第13話 異界突入 根源 パート13

十和子

「……貴方は随分とつらい過去がある……。それなのにどうしてこんな世界の為に生きられるの? どうしてこの世界に絶望しても尚、この世界で生きていられるの? どうして誰かの為に戦えるの? 何が貴方をそこまでさせるの?」


鉄也

「……」


株鳥

「……て、鉄也殿……」


鉄也

「……確かに僕はこの世界を憎んだ事があった……」


株鳥

「て、鉄也殿!?」


鉄也

「……自分の行いは誰も救えはしないと絶望した事もあった……。……僕の力では誰も救えず、誰も導けない……。僕は僕を救ってくれた人達のような存在になれない……。それに気付き苦しんだ事もあった……。……つらかったし、悲しかった……」


十和子

「……」


株鳥

「……て、鉄也殿……」


鉄也

「……けれども……この世界には僕の大切な人達がいる!! こんな僕の事を今でも家族として大切にしてくれる人達がいる!! 『そばにいてもいい』と言ってくれた人がいる!! こんな人間兵器に成り果ててしまった僕を未だに『親友』と呼んでくれる人達がいる!! それだけあればこの世界を護る価値はある!! その人達が笑って暮らせる世界の為ならば僕は何度だって戦う事が出来る!!」 


 僕はズボンのポケットから1振りの刀を取り出しながら彼女に言った。


鉄也

「僕がここに来たのはこの行方不明になる事件が僕と僕の大切な人達が暮らす町で同じような事が起きる可能性があるからそれを阻止する為!! そして行方不明の方々を救う為!! その為にここに来た!!」


 僕は刀を鞘から抜き、鞘を腰のベルトに差して刀を構えながら叫んだ。 


鉄也

「そして貴女の目的が世界を脅かすのなら僕の全力を持って阻止してみせる!!」


十和子

「……貴方の心は折れないのかしらね? それほどの絶望を味わって……」


鉄也

「僕のこの鋼の心はもう2度と!! 2度と折れる事など無い!! 僕は決して屈しない!! 僕は僕の大切な人達の為ならばこの命さえ失う事など恐れはしない!! それが今の『銀色の鬼神』の生き様だ!!」


十和子

「……それが貴方の導き出した『解答』なのね……」


株鳥

「……て、鉄也殿……。可愛い顔して言っている事がイケメン過ぎるでござるよ……。やべぇでござる……。……拙者……鉄也殿に惚れてしまいそうでござる……。……拙者……リアルの人間に恋する事なんかないと思っていたのにでござる……。初めて好きになったリアルの人間が男の娘とか……拙者……やばいでござるよ……。いや、男の娘ならセーフラインでござるかな……?」


十和子

「……貴方……やっぱり素晴らしいわ……。貴方のその鋼の意志と鬼神のような強さ、最強に近い能力……。やっぱり欲しいわね……」


鉄也

「貴女に渡せるモノは僕には無い!! 貴女を倒して仕舞いだ!!」


 僕は体内の電気信号の量をエネルギーで増幅させ、その電気を右手に集めて刀に電撃を帯びさせる。さらに刀にエネルギーをまとわせて殺傷力を高める。


 この技は『手刀雷牙』の応用技だ。雷撃がまとった刀剣で斬り掛かる技だ。相手を感電死させ、相手を焼き斬り確実に殺す為の技。技の名を『斬刀雷牙ざんとうらいが』。


十和子

「いいわよ!! 全力でいらっしゃい!! 貴方の全力を打ち砕いて!! 私が貴方の何もかもを取り込んであげるわ!!」


 十和子は懐から手鏡を出す。そしてその手鏡から赤紫色の刀身の刀を出現させる。


 その刀身はどこか禍々しく思えた。


十和子

「『邪刀・大禍時じゃとう・おおまがとき』……。かつて世界を滅ぼそうとした神『邪神亜数じゃしんあかず』が愛用していた妖刀……。貴方ほどの相手にはこれくらいの強い刀を使わなければ倒せそうもないから使わせてもらうわ……」


 彼女はその禍々しい刀で僕に斬り掛かる!!


鉄也

「こちらも行くぞ!! 『斬刀雷牙』!!」


 僕も雷撃をまとった刀で彼女に斬り掛かった!!


ーオマケー


アルト

「んっ!?」


コウ

「うをっ!? どうしたんだよ!? アルト先輩!? 髪の毛が1本立ったんだけど!? アルト先輩の髪の毛どうなっているの!?」


アルト

「……誰か……鉄也に惚れた気配を感じた……」


ゴスペル

「鉄也様、まあぁぁた誰かを惚れさせたのかにょ? まったく……あの人は垂らしにょねぇ……」


アルト

「この感じ……鉄也に惚れた相手は男かな……?」


コウ

「ふぁっ!? アイツまた男に惚れられたの!? そもそもなんでそんな事まで分かるんだよ!?」


ゴスペル

「あ……。そういう事まで分かるにょね……。なんか便利そうにょね……」


牧男

「鉄也は僕が貰うから誰にもあげる気ないけどね……」


アルト

「は? ……何言っているの……? 寝言は寝てから言いなよ……。 ……鉄也はあげないよ……」


牧男

「あははは」


アルト

「うふふふ」


コウ

「……お、おぉ……。なんかアルト先輩と牧男さんだっけ? 2人からドス黒いオーラが出ているんだけど……」


「牧男くん? 何を言っているのかな? 牧男くんは私と結婚するんだよ? 浮気は……ユルサナイヨ……」


コウ

「……うおぉぉ……雫さんだっけ? そっちからもなんかドス黒いオーラが出て来た……。……鉄也……早く帰って来て……」


ゴスペル

「お互い大変だにょね……」


コウ

「……同情してくる奴が馬鹿で変態とか嫌過ぎる……」


ゴスペル

「にょ? 馬鹿とは失礼にょね。これでもお前より長生きしてるにょ」


コウ

「変態は否定しないのかよ……」


ゴスペル

「にょ? 変態の何が悪いにょ」

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