と名乗った者達とは比べモノにならないほどに素速く、強い。とても恐ろしい存在だと思っている……」


 彼女の攻撃は素速く鋭い。


 そして彼女の攻撃は一撃一撃が重い。 


 彼女の攻撃を防ぐ度に僕の刀がへし折れてしまいそうだと感じてしまう。


 こちらがどれほど素速く、強力な一撃を撃ち込んでも、彼女の素速い斬撃を繰り出して容易く防ぐ。


 おそらく、僕が殺すつもりで戦った相手の中では間違いなく最強だ。


 『銀月・星天停止ぎんげつ・せいてんていし』を使って自身を加速して彼女に斬り込みたいが、それを使うには『銀月』を出さなくてはならない。


 『ファントム・マジシャン』によって作り出せる能力の武器は3つまでだ。


 1つは僕が今使用している分。


 2つ目は姉さんを護る為に使っている。


 最後の1つは、姉さん達に何かあった時に瞬時にその場に行く為に取って置いてある。


 もしも最後の1つをこの場で使ってしまえば、そのタイミングで姉さん達が襲われた時に瞬時にその場に行けない。


十和子

「ふふふ……。貴方の考えは分かるわよ……。貴方に触れた時に貴方の力について少し知る事が出来たから……。確か……『銀月・星天停止』だったかしら? 自身の動きや思考を極限にまで加速させる技で光の速さを超える事により周囲の時間がまるで止まったように感じるっていう強力な技よね……」


鉄也

「……」


十和子

「加速していられる時間は約1分前後……。それ以上加速して動くと体に負荷がかかって体に激痛がしてマトモに動けなくなる……。使用出来る回数は1日10回程度が限界で、連発は出来なくて、1回使うと10秒間『銀月・星天停止』は発動出来なかったわよね……」


 触れられただけで、そこまでの事が分かってしまうのか……。


 なんて恐ろしい奴なんだ……。


十和子

「確かにその技を使ったら勝機はあるかもしれないけれど……。けど使えないわよね……。その為には貴方の最強の防御である『銀河』を解除しないとならないわよね……」


鉄也

「……」


十和子

「貴方の能力で出せる能力の武器や防具は3つまで……。1つは貴方のお姉さんに使っている……。2つ目は貴方自身……。最後の1つを使ったら……。大切なお仲間が危機に陥った時に瞬時に助けに行けないわよね……。この世界は私が創り出した世界……。やろうと思えば今すぐにでも貴方のお仲間のところに私の下僕を送り込めるわ……。貴方のその忌々しい銀色のコートを解除したら……どうなるのかは貴方が味わって知っているわよね……」


鉄也

「……何もかもがお見通しか……」


 まったく、面倒な相手だ……。

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