第152話 迎春

* * * * * * * *


 今回はちょっとエチです。

 苦手な方は、ご注意ください。


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 ぬちゃ、ちゅっ、れろっ、ぴちゃ、ちゅっ…

 はむっ、ぺろっ、がじっ、あむっ、ちゅっ…


 俺は今、ベッドに横たわり、彩菜と舌を重ねて、涼菜に全身を貪られていた。

彩菜のキスは、まるで砂糖を煮詰めて甘味ととろみが増したような甘美溢れる味わいで、このまま彼女の舌を舐め尽くしたくなる欲求に駆られる。

片や涼菜はと言えば、舌が、唇が、歯が、爪が、俺の身体中を隈なく這い回り、様々な形でのマーキングを怠らない。

更に二人は、まるでお互いのタイミングを図っているかのように、手指を使って交互に満遍なく、男性の象徴に柔らかな刺激を与えていた。


「どお、ゆう、むちゅ…、気持ち良い? ちゅぱっ…」

「ああ、ちゅっ…、こんなの、じゅる…、初めて、ちゅぷ…、だよ…」

「くすっ、ゆうくん、可愛い♪  ちゅっ…、ほら、この子も、れろ…、こんなに喜んでる♪」

「んあ…、こら、すず、んんっ…、先っぽは、はあ…、舐めちゃ、ちゅっ…、ダメだ、ぁうっ…」

「はーい、じゃあ、手でするね、くすっ、先っぽのお汁、たくさん出てる♪」


 涼菜が象徴を少し乱暴にピンと弾くと、強力なバネ仕掛けのように勢い良く元に戻り、少し粘り気のある液体が細い糸を引きながら、そこかしこに飛び散った。

俺は強めの刺激に翻弄され、思わず右手を伸ばし、ルール違反を犯してしまった。


「あ、あん…、もう、ゆうったら、お触りは禁止でしょ? 今日は私たちがゆうに気持ち良くなってもらうんだから。」

「あー、ゆうくん、いけないんだー、それじゃあ、ペナルティー、行っちゃうよ?」

「はあはあ、ちょっ、ちょっと待て、はあ…、それ、ホントにやるのか?」


 今夜のルールは、簡単だった。

俺は一切手出しせず、俎板まないたの鯉に徹することだ。


 普段は挿れることや吐き出すことに拘らないが、それは自分がイニシアチブを握って自らコントロールしてのことだ。

女性に生殺与奪権を握られての行為は久しぶりだったが、これほどまでにキツいとは思わなかった。

しかも、俺が手を出した場合には、ペナルティーが課せられる。

それは…














 放置プレイ!

 …

 …

 しかし、これは…


「……なあ、これ、単なる休憩だよな。」

「あー、そうとも言うねー」

「ねえ、それより、ゆうがしてくれないと、私、疲れるばっかりなんだけど。」

「あやねえは、いっつも、ゆうくんに合わせてもらってるしねー」

「俺も、出来れば、お前たちに気持ち良くなってもらいたいんだけどな。」

「ゆうくんは、ご奉仕タイプだからねー」

「ねえ、すず、これ、もうやめて、いつもどおりにしない?」

「実はね、あたしも、動かない獲物って、つまんないなーって思ってたんだよー」

「ああ、にゃんこは動いてる獲物を痛ぶるのが好きだからな〜」

「にゃ〜」


 結局、新年の新企画(?)は俺たちのニーズと合致しないことが分かった。

それはそれで、自分たちの趣味趣向が確認できたのだから、無駄なことではなかったと思っておこう。

そうでなければ、虚しさが残るだけだ。


 さて、これからどうしようかと思っていると…


「私、今夜はもう良いかな、眠たくなって来ちゃったし。」

「ん、了解。」

「ゆう、キスして。」

「ん…」


 ちゅっ…


「おやすみ、あや。」

「おやすみ、ゆう。」


 彩菜は羽毛布団を肩まで掛けて、直ぐに眠りについた。

俺は傍らにぺたんと座っている、涼菜に声をかける。


「すずは、どうする?」

「あたしよりも、ゆうくんは中途半端なままで大丈夫なの? お手伝いする?」


 涼菜が元気がなくなって項垂れている男性の象徴をやんわりと撫で摩ると、まだまだこれからだと主張するようにグンとやる気を見せた。

そのような様子の我が分身には申し訳ないと思いつつ…


「その処理だけで、してもらおうとは思わないよ、放っておいても平気だし。」


 世の男性諸氏はどうか知らないけれど、今言ったとおり、後処理のためにパートナーの手を煩わせるのは如何なものかと思う。

確かに所謂生殺し状態ではあったのだが、気持ちが落ち着いてしまえばどうってことはない。

もちろん、パートナー側が積極的に致したいと言うのであれば、話は別だが。


「ゆうくんは、優しいから、そう言ってくれるのかな、男の人も色々だよね。」

「うん? 何かあったのか?」


 涼菜は象徴に顔を近づけて、あやすように優しく指を這わせながら、友達のことを話し始めた。


「心美の彼氏がね、色んなことしてほしいって言うみたいなの。」

「あー、そういうのはあるらしいな。」

「あの子、嫌だって言えない時があるみたいで、ちょっと可哀想だなって。」


 俺に手解きしてくれた人は、自身が無理強いされた経験があったからか、女性を尊重することが大切だと教えてくれた。

俺が元々持っている気質とも合っていたのだろう、その教えは実にすんなりと心に染み込んだ。

料理を振る舞うこともそうなのだが、相手に喜んでもらうことが第一だと思っているし、相手が望まないことをするべきではないのだ。


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