第6話 通り魔? だからなんだよ? こっちは地上最強の能力者だ!! パート3
通り魔
「うぅうぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
通り魔が取り出した黒緑色の液体の入った注射器を首の頸動脈に刺し、自身の身体にその液体が注入した瞬間、通り魔の体から先程とは比べ物にならないくらい力が増していくのを感じる。
鉄也
「すごいエネルギー量だな」
僕等能力者の間で言う『エネルギー』とは、能力を発動する為に必要な力の事だ。地域によっては『オーラ』や『魔力』など様々な名称で呼ばれる事があるらしい。
能力者を車で例えると、車自体が能力者。車が動く事を能力が発動している状態。エネルギーはガソリンのようなモノらしい。
また『エネルギー』だけでもいろいろな事が出来る。傷口にエネルギーを集中させれば治癒力の強化、身体にまとわせれば身体強化が出来るというなんとも便利な力だ。
そのエネルギーがあの通り魔から湯水のように溢れ出ているのを感じ取れる。
鉄也
「あんなに溢れさせちゃって、エネルギーとは体に留めるモノだっていうのに」
さて、さっきの注射器の液体でドーピングしてエネルギー量を無理矢理増やす薬品だと思う。けど、その膨大なエネルギー量を操作し切れていないって感じだろうか。
鉄也
「まったく、このまま暴れられたら町中めちゃくちゃにされそうですね。仕方ない。僕も能力を使うか」
僕はフゥと息を吐き出して能力を発動させる。
鉄也
「『ファントム・マジシャン』」
僕の能力は道具として姿を表す能力だ。その能力により作り出された道具は時と場合、僕の意志により変幻自在に姿形を変え、様々な方法で自身や指定した人物を護るという能力。
僕は銀色のコートの形で呼び出し、身にまとう。そのコート状態の形。
僕は『ファントム・マジシャン』をこのコートの状態にする技を『
『銀河』は、自身、もしくは指定した人物の身にまとった瞬間、ありとあらゆる物理攻撃や毒などによる常態などの自身にとって害になるモノを全て無効化して身を護るという特性がある。僕の使える防御系統最強の能力技だ。
組織にいた時から戦場に立った時に身にまとった最強の鎧だ。
鉄也
「さてと……」
アルト
「鉄也……」
姉さんは心配した顔で僕を見ていた。僕はそんな姉さんに『大丈夫ですよ』と言って笑いかける。
鉄也
「こんなの組織にいた時にもこんな経験何度もしてきたから大丈夫」
『国の盾』と呼ばれる組織に所属していた時代、似たような事は何度もあった。敵がドーピングするなんてことは珍しい事ではない。
『国の盾』という組織でもドーピングするアイテムはいくつもあった。
まぁ、大抵ドーピングするアイテムを使った後の疲労感が酷いから滅多に使う事はしないけど。
通り魔
「うぅうぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!! こんな女の子みたいな顔したクソガキにいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!! 負けるなんて事がああああぁぁぁぁ!!!! あってはならないのだああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
鉄也
「まったく……女の子みたいな顔な事……こっちはかなり気にしているのに2回も言いやがって」
通り魔
「クソガキィィ!! 今すぐに切り刻んでやるぜぇぇ!!」
鉄也
「……」
声、うるさっ。こんなデカい声で騒ぎまくったら人が集まりそうだなぁ。そうなったらちょっと面倒だから少し人を集めないように対策したないとなぁ……。
僕はポケットから組織所属していた時代から愛用していた道具を取り出す。僕が取り出したのは『人払いの箱』と呼ばれる道具だ。
『人払いの箱』は、僕が過去に所属していた組織『国の盾』の科学部隊が作り出した道具で手の平に収まるくらいの大きさの金属製の箱だ。スイッチがあってそれを押すとこの箱から10km以内いる能力を持たない人間は無意識にこの箱のある場所から離れるらしい。最大8時間能力を持たない人を寄せ付けない効果がある。仕組みは詳しくわからないけど電池式。
『人払いの箱』のスイッチを押すとその瞬間、『ぽちゃん』という水面に物が落ちたような音がする。その音がしたらすぐに効果は発揮される。
いつ見ても不思議に思う。こんな小さな物で人が無視意識にその場から離れて行くっていうのは。
ちなみに指定した人物はその場に留まらせる事も出来る。つくづく『国の盾』の科学力ってのは凄いんだなって思いますよ。
鉄也
「さてと、これで心置きなく戦闘が出来る」
僕は通り魔に向き直り、右手を前に突き出し、犬島流体術の構え『
鉄也
「お手並み拝見といきますか。噂の通り魔さん」
通り魔
「舐めやがってええええぇぇぇぇ!! 調子に乗ってんじゃねえええぇぇぇぇぇ!!!! そこ余裕を絶望に変えてやるよおおおおぉぉぉぉ!!!! うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
通り魔は雄叫びをあげたながら、懐からナイフを取り出して僕に投げ付ける!!そして奴自身も僕の方へ駆け出して来る!!
通り魔
「『ボディー・オブ・ゴースト』!! 『ホラー・オブ・ポルターガイスト』!!」
僕に目掛けて投げられたナイフは凄い勢いで回転しながら僕の方へ飛ばされる!! 自身が投げた物を自在にコントロールする事が出来るのか!?
だが!! そんな攻撃なんて僕の『ファントム・マジシャン』という強力な護りの前では何の意味を持たない事をこの場で証明してやる!!
鉄也
「ウラアアアアアアァァァァ!!!!」
回転しながら飛んで来たナイフを僕は右の拳で弾いて防ぐ!!
僕の『銀河』はまとった瞬間、僕の全身をありとあらゆる攻撃から身を護る最強の盾となる!!
このまま奴に突っ込んで、今度こそラリアットを決めて気絶させてやる!!
通り魔
「いいのかああああぁぁぁぁ!? そのまま俺様に突っ込んで行ってもよおおおぉぉぉ!? お前の大事な大事なお姉ちゃんが死んじまうぞおおおぉぉぉ!!」
鉄也
「っ!?」
僕の弾いたナイフはまた回転し始め姉さんに向かって飛んで行くだと!?
鉄也
「チッ!?」
最初から僕が狙いではなく!! 僕の後ろにいた姉さんを狙っていたのか!?
通り魔
「さぁ!! どうするよおおぉぉ!?!? 正義の味方気取りのクソガキィィ!!!! 今から走ってお前のお姉ちゃんは護れるのかああああぁぁぁ!?!?」
鉄也
「舐めるな!!」
僕は姉さんの方に走る!! 姉さんに飛ばされたナイフを蹴り飛ばし、姉さんの前に立つ!!
通り魔
「思っていたより速く動けるみたいじゃねぇかああああああぁぁぁぁ!!!! けどよおおぉぉぉ!! 俺様の投げたナイフをたった1回だけ防いだだけで安心しちゃダメじゃないのかああぁぁぁぁ!?!?」
僕の蹴り飛ばしたナイフは再び回転し始め空中をグルグルと飛び始めた。
鉄也
「ちょっと舐め過ぎていましたね。霊体になる能力だけかと思いましたが……自身の持ち物を自在に操作出来るとは……」
通り魔
「おいクソガキィィ!! 『ポルターガイスト』って知っているかああぁぁぁぁ!?!?」
鉄也
「まぁ、幽霊とら何度か会う機会があったから知ってますよ」
『ポルターガイスト』とは、特定の場所において、誰一人として手を触れていないのにも関わらず、物体の動いたり、物を叩くような音の発生、発光、発火などが繰り返し起こる事で通常では説明のつかない現象。霊現象の1つとされている。
通り魔
「俺様の能力について特別に教えてやるよおおおおぉぉぉぉ!! 俺様の能力『ボディー・オブ・ゴースト』は自分自身や自身の身に付けている物、手に持った物を一時的に霊体化させるという特性な能力だああぁぁ!! だが俺の体内にあるエネルギー量だけではそれ以上は出来ねぇぇ!! けどよおおぉぉ!! さっきの薬を使う事によって幽霊が行える事なら大抵の事なら出来るようになるんだよなあああぁぁぁぁ!!!!」
鉄也
「……なんか厄介な能力だ」
通り魔
「身にまとう事により発揮される能力の弱点って知っているかあぁぁぁぁ!?!? 身にまとって力を発揮させる能力ってのはかなり強いとされているんだぜぇ!! 自身の持つ力を増幅させたり、攻撃特化型なら様々なモノを破壊しぃ!! 防御特化型なら様々な攻撃を防げるぅ!! そしていろいろな応用範囲があり敵にするとかなり厄介とされているぅ!! だがああぁぁぁぁ!! それだけの力をドーピングもせずに後どれほどの時間扱えるかなあああぁぁぁぁ!?!? 身にまとうタイプの能力の弱点とはあぁぁぁ!! 長時間の戦闘が不可能おおおぉぉぉな事だあああぁぁぁぁ!!!!」
鉄也
「随分と話をするのが好きなようですね」
通り魔
「その強がりが一体いつまで続くのかなあああああぁぁぁぁ!?!? クソガキィィ!!!!」
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