第16話  宇宙方面軍オオワシの動向

「対馬の件では敗北を受けて後退したようだな。もしも仮にこのような決定をまた繰り返すのならば、君を更迭しよう」

 対馬の件とは日本側の呼称で対馬海峡の戦いの事である。大型汎用機が破壊された事により、後退した事が宇宙軍のオオワシにとって非常に不快であったようだ。

「噂によりますと、うちの王女であるサラが糸を引いていたという話しがございます。オオワシ様もそれを信じますか?」

「あの王女に何ができる。今回の計画だって最後まで反対していたじゃないか。だから私がこの手で、あの王女を追い払ったというのに、ここまで来て妨害するとは。敵側に寝返るという事か。そうか、それでいいんだろうサラ王女にとっては」

 オオワシが謀略でサラ王女を特権的地位からはく奪し、追い払ったという事実であるが、親衛隊にはその真実は知らされていなかった。一応であるが、オオワシとサラ王女では、どっちが地位が高いかと質問されると、指揮権はサラ王女の方にあるのである。

「それが事実だとしますと、今後も我が宇宙軍を妨害しますでしょう。サラ王女が政治には疎いと私たちが思っていたことが、逆に私たちを苦しめるのです」

「そうだな。なるべく早く手は打っておこう」

 そしてオオワシは部下に対してサラ王女を連れ戻す部隊と重ねて、工作としてサラ王女を始末する部隊の両方を手配したのである。

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