第6話 通り魔? だからなんだよ? こっちは地上最強の能力者だ!! パート2

 能力者同士の戦いとは、探り合いである。


 いかに素早く相手の能力を見破れるか。そして、その能力で行える事を予測し、自分の能力との相性を見極める。


 そして時には自身の能力をワザと明かして相手に自分は倒せないと威圧して相手の戦意を削いだり、時には自身の能力を相手に悟らせず、欺かせ、相手の隙を作り出し勝利のチャンスを見つけ出す。


 それが能力者同士の基本的な戦い方となるらしい。


 まぁ、僕の場合は、どんな相手でもゴリ押しして倒してきたからそこまで相手の能力の事とかあまり考えたりしなかったけど……。


 そもそも相手の出方を伺う戦い方は性に合わないし、相手の能力の出来る事を一々考えるのは面倒だから、組織に所属していた時は、基本的には『敵を見つけたら速攻で間合いを詰めて相手の急所にキツい一撃を入れる』って事しか考えていなかった。


 僕の能力の強みは高い防御力とありとあらゆる状況になってもそれに争う力を持っている事だ。故に相手の事を一々考えながら戦うよりはさっさと間合いを詰めて倒してしまう方が手っ取り早く、真っ向から挑む事がしやすい。


 コウからは『究極の脳筋戦闘』とか呼ばれたりした。




 さて、今回の相手は正直なところ姉さんがいてくれたから相手の能力がすぐに気が付く事が出来た。


 僕は最初は『物理的な物をすり抜ける』という能力ではないかと思っていたけど、姉さんだけが奴の姿が見えなくなった事で奴の能力に気が付く事が出来た。


 相手のタネが分かってしまえば、恐れる事はない。


 僕の方に走っている通り魔に対して……


鉄也

「ウラアアアアアアァァァァ!!!!」


通り魔

「ぶべえぇぇぇぇっ!?!?」


 ラリアットをぶちかます!!


 通り魔は10m近く吹っ飛び、首を押さえて悶える。


アルト

「鉄也が腕を振ったら突然あの男が出てきてなんか悶え始めた!? な、何が起こっているの!?」


鉄也

「ふむ……。ある程度ダメージを受けると強制的に能力が解除されるのか……。いやぁ。姉さんがいてくれて助かりましたよ」


アルト

「え? え? えっ!? な、何が起こっているの!?」


通り魔

「ば、馬鹿なっ!? な、何が起きた!? 何故だ!? どうして俺様は攻撃を受けた!? 俺様の能力『ボディー・オブ・ゴースト』は確かに発動していたはずだ!? なのに!? 能力を発動中のこの俺様にダメージを与えただと!? あ、頭がおかしくなりそうだ!!」


鉄也

「そんなに驚く事は無いと思うんだけど?ただ僕は貴方の能力を見破っただけですよ」


通り魔

「な、なんだと!? ば、馬鹿な!? そんなはずはない!?」


鉄也

「まぁ、姉さんも分かっていないみたいだし種明かしをしましょうか。最初から説明すると貴方は能力を発動した瞬間、『僕に姿が見えなくなった、攻撃を受けるはずがない』って考えていたんじゃないですか?」


通り魔

「なっ!? 何故それを!?」


鉄也

「最初から説明すると僕の目には最初から貴方の姿は見えていました」


通り魔

「っ!?」


鉄也

「ただ僕の投げ付けたシャープペンシルがすり抜けた事から最初は『物理的な物をすり抜ける』って能力ではないかと考えていましたがまだ、姉さんだけ『貴方の姿が見えてない』って状態だった。僕にあって姉さんに無いモノ。それは『幽霊の存在を認識出来る力』じゃないかなって思ったわけですよ。実はこう見えて僕、幽霊とか見える体質なんですよ」


アルト

「あー。なるほどね。納得。確かに私には霊感はまったく無いや」


鉄也

「姉さんも分かってもらえたみたいでますね。つまり貴方の能力は『自身の肉体、自身が身につけた物、持っている物を霊体化させる』って能力って事ですよね」


通り魔

「ゆ、幽霊が見える体質だとおおおぉぉぉ!? いや!! 待て!! それなら何故だ!? 何故、この俺様を殴れたのだ!?」


鉄也

「殴ったんじゃなくてラリアットをぶちかましたんですよ。まぁ、それもいたって簡単な理由ですよ。僕は幽霊の姿を見たり、幽霊の声を聞いたり、逆に話し掛けたり出来て、ついでに幽霊を殴れる体質なんですよ」


通り魔

「な、なんだとおおおおおぉぉぉぉ!?!? ふ、ふざけるなああああああぁぁぁぁ!!!! そんなチート設定あってたまるかああああぁぁぁぁぁ!?!?」


鉄也

「いやぁ、そう言われても。気が付いたらそういう体質になっていたから……。それと貴方の能力って能力が発動中は物理的にこちらに攻撃は出来ないですよね?」


通り魔

「な、何故その事を知っている!?」


鉄也

「ぶっちゃけそういう能力は稀に見る機会があったので対処方法は心得ているんですよ。『物理的な物をすり抜ける』って能力だといろいろと戦い方とか考えないといけないところだったけど、『霊体化させる』という能力なら僕が有利ですね」


通り魔

「こ、こんな!? こんな事があってたまるかああああああああぁぁぁぁぁ!!!! こんな!! こんな事が女の子みたいな男に負けるなんてあり得ないのだああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


鉄也

「ピーピー騒いだところでどうにもならないよっと。ん? ちょっと待て!? 今、僕の事を『女の子みたい』とか言ったか!? それ1番気にしていた事なんだぞ!! お、お前!! ゆ、許さん!! 許さんぞおぉ!! うおおぉぉぉ!! お仕置きぃぃタアァァイィィムッ!!」


通り魔

「こ、こんなところで倒されるくらいなら!!」


 通り魔は懐から注射器のような物を取り出し、自分の首の頸動脈に刺す!! 注射器の中にあった黒緑の液体が彼の体内に注入されていく!!


 その瞬間、通り魔の体から緑色の光を放つ!!


鉄也

「緑に光っても許さないからな!!」


アルト

「ちょっ!? な、なんかヤバくない!?」


鉄也

「こっちは地上最強の能力者だ!!」

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